ダートフリークが新たに開発した電動原付バイク「GE-N3」。気になる公道での走行性能を試すべく、ライドハック編集部員イザワが1週間GE-N3で通勤してみました!
「いつもの道も、道なき道も。」ダートフリークが新開発した「GE-N3(通称: ゲンさん)」は、このキャッチコピーの通り、通勤・通学や買い物などで走るいつもの道も、未舗装路やオフロードコースでの走行性能も兼ね備えた電動原付バイクです。静かで小回りが効くGE-N3は、ライドハックで取材したようにショートツーリングにもぴったり。細い道が多い瀬戸の街も、するすると駆け巡りながら楽しむことができます。また、2025年3月の発売に先駆けて、オフロードコースでの試乗やレース参戦を通してその走行性能の高さを実証してきました。

では、通勤・通学、買い物など普段の足としてはどうなのでしょうか? 今回はライドハック編集部員イザワが1週間通勤で実際に使用し、その乗り心地をじっくり体験してみました。
なお、私(イザワ)の通勤ルートは、編集部のオフィスがある東京都練馬区から自宅がある神奈川県横浜市まで、片道約36km。GE-N3は第一種原動機付自転車に区分され高速には乗れないため、国道246号や都道318号の下道を通って通勤します。かかる時間は片道で大体1時間半〜2時間です。

¥396,000(税込 予価)
https://www.yotsubakids.jp/ge-n3
まず目を引く、ツールライクなデザイン

私が最初にGE-N3を見たのは名古屋モーターサイクルショーでのお披露目時でした。初めて実車を前にして「かわいい!」とまず見た目に惹かれたのを覚えています。現代的なデザインなのに、どこかレトロな雰囲気もあって親しみやすい。加えて車体はスリムで、これは街中でも取り回しが良さそうだなと思いました。
1回の充電で約60km走行可能、ランニングコストが安い

乗る前に、まず気になるのが、充電がどこまで持つかというところ。ホームページにも書いてある通り、満充電からの走行距離の目安はおよそ60km(※1)。つまり私が通勤で使用する場合、片道分は問題ないですが、往復するには足りないため、職場と自宅で1回ずつ充電する必要があります。充電は家庭用100V電源を使った場合、満充電までにおよそ5~6時間かかるため、勤務中/帰宅後に充電しておけばバッテリーは満タンの状態で通勤できるというわけです。
※1 公道での実走行の値。ライダーの体重、タイヤ空気圧、路面コンディション、坂の有無などで変化します。テストコースでの30km/h定速走行テストでの走行距離は100km。
また、GE-N3の魅力の一つが維持費の安さ。1回の充電コストは約50円(※2)で、ガソリンバイクや軽自動車と比べても経済的で、片道7〜8kmの通勤なら、ガソリンスクーターの約1/4、軽自動車の約1/10のコストに抑えられるそうです。ガソリン代が高騰している今、このランニングコストはとても魅力的ですよね。
※2 電気代1kwh30円、レギュラーガソリン168円/Lで試算
乗って驚く、車体の扱いやすさ


GE-N3を起動するためには、スマートキーを使用します。シートの前方にキーをかざすと電源がオンになる仕組みで、ピッという音で電源がつきます。ガソリン車とは異なる機能にすでに心が浮き立ちます。
GE-N3での初通勤は、職場から自宅への帰宅ラッシュ時。乗り始めてまず感じたのは、マシンの軽さと取り回しやすさです。重量が58kgと軽量で、さらに車体がスリム。足つきは159cmの私で足が地面にべったりつきます。信号待ちで止まる時などにマシンの重さで少しふらついたり、片足体重で待つため「バイクを支えている」という感覚が大きいのですが、GE-N3ではそのようなことは感じませんでした。バイクに乗せられている、のではなく、乗っている・操っているという感覚の方が大きくて、安心して扱うことができ、特に通勤ラッシュでストップ&ゴーが多いとき、この軽さと取り回しやすさが乗りやすさにつながっていると感じました。
安心感が生まれたことで、細い道やタイトなコーナーも危なげなく走行でき、初日ですでにその乗りやすさを実感。そういえば、開発担当の方が「車体が軽くて扱いやすいので、フロントアップやジャックナイフが簡単にできますよ!」と楽しそうに説明していたことを思い出し、たしかにこれならフロントアップができない私でもコントロールできるかも……と思えるほどでした。

仕事で疲れた後に1時間半かけて帰るのは結構ハードなのですが、これが意外にも疲労感を感じることなく、最後まで楽しんで帰宅できたのは驚きました。車体の軽さはもちろん、パワーがしっかりと出るため加速感もスムーズで、意のままに操りながら走行できたことが楽に感じました。
なお、満充電で出発し、帰宅時の充電残量は41%でした。
2種類のレスポンスモードで走り心地がまるで変わる

GE-N3は公道走行用としてモード1(ソフト)とモード2(クイック)という2つのレスポンスモードがあります。モード1(ソフト)は穏やかなスロットルレスポンスのため雨天時などグリップの悪い状況での走行向きです。一方、モード2(クイック)はスロットルを開けると同時にパワーレスポンスがあり、実際に乗ってみると、その違いを大きく感じます。
モード1(ソフト)はスロットルをひねっても初速は穏やかに抑えられており、徐々にパワーが出てくるため発進時に安心感があります。一方、モード2(クイック)はスロットルを開けると同時にパワーが出る感覚で、スロットル開度にかなり忠実にスピードが出る印象です。レスポンスが良い分スロットルコントロールが繊細で、例えば、道路の凹凸で車体が衝撃を受けた時にスロットルの開閉度がブレると、それに合わせて出力が変わりギクシャクする場面がありました。自分で細かなスピード調整を行うならモード2(クイック)が楽しいですし、一定の速度で走行する公道はモード1(ソフト)の方が相性が良いのかもしれません。好みに合わせてモードを試してみるのが良いでしょう。また、今回の取材中に雨が降ることはなかったのですが、夜に雨が降り、路面が湿った状態で通勤することがありました。このように滑りやすい路面状態の時はモード1(ソフト)が安心です。なお、最高速度は両モードともに55km/h前後(※1 ※2)です。両モードに大きな電気消費の差はありません。
※1 下り坂ではそれ以上にスピードが出る場合もあります。
※※2 日本での法定速度は30km/hです。
今回は使用しませんでしたが、オフロードコース走行用にパークモードも備わっています。テールランプユニットを取り外した状態でのみ選択できるモードで、公道を走行することはできません。しかし、自走でコースまで行き、そのままコースに入って走行を楽しめる、公道もオフロードも垣根なく楽しめる特徴は、さすが、オフロードバイクに特化したダートフリークが開発したバイクだと感じます。
帰宅後、家庭用電源に充電器を繋ぎ、充電をします。バッテリーは取り外すことができないため、コンセントが近くにないという方は延長コードを使うなどするのがおすすめです。
荷物の積載・ライディングポジションは自分好みに

今回通勤するにあたって自宅と会社で充電する必要があったため、バッテリーを持ち運んでいました。最初は自分のリュックに入れていましたが、毎日繰り返すとさすがに肩が疲れてしまったので、バイクへの積載を試します。GE-N3の積載スペースにDFGのモジュールモトパック15Lを取り付けてみたところ、充電器もピッタリ入り、ジャストサイズでハマりました。(※バッテリーは試乗時のもの。発売時には変更する可能性もあります)。今回はバッグを選びましたが、カゴやケースなどを取り付けても良さそうです。


また、ライディングポジションが簡単に変更できるのも特徴の一つ。フットペグポジションは4つの取り付け穴から選ぶことができ、左から1~2番はゆったりバイクに跨るコンフォート志向、3番は一般的なオフロードバイクに近いポジション、そして4番はトライアルバイクに近いポジションとなっています。リアサスペンション下部の取り付け位置も調整可能で、最低地上高/サスペンションの硬さ/キャスター角を変更できるため、体格や好みに合わせて最適なポジションを探すことができます。私が乗り始める前はトライアル向きの4番ポジションでしたが、公道を走るには少し後ろすぎたため調整して試したところ、2番のポジションが一番しっくりきました。

1週間通勤で使ってみて「GE-N3は疲れにくいバイクだな」と感じました。今回は片道36kmという長距離の通勤での使用でしたが、近場のスーパーへの買い物や、ちょっとしたお出かけにも自転車感覚で気軽に乗り出せます。通勤や街乗りでの使いやすさとオフロードでの高い走行性能を両立したGE-N3をぜひ体験してみてください。


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