写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
MotoGP第9戦ドイツGP
7月5日~7日/ドイツ ザクセンリンク
Moto2:小椋藍、接戦の3位バトルを制す
Moto2クラスの小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、最終ラップまで三つ巴の3位争いを展開していました。表彰台の最後の一席を争うのは、チェレスティーノ・ビエッティ(レッドブルKTMアジョ)とディオゴ・モレイラ(イタルトランス・レーシング・チーム)です。
8コーナーでモレイラをかわした小椋は、前を走るビエッティに最終コーナーで勝負を仕掛けようと考えていました。
「ビエッティはブレーキングがかなりよかったので、下りの直線でアウトから仕掛けて、ワイドにさせようと考えていました。勝負するならダウンヒルよりも最終コーナーかな、と思っていたので」
その作戦が功を奏し、最終の13コーナーでビエッティのインサイドに飛び込んだ小椋は、3番手で立ち上がり、チェッカーを受けたのです。
この3位は小椋にとって意味のあるものでした。得意というわけではないザクセンリンクで表彰台に立ったからです。
「このサーキットで表彰台獲得というのは、“大きい”」と、レース後に話を聞いた小椋は力を込めました。多くを語らない小椋が強めた言葉が、今回の表彰台に意味があることを示していました。
「ビエッティに1対1の勝負をどこで仕掛けよう、と考えているときに(残り2周で)モレイラが入ってきちゃった。あのときはだいぶ焦ったんですけどね。たぶん、2人ともリヤタイヤ(のグリップ)がなくて、自分のほうがほんのちょっとだけあったんです。それをうまく生かして3位になれたので、よかったです」
ドイツGPの結果により、小椋はチャンピオンシップでランキング2番手をキープしながら、ランキングトップのセルジオ・ガルシア(MTヘルメット – MSI)との差を7ポイントに縮め、シーズン前半戦を締めくくっています。
Moto2に参戦する佐々木歩夢(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、レース中盤から左肩に力が入らなくなりペースダウンを余儀なくされましたが、24位で完走を果たしました。ただ、土曜日の時点では「やっとMoto2に慣れてきたかな。攻められるようになってきました」と語っており、シーズン後半戦に期待が膨らみます。
Moto3:2位の古里太陽が浮かべた複雑な表情
Moto3クラスに参戦する古里太陽(ホンダ・チームアジア)は、最後までトップ集団の表彰台圏内で走行しました。最終ラップは優勝争いに迫り、2位でゴールを果たしました。今季2度目となる表彰台を獲得したのです。
古里にとって、開幕戦カタールGP以来の表彰台。しかし、パルクフェルメや表彰台で、古里が浮かべていた表情は複雑なものでした。得意のザクセンリンクで、古里は優勝を狙っていたのです。
「(トップを走っていた)コリン(・ベイヤー)が転倒したときに、もうペースは上がらないな、と確信しました。なので、タイヤの左側をいたわり、スピードを落とさないように走っていました」
「(最終ラップは)ちょっとしたミスをして、最終的にアタックはできなかったんですけど。それまでの展開は、ほとんど完璧に近かったと思います。正直、残念ではありますけど……」
ただ、「とりあえず表彰台だったので、悪くはない結果かな、と思います。自分の誕生日が5日後(7月12日)でもあるので。悪くないです」とも語っていました。
山中琉聖(MTヘルメット – MSI)は、プラクティス2でのスロー走行について決勝レース中のロングラップ・ペナルティを受けました。さらに決勝レースでジャンプスタートと判断され、ダブル・ロングラップ・ペナルティを科され、合計3回のロングラップ・ペナルティを消化しなければなりませんでした。厳しいレースとなりましたが、追い上げて6位でゴールを果たしています。
鈴木竜生(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)は、9番手からスタート。トップ集団でレースをしていました。フィーリングはよくタイヤの温存もうまくいっていましたが、レース中盤に前のライダーを抜くのに手間取り、9位でゴールしました。
「ムジェロとアッセンで転倒が続いていたので、リスクを冒すことができずに終わってしまった。自分のなかで不完全燃焼でした」と、レースを振り返っています。
MotoGPは約3週間のサマーブレイクに入り、サマーブレイク明けとなる第10戦イギリスGPは、8月2日から4日、イギリスのシルバーストン・サーキットで行われます。
※ロングラップ・ペナルティ…
レース中、コース外側に設定された特定のエリアを通過しなければならないペナルティ。通常のコースよりも大回りとなるため、ペナルティを消化すると数秒ロスのラップタイムとなる。
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