ライダーの成長を支えるのは、走り方の指導だけではない。マシンを整える人、実戦の機会をつくるチーム、そして準備を止めない電源も、その活動の一部だ。Hondaは10月14日、鈴鹿サンデーロードレースで活動する「TTR(Takeishi Technical Racing)」を取り上げた活用事例を公開した。
代表は元Hondaワークスライダーの武石伸也さん。北海道で始まった活動が鈴鹿へ移り、若手の育成と一般ライダーのレースサポートへ広がっていく経緯、Hondaの発電機・蓄電機を現場でどう使い分けているかが紹介されている。新製品の発売発表ではなく、チームの活動を追うHonda公式「Field Stories」の特集だ。

北海道から鈴鹿へ。2019年に始まったTTR
武石さんは北海道でロードレースを始め、1992年にHRCと契約。全日本ロードレースや鈴鹿8時間耐久ロードレースで活動し、2016年を最後に全日本への参戦を終えた。現役を退いてからは地元でライディングスクールなどに携わり、2019年にTTRの活動を始めている。
当初の目的の一つは、二輪車に乗れる期間が限られる北海道のライダーに、シーズンオフでも鈴鹿で走る機会を用意することだった。チームを通じて遠方のサーキットで活動できるようにし、走行技術とともにレースへの向き合い方を伝える。2022年には活動拠点を鈴鹿へ移し、趣味でレースを楽しむ人への支援やスクール講師としての活動も広げた。
実戦の経験を次のステップにつなげる
公式特集は、TTRに加わったターナー健人選手の歩みを紹介している。2025年には、それまで経験のなかったCBR600RRで鈴鹿サンデーロードレースへ参戦。4戦で2勝を挙げ、シリーズチャンピオンを獲得したという。
ここで伝えられているのは、特定のマシンに乗れば誰でも結果が出るという話ではない。選手の経験や体格、レースへの意欲に合わせて参戦先を考え、実戦を通して次の目標を見つける育成の事例だ。健人選手は全日本ロードレースへのステップアップや鈴鹿8耐への出場を目指しているが、将来の参戦や成績が確定したという発表ではない。
HRSでの指導と、TTRでの実戦参加を組み合わせる
TTRは、若手を育てるホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿(HRS)とも連携している。公式特集では、HRS Motoクラスの岡田忠之校長が、オーストラリア出身のジャクソン・マクドナルド選手の実戦経験を積む場としてTTRを選んだ経緯が紹介された。
スクールで走りを学び、チームでマシンを整え、選手権の中で経験を重ねる。それぞれの役割を組み合わせた取り組みだ。ジャクソン選手については2027年シーズンのIdemitsu Moto4 Asia Cup選考会への参加予定が紹介されているが、今回の記事から本選への選出や契約成立までは確認できない。
ピット、グリッド、パソコン周辺。三つの電源の使い分け
Hondaの特集では、TTRが使用する機器として発電機EU24i、EU9iと、蓄電機LiB-AID E500 for Workが挙げられている。紹介された用途を整理すると次のようになる。
| 機器 | 公式特集で紹介された用途 |
|---|---|
| EU24i | 主にピットで、タイヤウォーマーやエンジン冷却ファンへ給電 |
| EU9i | スターティンググリッドでタイヤウォーマーへ給電 |
| LiB-AID E500 for Work | パソコン周辺の電源として活用 |

この表はTTRでの使用例であり、任意のタイヤウォーマーやファンを台数に関係なく接続できるという適合表ではない。特集は機器の組み合わせごとの消費電力、連続使用時間、同時使用できる台数までは示していないため、そこから給電能力を推定することは避けたい。
また、ピットとグリッドでは作業の場所が変わり、パソコン周辺には別の電源が使われている点が特徴だ。チームが将来、常設ピットのない会場でテントを拠点とする際にも、電源の確保が活動を支えると説明されている。ただし、本稿は発電機の設置・運転手順を案内するものではない。
レースを続けられる環境も育成の一部
TTRの活動は、若手が上位カテゴリーを目指すための育成と、趣味としてレースを楽しむ人のサポートを両立している。今回の特集では、監督の経験、スクールとの連携、マシンの準備、現場の電源が同じ活動の中に位置付けられている。
武石さんや選手の具体的なコメント、各場面の写真はHonda公式の特集全文で確認できる。製品の新発売情報や、参加者を募集する告知とは区別して、地方選手権を支えるチームの事例として読みたい。
出典:Honda「Field Stories」。公開案内は2026年10月14日付の公式新着情報、本文確認は10月19日。選手の将来の参戦予定は発表時点の内容。











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