Hondaは2026年11月3日付の発表で、同社初のハイエンド電動アシストマウンテンバイク「Honda RN0(アールエヌゼロ)」をEICMA 2026で世界初公開したと明らかにした。ドイツのROTWILD(ロットワイルド)との共同開発によるモデルで、Hondaの二輪車開発の知見を、ペダルを漕いで走るe-MTBへ展開する。
注目点は、約24kgの車体に採用したカーボンモノコックフレームとガルアーム式スイングアーム、そしてSHIMANOの新型ドライブユニットだ。最大トルク100Nm、最大出力750W、バッテリー容量720Whという公表値に加え、自動アシスト調整や自動変速を備える。一方、今回のリリースには日本での発売時期・価格・国内向け仕様の記載はない。オートバイの新型車ではなく、電動アシストマウンテンバイクの発表である点を分けて読みたい。

Hondaの車体技術とROTWILDのe-MTB開発を組み合わせる
RN0は、Hondaにとってプレミアムe-MTB市場への新たな取り組みとなる。共同開発相手のROTWILDは、ドイツのハイエンドe-MTBメーカー。今回のモデルでは、Hondaが二輪車の開発で積み重ねてきた車体づくりの知見と、ROTWILDのマウンテンバイクに関する知見を組み合わせている。
Hondaが掲げるコンセプトは「New Terrain, Same Dream.」。新しい領域へ進みながらも、乗り物を操る楽しさや挑戦する喜びを届けるという考え方は変わらない、という位置付けだ。エンジン車の技術をそのまま小さくした製品ではなく、登坂から下りまでを想定するオールマウンテン向けの自転車として設計されている。
Hondaは高いペダリング効率と路面追従性の両立を特徴として挙げ、テクニカルなトレイルからロングライドまでを想定する。これらはメーカーが発表した設計意図・性能説明であり、本記事で実走による評価を行ったものではない。
RN01の活動から、新しい「RN0」へ
Hondaとマウンテンバイクの関係は今回が初めてではない。同社の発表によると、2000年代にマウンテンバイクの研究・開発に取り組み、2005年には「RN01」でUCIマウンテンバイク・ダウンヒルワールドカップのシリーズ総合優勝を果たした。UCIは国際自転車競技連合を指す。
その後、新たなマウンテンバイクの市場投入は行っていなかったが、研究・開発の経験を今回のモデルにつないだ。RN0という名称には、自然との一体感を表す「Ride Natural」と、新たな高みを目指す「Reach New Peaks」の意味を込めている。
過去のRN01はダウンヒル競技専用モデルだったのに対し、今回のRN0は電動アシストユニットを備えた新たなe-MTBとして説明されている。名称のつながりはあるものの、RN01の競技仕様や成績を、そのままRN0の性能や用途の保証と捉えるべきではない。
カーボンモノコックとガルアームで剛性・追従性を狙う
車体の中心となるのは、独自開発のカーボンモノコックフレームとガルアーム式スイングアームだ。Hondaはヘッドチューブからリアアクスルまでの配置を最適化し、剛性と路面からの情報の伝わりやすさを重視したとしている。
特徴的なのは、単純に硬さを高めるだけではなく、計算されたフレームのしなりも利用する点だ。メーカーの説明では、高い直進安定性を確保しながら、旋回時にはわずかなたわみによってタイヤの路面追従性を高める狙いがある。外観上も、フレーム中央から後輪へつながる構成に、一般的なダイヤモンド形フレームとは異なる個性が見える。
サイズはS・M・Lの3種類。各サイズに専用のディメンションを設定し、ROTWILDの知見を生かして登坂から下りまでに対応させている。ただし、今回の発表には適応身長や各部寸法の一覧は掲載されていないため、サイズ名だけから適合する体格を断定することはできない。
リアサスペンションは、シングルピボットのスイングアームにリンケージを組み合わせる方式。ペダリングによって生じる不要なサスペンションの動きを抑えつつ、路面の衝撃には追従させる設計で、漕ぐ力の伝わりやすさと衝撃吸収の両立を目指す。

FOX、DT Swiss、SHIMANOなどで構成する足まわり
フロントフォークには、ストローク160mmのFOX 36 FLOAT Factory Kashimaを採用。リアショックはFOX FLOAT X Factory Kashimaを組み合わせる。160mmという数値は発表で示されたフロント側のストロークであり、リアホイールのトラベル量を表すものではない。
ホイールセットはe-MTB向けのDT Swiss H1900 SPLINE。前輪29インチ、後輪27.5インチの前後異径、いわゆるマレットレイアウトを選んだ。Hondaはこの構成により、安定性と俊敏性の両立を図ったとしている。タイヤはSchwalbe Albert EVO Trail、ブレーキはSHIMANO DEORE XTの4ピストンディスクブレーキを装備する。
カラーはPEARL MOON ASH GRAYとMAT BALLISTIC BLACK METALLICの2トーン。これは発表された一つの配色を構成する2色であり、独立した2種類の車体色が選べるという説明ではない。
最大100Nmのアシストと、自動調整・変速機能
駆動系には新型SHIMANOドライブユニットを搭載する。ユニット重量は2.3kgで、Hondaが公表した最大トルクは100Nm、最大出力は750W。車体には720Whのバッテリーを組み合わせる。
AUTO ASSISTは、路面の勾配やライダーがペダルを漕ぐ力に応じてアシスト量を自動調整する機能。一方、AUTO SHIFTは、適切なケイデンスを保つよう自動で変速する機能だ。ケイデンスは1分間にペダルを回す速さを意味し、両機能はそれぞれアシスト量と変速を受け持つ。
さらに、障害物を越える場面などでペダリングを一時的に止めた際にも、駆動力を滑らかに維持するアシストキャリーオーバー機能を備える。発表では走行を支える機能として紹介されているが、作動する時間や細かな条件までは示されていない。スロットルで走る電動オートバイと同じ仕組みだと解釈したり、ペダリングなしで継続走行できると読み替えたりすることは避けたい。
トップチューブにディスプレイ、アプリ連携も
トップチューブには2.2インチのフルカラーディスプレイを内蔵し、車速、航続距離、アシストモードなどを表示する。USB-Cポートからのデバイス充電にも対応する。
SHIMANOアプリと連携すると、ドライブユニットのチューニングや車両電子システムのロック・アンロック機能を利用できる。ここで紹介されているのは電子システムの機能であり、車体そのものを固定する物理的な施錠装置とは区別して理解したい。
公表された主要仕様
| 項目 | Honda発表内容 |
|---|---|
| 車種・分類 | Honda RN0/電動アシストマウンテンバイク(e-MTB) |
| 共同開発 | Honda、ROTWILD |
| 車体重量 | 約24kg |
| フレーム/サイズ | カーボンモノコック/S・M・L |
| 後輪支持構造 | ガルアーム式スイングアーム、シングルピボット+リンケージ |
| フロントサスペンション | FOX 36 FLOAT Factory Kashima、160mmストローク |
| リアショック | FOX FLOAT X Factory Kashima |
| ホイール | DT Swiss H1900 SPLINE/前29・後27.5インチ |
| タイヤ | Schwalbe Albert EVO Trail |
| ブレーキ | SHIMANO DEORE XT、4ピストンディスク |
| ドライブユニット | 新型SHIMANO、重量2.3kg |
| 最大トルク/最大出力 | 100Nm/750W |
| バッテリー容量 | 720Wh |
| 表示装置 | 2.2インチフルカラーディスプレイ |
日本の読者が今後確認したいこと
今回確認したリリースは、EICMA 2026での世界初公開を伝えるものだ。日本での販売予定、発売日、価格、国内仕様、航続距離の具体的な数値、充電時間は示されていない。バッテリー容量が720Whであることから、特定の距離を走れると換算することもできない。
また、最大出力750Wは今回公表された性能値であり、それだけで日本の公道を電動アシスト自転車として走れると判断できる情報ではない。本記事では国内の法規適合を確認済みとは扱わない。購入や利用を検討する段階では、日本向けの正式な案内と仕様、利用する場所の条件を改めて確認する必要がある。
EICMA 2026のプレスデーは11月3~4日、一般公開は11月5~8日。Honda RN0は、モーターサイクルメーカーとしての車体技術を生かしながら、別のカテゴリーへ挑むモデルとして注目される。まずは世界初公開時点の仕様と、まだ明らかになっていない販売情報を分けて捉えたい。
出典・確認日
メーカー:本田技研工業株式会社(Honda)。出典:Honda公式「Honda初のハイエンド電動アシストマウンテンバイク『Honda RN0』を世界初公開」(2026年11月3日発表)。確認日:2026年11月3日(日本時間)。本文は公式発表を基にBikeman ニュース 編集部が独自に要約・再構成した。本文およびアイキャッチの車両写真はHonda公開素材を使用。











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