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WSBK第5戦イギリスレースレポート/再び3レースで勝利のラズガットリオグル、「少しずつタイトルに近づいている」

写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

目次

WSBK第5戦イギリス
7月12日~14日/ドニントンパーク

スーパーバイク世界選手権(WSBK)第5戦イギリスラウンドが、7月12日から14日にかけて、イギリスのドニントンパークで行われました。

ラズガットリオグルが今季2度目の1戦における3勝を飾る

「素晴らしい気持ちだよ。ミサノのあと、僕たちはもう一度(3レースでの優勝を)成し遂げたんだ」WorldSBK.comのインタビューより)

イギリスラウンドのレース1、スーパーポール・レース、レース2のすべてで優勝を飾ったトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)は、レース2を終えてそう語りました。

ラズガットリオグルが語る通り、前戦エミリア・ロマーニャでも同様に、3レースでの優勝を果たしています。このときは金曜日の時点で「今週末の目標は3勝すること」と語っていて、それを達成したのでした。

今回の場合もまた、ラズガットリオグルは同じように考えていました。つまり、3勝をターゲットに、イギリスラウンドに臨んでいたのです。ドニントンパークはラズガットリオグルが得意とするサーキットのひとつで、2021年以来、毎年、最低1勝を挙げています。BMWに移籍して挑んだ今季、好むサーキットであること、そしてBMWマシンへの信頼が、ラズガットリオグルにその目標を定めさせたのです。

「ここに来る前に、ボクはミサノのようにまた3レースで優勝をしようと考えていた。ここはボクが好きなサーキットだし、バイクがここでは本当によく走るんだ。特にエンジンブレーキ、それから旋回。ボクが必要なのはまさにこれで、楽に止まれるし、加速もいい。グリップはそこまでいいわけじゃないけどね。全体的に、バイクはとてもいい。だからボクのポテンシャルを楽に見せることができるんだ」

ラズガットリオグルはパルクフェルメのインタビューで、目標である3勝を達成した要因について「これはチームワークだ」と語っています。すでにBMWとの強い信頼関係を築いていることが窺えます。そうした信頼関係と1戦1戦の取り組みが、結果に結びついているのでしょう。

「もちろん、ボクも強いけどね、バイクもこのサーキットで素晴らしく走ってくれたんだ。それから、チームもバイクをよくしてくれた。感謝したいよ」

そして、ついにラズガットリオグルはチャンピオンシップについて言及しました。

「今、ボクたちは少しずつタイトルに近づいていっている」

WSBKの2024年シーズンは、全12戦(各3レース、全36レース)が予定されています。イギリスラウンドを終え、ラズガットリオグルはチャンピオンシップのランキングトップです。ランキング2番手のニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)には、41ポイントのリードを築いています。とはいえ、シーズンは中盤で残りは7戦(21レース)。まだ十分なレース数が残っています。それでも、ラズガットリオグルは「タイトルに近づいていっている」と語ったのです。

今季、レギュレーションの変更によってバラスト(おもり)を積んで走るアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)に2023年のような勢いがないという状況もあるとはいえ、それを踏まえても、今のラズガットリオグルを証明する一言であることは間違いありません。

レース1で優勝したラズガットリオグル(中央)、2位のアレックス・ロウズ(左)、3位のアルバロ・バウティスタ(右)
レース2では、ラズガットリオグルは2位のニッコロ・ブレガに8秒の差をつけて優勝した

レイ、ヤマハ移籍後初のトップ3

母国ラウンドだったジョナサン・レイ(パタ・プロメテオン・ヤマハ)が、スーパーポール・レースで3位を獲得したこともまた、ひとつの話題でした。今季、ヤマハに移籍したレイは、苦しんでいました。優勝や表彰台争いに加われないレースが続いていたのです。スーパーポール・レースの3位は、そんなレイがようやく達成した、トップ3でした。

パルクフェルメのインタビューに応じたレイは、時折、笑顔を見せながらレースを振り返りました。スーパーポール・レースは、レイが絶好のスタートを切ったことがひとつのポイントでした。8番手からスタートしたレイは、1周目で3番手にまで浮上したのです。

「ボクは見事なスタートを切った。スタートが素晴らしかったんだ。昨日、インサイドに行ってブロックされたな、と考えた。それでアウト側から回り込んでみようと思ったんだ」

戦略通りに4番手に浮上したレイでしたが、前を走るサム・ロウズ(エルフ・マークVDSレーシングチーム)を抜こうとして、奇妙な感覚になったのだそうです。

「『よし、オールド・ヘアピン(4コーナー)でサムをとらえよう』と思ったんだけど、急にバイクに乗ったことがないような気分になって、どうしよう、とすっかり緊張していたよ」

とはいえ、そのコーナーでレイはしっかりサム・ロウズをとらえて、3番手に浮上しているのですが。あるいは、レイにとって「戦っている」感覚が久しぶりだったのかもしれません。

「常にハードワークを続けてくれたチームに感謝したい。ボクたちはまだ、本当の実力を十分に発揮できていないけど、諦めないよ」

また、WorldSBK.comのインタビューのなかで、パタ・プロメテオン・ヤマハのチーム代表であるポール・デニング氏がイギリスラウンドでの「変更」について明かしています。

「今週末の前に、仕事のやり方を少し変更して、ターゲットをかなり低く設定したのです。最初のターゲットは、ヤマハのトップになること、そして表彰台争いをすること。それがチーム内であれ、ジョナサンによるコース上のものであれ、大きな飛躍をしようとして大きなミスをするのではなく、一歩一歩前進することでした。1周目に8番グリッドから3番手に浮上してみせたのは、素晴らしいペースです。大きな前進です」

レース2ではリヤのトラクションに苦しみ、8位でゴールとなりましたが、イギリスラウンドの結果は、レイにとって大きな一歩になったはずです。

連戦となる第6戦チェコラウンドは、7月19日から21日にかけて、チェコのアウトドローム・モストで行われます。

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