Hondaは2026年11月3日、イタリア・ミラノで開催されるEICMA 2026の出展概要を公表した。電子制御過給機を搭載する「V3R 900 E-Compressor」の市販予定車、新型コミューター「ADV125」、4気筒スポーツ「CBR500R FOUR」などをそろえ、内燃機関車から電動車までの幅広い提案を示す。
会場では新型Africa Twin、CBR1000RR-R FIREBLADE、電動アシストマウンテンバイクHonda RN0も世界初公開する。一方、今回の発表には市販予定車だけでなく、将来像を提示するコンセプトモデルや欧州初公開車も含まれる。「展示された」という事実と、日本での発売決定は分けて読む必要がある。本記事では出展全体を見渡しながら、V3R 900、ADV125、CBR500R FOURを中心に発表内容を整理する。
EICMA 2026は11月5〜8日が一般公開
Hondaによると、EICMA 2026のプレスデーは11月3〜4日、一般公開は11月5〜8日。今回の日本語リリースは、英国現地法人ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドが現地時間11月2日16時30分に発表した内容を案内したものだ。対象にはコンセプトモデル、市販予定車、ヨーロッパ向け2027年モデルの二輪車ラインアップが含まれる。
チェックしたいのは各車の発表段階の違いだ。V3R 900 E-Compressorは「市販予定車」、EV OUTLIERとOnitsuka Tigerとのモデルは「コンセプト」。CBR500R FOURとEV OUTLIERは「欧州初公開」と説明されている。いずれも同じ会場に並ぶが、発売の確度や市場での位置づけを同一に扱うことはできない。
V3R 900 E-Compressor:電子制御過給機を積むV型3気筒の市販予定車
今回の出展で注目されるのが「V3R 900 E-Compressor Planned Production Model」。Honda独自のV型3気筒エンジンに、二輪車として世界初という電子制御過給機を組み合わせた市販予定車だ。「世界初」はHonda調べによるものとなる。

車体は左右非対称のデザインを特徴とし、燃料タンク、エキゾーストパイプ、マフラーにはチタンを採用。エンジンの構成だけでなく、外観や各部の素材にも独自性を持たせている。ただし、出展概要では最高出力、最大トルク、車両重量などの数値は示されていない。素材の採用をもって車両全体の軽さや走行性能を数値で比較することはできず、詳細仕様の発表を待ちたい。
進化したRoadSyncは音声操作にもAIを活用
V3R 900には進化したHonda RoadSyncを搭載する。Hondaは、より直感的な操作を可能にするHMI(Human Machine Interface)の進化に加え、AIを活用した音声操作機能などを備えると説明している。操作者と車両をつなぐインターフェースまで含めて、新たな機能を盛り込んだモデルという位置づけだ。
RoadSyncの利用には専用アプリのインストールが必要。今回の出展概要では、対応する端末やOS、音声操作で扱える項目の全容までは明記されていない。購入や利用を検討する段階では、販売地域の案内と対応条件を確認する必要がある。また、V3R 900で説明されたAI音声操作機能を、RoadSyncを搭載するほかの出展車にも同じように備わると読み替えることはできない。
ADV125:125ccに凝縮したアドベンチャー志向のコミューター
新たに導入するADV125は、X-ADVやADV350が持つ個性的な魅力とアドベンチャースピリットを、実用的なパッケージにまとめたコミューター。欧州A1ライセンスで運転できるモデルとして紹介されている。

エンジンは排気量125ccのeSP+。Hondaは俊敏なレスポンスと優れた燃費性能を両立すると説明する。装備では、新開発の5インチフルカラーTFTディスプレイと、Honda RoadSyncによるスマートフォン連携機能を採用。出展概要で確認できる具体的なポイントは、125ccのパワーユニット、画面の大きさ、スマートフォンとの接続機能となる。
一方、燃費値、車体寸法、シート高、価格などはこの概要では公表されていない。X-ADVやADV350との関連はモデルの魅力や志向についての説明であり、足まわりの仕様や走破性が同等という意味ではない。通勤など日常用途との相性を判断するには、詳細な車体仕様の確認が必要になる。
なお、Hondaが脚注で示すA1は欧州の免許区分で、排気量125cc以下・出力11kW以下の二輪車を運転できる区分。この説明は欧州市場向けであり、日本で必要となる運転資格や国内導入を示したものではない。
CBR500R FOUR:4気筒とHonda E-Clutchを組み合わせたミドルスポーツ
CBR500R FOURは、4気筒エンジンモデルの伝統と最新技術を融合する新型ミドルクラスのスポーツモデルとして欧州で初公開された。名称の「FOUR」が示す4気筒という構成に加え、Honda独自のクラッチコントロール自動制御システム「Honda E-Clutch」を採用する点が特徴だ。

HondaはE-Clutchについて、スポーティーな走り、シンプルな操作性、高い汎用性を兼ね備えると説明する。スポーツモデルとしての性格を保ちながら、操作性にも新しい価値を加える提案として注目したい。
ただし、この発表には最高出力や車両重量、具体的な変速操作の説明などは含まれていない。E-Clutchという名称だけから、ほかの自動変速システムと同一の動作をすると決めつけるのは避けたい。価格や発売時期、国内向け仕様についても、今後の地域別発表を確認すべき項目となる。
新型フラッグシップとHonda初のe-MTBも世界初公開
Africa Twinはフルモデルチェンジで「CRF1150L Africa Twin」シリーズとなり、従来のAfrica Twin、Adventure SportsにEnduro Sportsを加えた3タイプを設定。Adventure SportsのDCTモデルには、Honda二輪車として初めて先進安全運転支援システム「Honda SENSING RIDE」を搭載する。個別車両の公式発表では、この装備の搭載対象をDCTモデルに限定している。
CBR1000RR-R FIREBLADEシリーズもフルモデルチェンジし、標準タイプ、SP、新設定のHRC WORKS EDITIONという3タイプを用意。Africa TwinとFIREBLADEには、内燃機関を搭載するそれぞれの分野のフラッグシップとして、新エンブレム「Honda Flagship WING」を採用する。
Honda RN0はHonda初の電動アシストマウンテンバイク。ハイエンドe-MTBメーカーのROTWILDとの共同開発で、カーボンモノコックフレームとガルアーム式スイングアームなどを採用している。EICMAで示す領域が、エンジンを搭載するオートバイだけにとどまらないことを象徴する出展だ。
コンセプト2台は将来像とデザインを提示
EV OUTLIER Conceptは2030年以降を見据えた提案
欧州で初公開するEV OUTLIER Conceptは、2030年以降の二輪車の新しいあり方を提案するコンセプトモデル。電動車ならではのレイアウトの自由度を生かし、前後両輪にインホイールモーターを採用。ダイナミックで低いプロポーションのスタイルを実現している。

ここでの「2030年以降」は提案の対象となる時代を示すもので、量産車の発売年の告知ではない。市販予定車として展示するV3R 900とは、発表上の位置づけが異なる。
Onitsuka Tigerとのモデルはタイガーイエローとストライプ
Onitsuka Tiger Honda Mid Sports Conceptは、2026年9月22〜28日にミラノで開催されたミラノ・ファッション・ウイークで公開されたモデルを、EICMAにも出展するもの。ミドルクラスのスポーツモデルをベースに、タイガーイエローを基調とし、左右両側に黒いストライプを配している。

黒を基調とするホイールにもタイガーイエローのアクセントを使い、HondaとOnitsuka Tigerのロゴを配置する。今回が車両そのものの初公開というわけではなく、先に披露されたコンセプトを二輪車ショーで紹介する出展と捉えたい。
国内ユーザーが確認したいこと
今回の概要からは、電子制御過給機を使うV型3気筒、125ccコミューター、E-Clutchを備えた4気筒ミドルスポーツ、電動車のコンセプトまで、Hondaの提案の幅が見えてくる。ただし、欧州向け2027年モデルの紹介や欧州初公開と、日本での発売告知は別のものだ。
この出展概要だけでは、V3R 900、ADV125、CBR500R FOURの日本での価格、発売日、国内向けの詳細仕様は確認できない。購入検討では、車名や展示写真に加えて、販売地域、市販・コンセプトの区分、個別装備の対象車種を分けて確認したい。実際の出展情報や追加の発表については、以下のメーカー一次情報を参照してほしい。
出典・確認情報
メーカー・発表元:Honda(本田技研工業株式会社)。日本語発表日:2026年11月3日。確認日:2026年11月3日。本記事はメーカー発表を基にBikeman ニュース 編集部が要約・再構成したものです。写真はHonda公式発表掲載の実車・コンセプトモデル画像です。











コメント