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釘村忠、完勝! 鈴木健二が不調で若手・保坂がランキング1位に台頭

全日本エンデューロ選手権

第2戦 中日本大会

日程:2021年5月29日(土)、30日(日)

場所:三重県 いなべモータースポーツランド

 

チャンピオン釘村忠がマシントラブルによってノーポイントという衝撃の開幕戦でスタートした2021年のJEC全日本エンデューロ選手権、いよいよ雪辱の第二戦を迎えた。2年目の開催となるいなべモータースポーツランドは今年は2デイズ形式を取り、1日毎にポイントが加算される。

 

目次

大雨の影響が色濃く残る土曜日

コースカットがリザルトに影響

 

レースウィークの木曜日に日本全土に降り続いた大雨の影響は色濃くコースに残っていた。金曜日にレースの下見をするライダーたちはみな長靴を履いていたが、モトクロスコースはぬかるみ、長靴が埋まって抜けなくなってしまうレベル。

 

いなべモータースポーツランドは乾くのが早いと言われる土質ではあるが、ウッズの中谷水はけの悪い部分はもちろん残る。コースレイアウターを務めたOPEN AREA中嶋宏明氏は頭を悩ませたに違いない。

 

土曜日の朝、コースの状況を見て、3箇所ほどのコースカットが発表された。しかしそれでも読みは甘かった。レースが始まると2周目で大渋滞が発生し、大幅な追加コースカットが発表された。

IAクラスではなんと釘村忠がすべてのテストで1番時計を記録。開幕戦の悔しさを爆発させたかのような走りだった。

 

身体が本調子ではないという鈴木健二を秒差で抑えて2位に入ったのは保坂修一。広島で2位に入った飯塚翼は2周目のクロステストでコースアウト。復帰に時間がかかり2分ほどのロスを喫し、初日を9位で終えた。

「後半は身体が動くようになったのですが、3周目くらいまでは全然動かなくて、やばいなーって思ってました。自分の走りをすることに集中して少しづつペースを上げていったら、なんとかトップタイムでした」(釘村忠)

 

「今日はよく転びますね。丸太で前転したり川でコケたり、ダメダメです。昨日から足首が痛くて、3周目くらいでやっと痛み止めが効いてきました」(鈴木健二)

 

「去年のいなべから比べたら、釘村さんや健二さんとの差が少しだけ縮められたかな、と思います。ラインの繋ぎ方が、やっぱり上手くてそこをどんどん盗んでいきたいです」(保坂修一)

IBクラスは怪物級のスーパールーキー酢崎友哉が1周目にチェーンガイドを破損し、レースから離脱。富永陽平、山西利康、田村公邦という順位。

 

「骨折からの病み上がりで全然練習できていなかったのですが、なんとか後半は身体が動いてくれて楽しく乗れました。20年くらい前にモトクロスのIAだったんですけど、ブランクが長かったので……。今年は全戦出て、全日本のポイントでIAに昇格を目指しています」(富永陽平)

 

また、ウイメンズクラスでは保坂修一の妹、保坂明日那が出場したがチェーントラブルで6分の遅着を喫し、優勝は太田晴美の手に渡った。

また、土曜日の夕方にはデュアルレーンによるスーパーテストが開催。IA、IBクラスのライダーが2人1組となってモトクロスコースに設置された特別テストを走り、タイムが加算された。

 

ここを制したのはモトクロスIAの榎田諒介。4秒差で飯塚翼、鈴木健二、釘村忠。この3人は1秒以内のタイム差だ。保坂はそこからさらに2秒ほど遅れて5位。かつて日本でも開催されていたエンデューロクロスのようなこのレースフォーマットはショー的な要素が強く、NA、NB、承認などスーパーテストが開催されないクラスのライダーやチーム員たちの応援で大いなる盛り上がりを見せた。

 

 

完全に回復したコンディション

カチパンいなべで釘村が完全勝利

明けて日曜日、路面は完全に乾いていた。JECとしてはやや変則的なタイムスケジュールだが、このいなべ2デイズは午前中にIA、IB、NAクラスが、午後にNB、W、Jr、承認クラスがレースを行なっていたため、上位クラスは土曜日の午後の路面を知らなかった。また、テストの一部でコースチェンジが行われたため、日曜日も1周目は計測なしということになった。

 

コンディションが回復しても、釘村の好調は続いていた。全テスト中2回、飯塚に1番時計を譲ったが、それでもほとんどのテストでトップタイムを叩き出し、文句なしの優勝。

テストタイムだけなら2位に鈴木健二が入ったが、なんとファイナルクロスで転倒、脳震盪を起こしてリタイヤし、6分加算のペナルティを喫してしまった。

そのため2位に入ったのは飯塚翼。続いて3位に保坂修一、4位に榎田諒介となった。この2位争いはレース後半から表面化してきており、逃げる保坂VS追う榎田の図式が非常に面白かったが、最終的にはファイナルクロスで釘村に続いて2位となった飯塚がかっさらう形になったのだ。

IBクラスでは土曜日の鬱憤を吹き飛ばすように、酢崎友哉が圧倒した。全テスト1番時計は当たり前。ファイナルクロスでは8位でトップの馬場崇行に16秒ほどの差をつけられたが、それでも合計で2分以上のビハインドを持って優勝となった。テストタイムはIAクラスでも一桁台のものだった。

 

ちなみにIBクラスは2位に富永陽平、3位には河村広志、4位には青木琥珀が入った。

ウイメンズクラスは保坂明日那がテストタイムを詰めた。ファイナルクロスで転倒し、6位だったものの、太田晴美を1秒差で破り優勝。

「ファイナルクロスはスタートが8割でしたね。上手く出られたので、良かったです。全体的にも一回テストでミスはありましたが、転んではないし、いい感じでした。もう少しプッシュできそうでしたが、マージンもありましたので、自分のペースを守りました」(釘村忠)

 

「昨日はちょっとマシントラブルがあって、すごく落としてしまったのですが、それ以外のタイムは良かったです。今日は2周目くらいから低回転が吹けなくて……。上は問題なかったのでファイナルクロスはちゃんと走れました。一回事前練習に来たのと、4ストロークにマシンをチェンジしたのが大きいですね」(飯塚翼)

 

「ファイナルクロスがボロボロで、3位という実感はありません。おそらくランキングは1位になったんじゃないかな、と。実は骨折していたので、かなり辛いレースでしたが、なんとか走りきれて良かったです」(保坂修一)

 

「今日は昨日よりも全然乾いてて、地元の成田の乾いた時とすごく近いコンディションで、走り慣れた路面なので、クロステストは自分でも手応えを感じました」(酢崎友哉)

 

「昨日はチェーンが外れてしまって遅着しちゃったのですが、今日はファイナルクロスで転んでしまって……転ばないように落ち着いて走ります」(保坂明日那)

 

「昨日は熱中症っぽくなっちゃって最後まで自分の走りができなかったんです。今日は頑張ってプッシュしていたんですけど、その分ミスも多くて、なかなかタイムが出せませんでした。最後のファイナルクロスで頑張って総合1位はなんとか死守しました」(太田晴美)

 

JEC全日本エンデューロ選手権、次戦は日高ツーデイズの代わりに留寿都村のビッグベアOHVパーク周辺を使った約40kmの公道レースが開催されることが発表。日程は9月18日、19日だ。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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