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教えてディアブロマンVol.6【スチールベルトは重たいからレースに不向き!? それでもピレリがこだわり続けた理由って?】

目次

ピレリは市販タイヤで培った技術からのフィードバックでレース用タイヤを作っている? それって、どういうこと!?

「レースで培った技術のフィードバック」は、高性能なパーツやメカニズムの常套句。となると、レースに積極的なピレリの市販タイヤには、どんなレーシングテクノロジーが投入されているのだろうか? 前回ちょっと聞いたスチールベルトもその一つ? そんな疑問をディアブロマンにたずねたら、驚きの答えが返ってきた!

スポーツバイクの機能や部品って「レースからフィードバックしたテクノロジー」みたいに言われること、多いですよね。なんか愛車にすごい技術が投入されている感じがして嬉しいですよね。

「レース」っていうだけで特別な感じがするし、そういった印象はあるかもね。

それならピレリの市販タイヤは、どんな技術がレースからフィードバックされているんですか? WSBKをはじめ、今年はMoto2やMoto3でも凄い活躍をしてますもんね!

おっ、良い質問だね! でも実はピレリの市販タイヤには、レースから生まれた技術は……『ない』んだ。

ええっ、ないんですか!? だって様々なレースにタイヤを供給しているじゃないですか! その技術を市販タイヤに使わないんですか? ちょっと意外だし、それはもったいないと思いますけどね。

まぁまぁ、落ち着いて(笑)。ピレリはね「市販タイヤの技術をレースにフィードバック」しているんだよ。

え?? それって、どういうこと? っていうか、そんなことあるんですか?

レースはもちろん勝つことが大事だけれど、ピレリがレースに挑戦し続けている理由は、タイヤ開発において「究極のテスト」ができるからなんだ。

WSBKには様々なメーカーの市販スポーツバイクが参戦。排気量、ライダーのスキル、タイヤサイズ、走るコースは様々で、まさに究極のテスト環境とも言えるだろう。
今シーズンからは女性ライダーによるヤマハYZF-R7のワンメイクレース、WCRもスタート。もちろんこのレースのタイヤもピレリだ。

究極のテスト、と言われるとそんな気がしますね。

うん。たとえば貴方が求める市販タイヤの性能って何かな?

そうですね~。私はレースをしないし普段使いがメインだから、長持ちするとか雨の日も安心して走れるとか、そんなところかな。

そうだよね。もちろん市販タイヤを開発する時には、そういう部分をしっかり考えて、テストも行うんだけど、そのひとつがレースなんだ。レースって凄いスピードで、凄いスキルを持ったライダーが、凄くセットアップされたマシンで走るでしょ。もちろん雨のレースもあるし、ゴールするまで性能をしっかり維持できないと困るよね。それが勝敗やタイムの良し悪しとして結果になるんだけれど、それってタイヤ開発において凄いテストになるんだよ。

言っていることはなんとなく理解できるけれど、それはハイグリップタイヤの話ですよね?

たしかにハイグリップタイヤの検証に役立つことだけれど、それだけじゃないよ。たとえばハイスピードで走り続けた時の耐久性とか、内部のカーカスのヘタリ具合とか、それがレースで使ってもしっかり耐えられるなら、スポーツツーリングタイヤの性能だって検証できるでしょ?

ツーリングタイヤであるエンジェルGTにもスポーツ性を持たせるのがピレリの流儀。ツーリングバイクでもスポーツ性を大切にしたいライダーに人気。ハンドリングはもちろん、パワーをかけた時の応答性などもスポーツタイヤに近く、それでいてロングライフを実現している。

そうなんだ~。

これらのテストを実験設備や実走ですべてこなそうと思うとかなり大変なんだよ。実験は多いほど良いんだけれど当然それにはコストも時間もかかるし、近年のエコロジーやSDGsの観点からも膨大に実験を重ねるのは難しいからね。だからレースへの挑戦は実験の機会のひとつでもあるんだ。

なるほど~。確かにレースをテストの機会って考えると腑に落ちますね。でも、それってやっぱり「レースからのフィードバック」ってことじゃないんですか?

う~ん、そこはピレリの特色と歴史が大きく関係しているかな。

ピレリの特色? なんだろう?前回のスチールベルトの話は印象的だったから覚えているよ。

そう、「スチールベルト構造」は代表的な特色の一つ。いまはバイク用タイヤでもメジャーな技術になってきたけれど、ピレリは1980年代からいち早く「スチールベルト構造」を手掛けていて、レースに使うタイヤもスチールベルトを採用しているからね。でもじつは、WSBKにタイヤ供給を始めた2000年代初頭頃は、「レース用のタイヤに重いスチールベルトなんてありえない!」って、けっこう叩かれたんだよ。まあ、スチールベルトもまだまだマイナーな存在だったしね。

タイヤの進行方向に対して0度に巻かれるスチールベルト。スチールの太さや本数、ラバーでのコーティング方法、さらにタイヤに巻きつける間隔など、常にR&Dを繰り返しながら進化を続けている。スチールベルトはタイヤのダンピング性能や衝撃吸収性、ウォームアップ性能に貢献。引っ張り強度が高く、遠心力によるタイヤの変形も抑えられるため、直進安定性にも寄与している。

そんなことがあったんですね。でも、確かにスチールって言葉は重そうなイメージがあるかも。

レース用のマシンは「軽さが正義」だし、とくにサスペンションの下側、いわゆる「バネ下の軽量化」は大命題だからね。確かに当時のスチールベルトは重くてレースには向かない構造だったんだ。だからレースに勝つためだけだったら、スチールベルトじゃない軽量な材質の方が有利だったかもしれない。

それなのに、なぜレース用タイヤにスチールベルトを採用したんですか?

それはスチールベルトが、一般道を走るのに非常に優れた構造だという自信があったから。だからピレリはレースでもスチールベルトを大切に育んでいった。一般道での安全性を説くためにも、「レースで使っても大丈夫」ということを検証したかったんだ。もちろんレースだから勝てなければ評価されないから、他のタイヤと同等以上の性能が出せるように必死に研究&開発をして、今ではメジャーな技術になった。

すごい信念だね!

スリックタイヤにもスチールベルトを使用。ピレリはストリート用タイヤとレース用タイヤの両方でスチールベルトの開発を続けている。

だからスチールベルト構造をレース用タイヤに使ったこと自体が「市販タイヤの技術をレースにフィードバックした」ということになるワケ。

ディアブロマンが言っている意味が理解できたし、ピレリのこだわりも知ることができたよ。

それは良かった。ただ、レース用タイヤにはメリットもたくさんあるけれど、そのまま市販タイヤに使えるかというと、そうとは限らない。たとえば「しなやかな路面追従性を持ち、グリップ性能も高い」という評価の高いレース用タイヤがあるとするよね。だけどそのまま一般道を走ったら、しなやかゆえに路面の凹凸を拾い過ぎたりグニャグニャと腰砕けになったり、グリップは良いけれどゴムの減りが早くて長持ちしない……なんてコトもある。

それじゃ困るなぁ。

うん。だから「少し構造を硬くして、減りにくいコンパウンドにして……」と、少しずつ手を加えていくんだけど、それを重ねていくと元のレース用タイヤとは「似ているけど違うモノ」になってしまう。誤解を恐れずに厳しい言い方をすると「レース用タイヤの劣化版」になってしまう可能性もあるんだ。

それだとレースから技術をフィードバックした意味がないですね。

そうなんだ。だからピレリはタイヤ開発において「ある特定の環境の人だけにメリットがある」という考えはしないんだ。たとえばレース用のタイヤの場合は、もちろんトップタイムが出ることは目標だけれど、それと同時に「どのライダーも平均タイムが向上する」ことを目指している。

確かにその方が幅の広いタイヤができそうですね。

だからピレリのレース用タイヤは、じつはあまり細分化していなくて、どのバイク、どのライダーが使ってもマッチングが良いように作っている。反対に市販タイヤはかなり細分化しているけどね。

たしかに市販タイヤはたくさん種類がある。なかには見た目がほとんど同じモノもあるけど……。

そうだね、ディアブロ スーパーコルサのSCとSPなんて、ルックスはそっくり。でも、内部構造はかなり違って、ほとんど別モノなんだけどね。

DIABLO SUPERCORSA V4 SC
見た目は同じだが、SC1、SC2、SC3のコンパウンド(サイズによる)をラインナップし、さらに同じパターンだが、一般道の走行も可能なSPは内部構造が異なり別物に仕上げている。

わざわざ作り分けるのって、大変というか、面倒じゃないですか?

ハハハッ、確かにね。でもユーザーを大事にしようと考えると、こうなる。レースってスピードとか乗り方はハードだけれど、環境的にはみんな同条件だし、勝つという目標も一緒でしょ。だけど市販タイヤや一般ライダーは様々なパターンがあるワケで。たとえばハイグリップタイヤだって、レースに出るために履くライダーと、サーキットのスポーツ走行で使う人、ワインディングを走る人ではけっこう乗り方や扱い方にも違いがあるからね。

自分の使い方や乗り方に合わせたり、選択肢が多いのはユーザーにとってありがたいですよね。

というワケで、スチールベルト構造やユーザーのタイヤ選びに重きを置くピレリは、市販タイヤ開発のためにレースに挑戦しているのが最大の理由。だから技術のフィードバックも、市販タイヤからレース用タイヤに向けて行うことになるんだ。

ピレリのタイヤ作りの思想が、そうさせているんですね!これからはちょっと違う目線でレース観戦を楽しんでみるよ。

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