ハーレーの歴代エンジンを振り返る【不朽の名作エンジン】シリーズとして、前回はショベルヘッドをご紹介しました。
ショベルヘッドは、パンヘッドの良さを受け継ぎつつ、成功を収めたスポーツスター用アイアンショベルの腰上を導入することで、ヨーロッパ&日本からの輸入車に対抗すべく開発されたエンジンでした。
その後、1984年に登場したエボリューションを経て、新たに開発されたツインカムエンジンについてご紹介致します。
ツインカム88は高速時代に対応すべく開発された!
1984年にショベルヘッドを引き継いだエボリューションは(今でも)良くできたエンジンと言われていますが、時代が変わりつつありました。それは高速化の進展です。1990年代、アメリカ本国において制限速度が引き上げられ、それまでの55mph(約90km/h)が65~75mph(100~120km/h)となったのです。
この程度の速度は、実はエボリューションでも対応可能ではありましたが、ライバルのヨーロッパ&日本勢の存在もありました。アメリカのライダーはさらなるパワーを求めており、それに応えるためハーレーは新エンジン開発を急いだのです。
そして、1999年に誕生したのが「ツインカム88」です。ツインカムという名称が示す通り、ツインカム88エンジンはカムシャフトを2本搭載していました。これは高速化対応=エンジンの高回転化が目的であり、より正確にバルブを駆動するための仕様変更ですが、ハーレーにとってはナックルヘッド以降続いてきた1本カムの歴史を覆す大改革でした。
ツインカム88の総排気量は1,450cc=88ci。この88がそのままエンジン名となりました。エボリューションの1,340ccから110ccアップ。一方で、ボアは約6.5mm拡大、ストロークは約6.4mm短縮してショートストローク化。この変更もエンジン高回転化のためのものです。その上、1,550ccへボアアップできる純正オプションキットも用意されており、その後もパワーアップの余地がありました。
ツインカム88Bはバランサー搭載
ツインカム88はダイナ系とツーリング系に搭載されていましたが、これらのモデルはラバーマウントです。逆に言えば、大パワー&高回転型エンジンで振動の大きなツインカム88は、リジッドマウントのソフテイル系に搭載することができませんでした。
にもツインカム88が搭載できるようになりました。 そこで開発されたのが、エンジン由来の不快な振動を打ち消すバランサーを搭載したツインカム88Bエンジンです。これにより、ソフテイル系にもツインカム88が搭載できるようになりました。
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