2026年の全日本モトクロスは、SUGOで「最終戦の勝者」と「年間王者」がそれぞれの強さを示して幕を閉じた。10月31日~11月1日に宮城県村田町のスポーツランドSUGOで開催されたD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ第9戦・第64回MFJ-GPモトクロス大会では、IA1にスポット参戦したジェフリー・ハーリングスが両ヒートを制覇。一方、シリーズ争いはジェイ・ウィルソンが大倉由揮を18ポイント差で上回り、3度目のIA1チャンピオンを獲得した。
レディースでは川井麻央が最終戦も勝ってタイトルを確定。第8戦で王座を決めていたIA2の柳瀬大河、IB OPENの外間匠と合わせ、公認4クラスの年間王者が出そろった。11月2日公開、11月3日更新のJMX公式レポートに基づき、各ヒートの結果とシーズン全体の結末を整理する。
最終戦の結果と年間タイトルは分けて見る
今回のIA1は、両ヒートで同じ3人が表彰台を占めた。ただし、最終戦の優勝者がそのまま年間王者になるわけではない。ハーリングスはスポット参戦で2勝を挙げ、ウィルソンはそれまで積み重ねたポイントの優位を守った。まずは公認クラスの結果を、レース単位と年間タイトルに分けて確認したい。
| クラス | ヒート1/決勝の上位3人 | ヒート2の上位3人 | 2026年年間王者 |
|---|---|---|---|
| IA1 | 1位 ハーリングス/2位 大城魁之輔/3位 中島漱也 | 1位 ハーリングス/2位 大城魁之輔/3位 中島漱也 | ジェイ・ウィルソン |
| IA2 | 1位 柳瀬大河/2位 渡辺陵/3位 鴨田翔 | 1位 柳瀬大河/2位 横澤拓夢/3位 渡辺陵 | 柳瀬大河(第8戦で決定) |
| IB OPEN | 1位 外間匠/2位 今岡陸駆斗/3位 長崎有優 | 1位 清宮伊織/2位 木村優希/3位 福田龍人 | 外間匠(第8戦で決定) |
| レディース(LMX) | 1位 川井麻央/2位 川上真花/3位 本田七海 | 1ヒート制 | 川井麻央 |
IA1とIA2は25分+1周の2ヒート制、IB OPENは15分+1周の2ヒート制。日の入りを考慮して、IAとIBのレース時間は5分短縮された。レディースは15分+1周の1ヒートで争われた。天候は晴れ/曇り、公式発表の観客動員数は4,200人。公認4クラスにJX、CX、エンジョイ、Yamaha YZ125 BLU CRU Cupを加えた全8クラスが実施された。
IA1:ハーリングスが2ヒートとも1分以上の差で勝利

Honda HRC PETRONASのハーリングスは、ホンダCRF450RWで出場した。公式レポートで2026年MXGP王者と紹介されるライダーが、初来日のSUGOで見せたのは、単に先頭へ出るだけではない速さだった。ヒート1ではスタート直後から先頭に立ち、他のライダーを1周あたり約3秒上回るペースで引き離す。終盤にも速いラップを重ね、2位の大城魁之輔に1分02秒632差をつけた。
ヒート2では大塚豪太が好スタートを決めたが、ハーリングスは1周目のうちにトップへ。11周目には自身のベストを更新し、今度は大城に1分13秒839差で勝った。2ヒートの着差はどちらも1分を超えており、最終戦のレースそのものを支配したことが数字からも分かる。
ただし、この差をそのまま車両の性能差とみなすことはできない。公式レポートが確認しているのは、この日のコースとレース条件における選手の走りと結果であり、同条件の市販車比較試験ではない。ハーリングス自身はレース後、SUGOの土質、選べるラインの多さ、散水状態を高く評価している。
大城は追い上げて2位、中島はIA1初戦で両ヒート表彰台
ハーリングスの後ろでは、最後まで順位が動いた。ヤマハYZ450FMを駆る大城はヒート1の序盤を8番手で走行。ウィルソンや中島を抜き、終盤に2番手へ上がった。ヒート2でも内田篤基、中島との争いを制して2位を獲得した。同じ2位でも、いずれも追い上げによってつかんだ結果だった。
中島漱也はオーストラリアでのレースを経て、Yamaha BLUCRU RacingのヤマハYZ450FでIA1に初出場。両ヒートで一時2番手を走り、いずれも3位でゴールした。ヒート2終盤には大倉も接近したが、中島は0秒648差で先着。デビュー戦で二度とも表彰台に立った。
中島のレース後の説明では、短時間の予選と25分の決勝では求められるペース配分が違い、オーストラリアで荒れた路面を走った経験が役立ったという。大城との順位争いに加え、長い決勝を通して表彰台圏内に残った点が、このIA1デビューの成果といえる。
ウィルソンは697点、18点差で3度目の王座
タイトル争いは、最終戦前のウィルソンと大倉の差が17ポイントという状況だった。ヒート1では大倉がウィルソンに迫ったものの、7周目に転倒。ヒート2の大倉は終盤に中島の背後まで追い上げて4位となり、ウィルソンは6位でフィニッシュした。
| 選手 | 公式レポート掲載の所属・車両 | 最終ポイント |
|---|---|---|
| ジェイ・ウィルソン | YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハYZ450FM | 697点 |
| 大倉由揮 | Honda Dream Racing Bells/ホンダCRF450R | 679点 |
最終的な差は18ポイント。ウィルソンは2023年、2024年に続く3度目のIA1チャンピオンになった。本人のレース後の説明も、この日は最大限の速さを追求することより、ミスを避けてタイトルを確実にすることを重視したという内容だった。最終戦で表彰台を争う走りと、シーズンを通じた優位を守る走りが、同じ決勝の中で交錯していた。
なお、ウィルソンは今回がヤマハ・ファクトリーチームでの最後のレースである旨を語っているが、参照レポートから来季の所属先までは確認できない。2027年の体制を今回の結果から推測することは避けたい。
IA2:柳瀬大河が両ヒートを制し、年間14勝で締めくくる

第8戦で既に年間王者を決めていた柳瀬大河は、Honda Dream RacingのホンダCRF250Rで最終戦も2勝。2026年の勝利数を14まで伸ばした。タイトル決定後の一戦でも両ヒートを取り切ったことになる。
ヒート1は鴨田翔がスタートで先行したが、柳瀬は1周目にトップへ立った。渡辺陵が2位、鴨田が3位。ヒート2も外間大詩が好スタートを決めた後、柳瀬が1周目に先頭へ出る展開となった。
変化があったのはヒート2の2位争いだ。渡辺が長く2番手を走ったものの、最終周のミスで横澤拓夢が逆転。横澤2位、渡辺3位で決着した。柳瀬の連勝という大きな結果だけでなく、最後の1周まで表彰台の順位が確定しなかった点も最終戦の見どころだった。
IB OPEN:外間匠が僅差のヒート1、清宮伊織が初勝利と総合優勝

IB OPENも年間タイトルは第8戦で外間匠に決まっていたが、最終戦の勝負は接戦となった。ヒート1では外間が最後に今岡陸駆斗をかわして優勝。着差はわずか0秒641で、3位には長崎有優が入った。T.E.SPORTのホンダCRF250Rで走る王者が、僅差のレースを取り切った。
ヒート2は酢崎友哉がスタートで先行した後、レーシングチーム鷹の清宮伊織がヤマハYZ250Fでトップへ。清宮はこのヒートで初優勝を挙げ、大会の総合優勝も獲得した。2位は木村優希、3位は初表彰台の福田龍人となった。
ここでも年間王者と大会の総合優勝者は異なる。年間王者は外間匠、SUGO大会の総合優勝者は清宮伊織という整理になる。また、IA2のスタートで名前が挙がる外間大詩と、IB OPEN王者の外間匠は別の選手だ。
レディース:川井麻央が8勝目でタイトルを確定

川井麻央は開幕から第7戦まで勝利を重ね、第8戦では川上真花が優勝。最終戦前のポイントは川井273点、川上257点で、16点差だった。SUGOの1ヒートがタイトルを決める舞台となった。
決勝序盤は箕浦未夢が先行したが、川井は2周目にトップへ。その後は川上が2番手、本田七海が3番手となり、この順番でゴールした。T.E.SPORTのホンダCRF150RⅡで戦う川井は、シーズン8勝目と年間タイトルを同時に獲得。追う川上はヤマハYZ85LWで2位となった。
川井にとっては、ポイント差を守るだけでなく、最終戦でも勝利してシーズンを締めくくる結果となった。第8戦で連勝が止まった後も、最後の一戦を勝利で終え、シーズンの主導権を守った。
JX、エンジョイ、YZ125カップ、CXの結果
承認クラスにも、追い上げや順位の読み分けが必要なレースがあった。JXは齋藤極が2位に33秒320差で優勝。阿部哲昇は序盤の7番手付近から追い上げて2位、熊谷夏空が3位だった。エンジョイクラスは目黒結翔が勝利し、大塚忠和が2位、大内健八が3位。目黒は終盤の転倒後も首位を守り、大内は序盤の転倒から表彰台まで戻した。
| クラス | 主な結果 | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| JX | 1位 齋藤極/2位 阿部哲昇/3位 熊谷夏空 | 決勝は10分+1周 |
| エンジョイ | 1位 目黒結翔/2位 大塚忠和/3位 大内健八 | 転倒後の追い上げも順位に影響 |
| Yamaha YZ125 BLU CRU Cup | 1位 伊良皆龍翔/2位 齋藤輪/3位 浅井大翔 | 最初にゴールしたゲストの富田俊樹は賞典外 |
| CX | Aクラス優勝 松本有生/Bクラス優勝 伊良皆康喜 | A・B混走のため、各クラスの優勝を区別 |
YZ125カップは富田俊樹が最初にチェッカーを受けたが、ゲスト出場で賞典外だった。そのためリザルト上の優勝は伊良皆龍翔となる。「最初にゴールした選手」と「公式順位で優勝した選手」が異なるケースであり、富田を大会の優勝者として記載しないことが重要だ。
CXは18台が出走し、8分+1周で競われた。Aクラスは50cc以下の国産4ストローク車、Bクラスは外国メーカーの2ストローク車と許可された電動モトクロッサーによる区分で、今回は混走。ホンダCRF50Fの松本有生がAクラス、GASGAS E5の伊良皆康喜がBクラスを制した。これらの区分は今回の公式レポートの説明であり、今後の大会に出場する際には、対象大会の最新規則を別途確認する必要がある。
結果を振り返る際に確認したいこと
SUGOではリズムセクションやコーナーが変更され、速度が乗るレイアウトになった一方、各所に深いわだちが形成された。ハーリングスの独走、大城の追い上げ、中島の初戦表彰台、ウィルソンのタイトル確保は、それぞれ異なる成果だ。各ヒートの順位、1大会の総合順位、年間ポイントを混同せず見ることで、最終戦の意味がより明確になる。
全9戦を終え、公認4クラスの王者はウィルソン、柳瀬、外間、川井に決定した。来季の所属や日程、市販モデルの仕様については、このレース結果から推測せず、今後の公式発表で確認したい。本稿は開催済み大会の結果記事であり、観戦・参加募集の案内ではない。
出典・確認情報
- 参照元:JMX 全日本モトクロス選手権シリーズ/Motosports Promotion公式レポート
- 参照URL:第9戦 第64回MFJ-GPモトクロス大会・公式レポート
- 元記事公開日時:2026年11月2日20時16分(JST)。更新日時:2026年11月3日8時20分(JST)
- 確認日:2026年11月3日
- 本文掲載のメーカー名:ホンダ、ヤマハ、GASGAS。所属・車両名は参照元の表記を基に記載
- 本文写真:掲載許可済みのJMX公式元記事に掲載された写真を使用。本文にAI生成画像は使用していません
本記事は公式レポートの事実を基に、結果の比較と読み方を独自に整理したものです。全順位や詳細な競技情報は参照元をご確認ください。











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