チェックリスト:セルは回るのにバイクのエンジンがかからない時は
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バイクのエンジンをかけようと思ったけれど、「セルは回るのにエンジンがかからない」というケースがあります。
まず疑われるのがガス欠やバッテリー上がりですが、ほかにもさまざまなことが原因でエンジンがかからないことがあるので、以下のことをチェックしてみてください。
1.キルスイッチがOFFになっていないか
2.ガス欠になっていないか
3.ギアがニュートラルに入っているか
4.サイドスタンドはたたまれているか
5.バッテリーは上がっていないか
6.ヒューズは切れていないか
7.チョークは引いたか
8.ガソリンは劣化していないか
9.スパークプラグに不調は無いか
10.呼気・排気系統に不具合は無いか
チェックポイント1.キルスイッチがOFFになっていないか
意外とキルスイッチがOFFになっていて、「セルは回るけれどエンジンの始動ができない」というケースが多いです。
キルスイッチは125cc以上のMT車に備わっており(一部125cccクラスにも装備)、エンジン点火系統のイグニッションコイルへの回路を強制遮断し、エンジンを停止させる機能で、ハンドルの右側にスイッチがあります。
自分でも記憶にないセルは回るけれどエンジンが始動されない場合は、まずはキルスイッチがOFFになっていないか確認を行いましょう。
チェックポイント2.ガス欠になっていないか
エンジンがかからない場合、ガス欠も意外と見落としがちなポイントで、燃料計がついたバイクは燃料の残量を確認してみましょう。
旧車などキャブレター式のバイクは、燃料コックがOFFになっていないかを確認し、ONの状態ならリザーブタンクにして、再度エンジン始動を試してみます。
車体にまたがって軽く左右に振ると、ガソリンが残っている場合は「チャポチャポ」と音がしますが、車重のあるバイクは立ちごけの危険性もあるので、十分に注意しながら確認しましょう。
チェックポイント3.ギアがニュートラルに入っているか
MT車でバイクの車種によっては、ギアがニュートラルに入っていないとエンジン始動ができないことがあります。
ギアがニュートラルかどうかを確認の上、クラッチを切りながらセルを回して、エンジンを始動してみましょう。
ギアがニュートラルで、なおかつクラッチを切ってもエンジンが始動できない場合は、別に原因がある可能性があります。
チェックポイント4.サイドスタンドはたたまれているか
車種によっては、サイドスタンドが出ているとセーフティスイッチが作動し、エンジンが始動できません。
クラッチを切りながらセルを回すとエンジンが始動できるMT車もありますが、最近のバイクはサイドスタンドが出ていると、クラッチを切っていてもエンジン始動ができないことが多いです。
サイドスタンドが最後まで収まっていないとエンジンがかからないので、サイドスタンドを収めているのにエンジン始動ができない場合は、サイドスタンドがしっかり最後まで収納されているかも確認してみましょう。
チェックポイント5.バッテリーは上がっていないか
バッテリーが上がっているとセルが回らなかったり、「カシャカシャ」と音を出すだけで、エンジンが始動しなかったりします。
セルを回すには大きな電圧が必要となるため、バッテリーが上がっていたり、電圧が不足していたりするとエンジン始動には至りません。
テスターでバッテリー電圧を確認し、13~14V前後の電圧があるか確認しますが、特に古いバッテリーは、気温の低い日はバッテリーの性能が落ち、電圧も大きく下がりやすいのです。
チェックポイント6.ヒューズは切れていないか
何等かの原因で電気回路に過電流が流れた場合、ヒューズが切れて回路や電子部品を保護するようになっており、ヒューズが切れているとエンジンの始動ができないことがあります。
平常時はヒューズを通って電気が流れていますが、ヒューズが切れると電気回路が切断されるため、エンジンに関わるヒューズが切れるとエンジンの始動ができません。
多くのバイクはシート下にヒューズがまとめて収納されるヒューズボックスがあるので、ヒューズが切れていないか確認し、切れているなら新しいヒューズと交換しましょう。
ただし、過電流などヒューズ切れの原因が取り除かれていない場合は、せっかくヒューズを交換してもまた切れることがあるので、その場合はバイクショップで点検してもらうのがおすすめです。
チェックポイント7.チョークは引いたか
チョークはガソリンを濃くし、エンジンのかかりをよくするための機能で、気温の低い日はチョークを引いてエンジンの始動性を高めます。
最近のインジェクションを装備したバイクはオートチョークが多いですが、キャブレター車の場合は、気温の低い日はチョークを引いてエンジンを始動しましょう。
チョークを引いたまま走行するとエンジンが停止してしまうので、チョークを引いてエンジンを始動した場合は、しばらくアイドリングさせたらチョークを忘れずに戻しておきます。
チェックポイント8.ガソリンは劣化していないか
ガソリンが劣化していると粘度が出たり、錆などの不純物が混ざったりして、燃料系統が詰まり、燃料供給に支障が出る恐れがあります。
2ヶ月以上バイクを動かしていない場合は、一度中のガソリンを抜いて新しいガソリンに入れ替えをした上で、エンジンを始動しましょう。
ガソリンは可燃性の危険物なので、抜いたガソリンは最寄りのガソリンスタンドで引き取ってもらいますが、ガソリンの持ち運びにはガソリン専用の容器が必要です。
チェックポイント9.スパークプラグに不調は無いか
スパークプラグ(プラグ)は、エンジンで圧縮された混合気に火花を飛ばして着火する役割のパーツです。
プラグが劣化したり、汚れなどでかぶっていたりすると、エンジンの始動ができない場合があります。
プラグレンチでプラグを取り外し、先端が汚れていたりガソリンなどで濡れていたりしたら、ブラシやウエスを使って汚れや濡れを取り除くか、汚れがひどい場合は新品に交換しましょう。
チェックポイント10.呼気・排気系統に不具合は無いか
吸気系統はガソリンと混合する空気の取り込み口で、吸気系統に詰まりがあると適正な空気が取り込めず、エンジンが始動できない原因にもなります。
吸い込む空気は、エアクリーナーによって埃やゴミなどを取り除いてくれますが、エアクリーナーも消耗品ですので、5,000km毎を目安に交換しましょう。
また、排気系統に詰まりがある場合もエンジンが始動できず、特にチャンバーがカーボンなどで詰まりやすい2スト車は、排気系統にも詰まりが起きていないか確認をしてみてください。
転倒してエンジンがかからない時
バイクを転倒させると、エンジンがかからなくなることがあります。
インジェクション車は転倒させるとセンサーが働き、安全装置が作動して電気系統を強制的に寸断することがあるので、バイクを引き起こしてから5分程度置いて、エンジンを始動してみましょう。
キャブレター車は、ガソリンを溜めるキャブレターのフロートからエンジン内部にガソリンが漏れ、始動できなくなることがあります。
バイクを引き起こしてしばらく放置していると、ガソリンが自然に揮発してエンジンがかかるようになる場合がほとんどですので、しばらく時間を置いてエンジンを始動してみましょう。
バイクのエンジンを上手にかける方法
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バイクのエンジンを上手にかける方法には、以下の2つがあります。
- チョークを正しく引く
- スロットルを開けない
これらを意識してエンジンをかけると、スムーズな始動につながりやすいです。
ポイント1.チョークを正しく引く
チョークが付いているバイクは、チョークを正しく使えばエンジンの始動がスムーズになりますが、使い方を誤るとプラグがかぶり、エンジン不調の原因になることもあります。
気温の低い日やエンジンの始動性が悪い時はチョークを引きますが、チョークを引く際は最大まで目一杯開いてください。
チョークを引いたままセルを回し、エンジンが始動したらしばらくはアイドリングが高い状態になりますが、2分ほど時間をおいてチョークを閉じていき、回転数が安定したらチョークが閉じているか確認して出発OKです。
ポイント2.スロットルを開けない
エンジン始動の際は、スロットルを開けたほうが燃料を送り込んで始動性が上がるような気がしますが、スロットルは開けずにセルを回しましょう。
エンジン始動時にスロットルを開けると、無駄に燃料を送りこむことになり、混合気のバランスが崩れてエンジン不調の原因になることがあります。
チョークを引いてエンジンを始動するときも同じで、スロットルは閉じたままエンジン始動を行いましょう。
エンジンがかからない時は押しがけを試してみる
バッテリー上がりなど、ガソリンはあるのにエンジンが始動できなくなった場合、押しがけできればエンジンが始動することもあります。
バッテリー上がりが疑われる場合や、ツーリングなど旅先で急にエンジンが始動できなくなった場合は、以下の方法で押しがけを試してみてください。
ただし、スリッパークラッチやバックトルクリミッターが備わったバイクは、押しがけしようとするとクラッチが滑り、エンジン始動には至らないので、それらの機能がないバイク限定の方法となります。
押しがけ方法
押しがけは以下の順番に行いますが、ご自身と周囲の安全を確保しながら、立ち転けに注意しつつ行いましょう。
- イグニッションをONにしてギアを2速~3速に入れ、クラッチを切ったままバイクを押して軽く勢いをつけます。
- ある程度加速がついたらクラッチをつなぎ、エンジンがかかったらクラッチを切りましょう。
クラッチをつないでもエンジンがかからない場合は、加速が足りなかった可能性があるので、再度1から試してみます。
言葉だけだとイメージが掴みにくいかもしれませんので、YouTubeなど動画配信サイトで「バイク 押しがけ」の検索ワードで該当動画を探し、見ておくとよりやりかたが掴みやすいです。
車重の重いバイクの場合
押しがけはコツさえ分かれば力に関係なくできるようになりますが、車重の重い大型クラスのバイクは車体を押すこと自体が困難なことがあります。
立ちごけで怪我をする可能性もあるので、バイクや周辺の状況に合わせて安全を確保した上で試してみてください。
車重の重いバイクで押しがけを行う場合は、できれば自分を含めた2人以上がいる状態で行うのが理想です。
押しがけの注意点
押しがけはクラッチやエンジンに負担がかかるので、あくまでも緊急時のエンジン始動方法で、頻繁に行うのはおすすめできません。
また、バッテリー上がりではなく、パーツの破損など機械的な原因がある場合は、よりエンジンに負担を与える可能性もあります。
しかし、押しがけができると緊急対応ができるようになるので、エンジン始動ができなくなった場合は、状況に応じて試してみてください。
まとめ
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バイクのエンジンかからない場合の、チェックするポイントについて解説してきました。 エンジンが始動しない場合、バッテリー上がりやガス欠、スタンドが最後まで収まっていないなどさまざまな原因があります。
今回解説してきた内容を参考に、疑わしき箇所から1つずつ試してみてください。
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