台湾・台北のショップCHMOTOから依頼を受けた、サンクチュアリーの「RCM-758 GPZ1000RX」。9月28日と10月2日の公式ブログで、足まわりを構成するためのワンオフ加工や、全分解前の確認作業、塗装後のフレームの様子が紹介された。
2回の報告は同じ車両の連続した進捗である。本記事では重複する経緯をまとめ、リアサスペンション、トップブリッジ、バッテリー搭載位置、エンジンという順に、確認できた内容を整理する。完成車の発表や市販キットの発売ではない。

台湾から届いたGPZ1000RXを、個別の構想に合わせて製作
RCM-758は、台北のCHMOTOから製作を依頼されたGPZ1000RXだ。公式報告では、別車両のRCM-738 Ninjaとともに台湾から海上輸送され、東京港を経由してサンクチュアリー本店に運ばれた経緯が紹介されている。
今回取り上げるのは、そのうちGPZ1000RXのRCM-758。サンクチュアリーにとって経験の少ない車種で、個別製作する部品や加工が多いため、工程ごとの確認を重ねながら進めているという。
同じ輸送写真に写るRCM-738の仕様や進捗と混同せず、758の番号と車種をセットで見ると、連載の流れを追いやすい。
OHLINS TTXを収めるため、取付部と周辺レイアウトを検討
リアまわりでは、OHLINS TTXリアショックを使うために、ショックのマウント部やリンクプレート取付部を製作している。スイングアーム側の取付部にはA5052アルミ材を用い、車両に合わせて削り出した部品を準備した。
ほかにも、SS400材のショック取付部や、SPCC材から切り出して曲げた補強材、バッテリーケース用のブラケットが紹介されている。ここで示される素材や部品は、このプロジェクトに合わせて選定されたものだ。
取り付けられるだけでなく、後から外せるかも確認
仮組みの段階では、リアサスペンションのリンクプレートと締結ボルトが、スイングアームの補強パイプに対してどの位置になるかを確認。ボルトを脱着できるようにする必要があり、補強パイプの位置を何度か変更したと報告されている。
完成した状態の強度や姿だけでなく、組み立てや整備の際に工具やボルトが通るかどうかも構成の条件となる。RCM-758の報告は、単に部品を装着できれば終わりではない、という製作上の確認事項を具体的に示している。
バッテリー搭載位置も移動
10月2日の続報では、TTXリアショックを取り付けるために、バッテリーの搭載位置を移す必要があったことも説明された。写真にあるワンオフのバッテリーケースは、その後さらに造り直しているとしている。
したがって、掲載写真のケースを最終形と断定することはできない。限られた車体内に部品を配置する過程で、仮の形状から改善を重ねている段階として捉えたい。
フロントの約8mmを調整するため、専用トップブリッジを試作
フロントには、GPz900R Ninja用のユニバーサルOHLINS倒立フォークExMパッケージを組み合わせる方向で検討していた。しかし、トップブリッジの上にセパレートハンドルを配置するためにフォーク側のクランプ部を突き出したところ、狙う車体高さに対してフロントが約8mm低くなったという。
サンクチュアリーは、その状態のまま進めず、トップブリッジを一品物で製作する方法を依頼主に提案。了解を得たうえで、金属を切削する前に社内の3Dプリンターで樹脂製の試作品を作り、合わせ確認を行った。
樹脂製の試作部品で見たのは取付関係
試作品では、ハンドルの取付位置と車高に加え、メインキースイッチの固定やステアリングロックの作動関係まで確認している。
この樹脂部品は、寸法や干渉、取付位置を確認するための試作品であり、走行に使う完成部品として紹介されたものではない。3Dプリントで形状を早く確かめ、その結果を本製作へつなげる工程が、ここでの注目点になる。
また、約8mmという数値はRCM-758の特定の組み合わせで発生した差であって、GPZ1000RXすべてに共通する調整量ではない。別の車両へ部品を流用するときの目安として、そのまま使うことは避けたい。
事前確認を終えて全分解、フレームとエンジンの基礎工程へ
足まわりや各取付部の確認を経て、車体は全分解に進んだ。リアサスペンションの取付メンバーなどを本溶接し、フレーム側の基礎加工を完了。エンジンも全分解されている。
エンジンについては、シリンダーヘッドに欠けていた冷却フィンを、塗装前に溶接で成形したことが報告された。一方、内部にどの対策部品を採用するかについては、この時点で詳細な確定仕様が示されていない。
公式ブログには後期型の対策部品が必要になる可能性への言及もあるが、それをそのまま交換済み部品の一覧として扱うことはできない。今回確認できる進捗は、分解と基礎工程までだ。
10月2日の報告では、パウダーコート済みの部品が戻る
続報では、フレームと車体の小部品がパウダーコートから戻ってきた。次の段階として、車体組み立てやエンジン部品の内燃機加工を紹介できる見込みが示されている。
つまり、2回の報告を時系列で読むと、仮組み・寸法確認、全分解、本溶接や基礎修正、塗装という流れになる。完成までにはまだ工程が残っており、現時点の写真だけで最終的な外観や性能を判断することはできない。
RCM-758の進捗を追うための要点
- 依頼元は台湾・台北のCHMOTO。ベース車はGPZ1000RX。
- TTXリアショックの採用に向け、マウント、リンク、補強パイプ、バッテリー配置を個別に検討。
- フロントの車高とハンドル位置の両立に向け、トップブリッジをワンオフし、樹脂試作で合わせ確認。
- フレームとエンジンの基礎工程を経て、パウダーコート済み部品が戻った段階。
- 完成時期、販売価格、完成車の走行評価、一般販売部品の発売については未発表。
RCM-758で見えてくるのは、既存部品の名称を並べるだけでは成立しない車体づくりだ。部品同士の位置関係や整備性を確認し、必要なら試作品を使って形状を詰める。次の組み立て工程を楽しみにしながら、こうした基礎作業にも目を向けたい。
出典・関連情報
本記事は2026年10月19日時点で確認できた公式情報に基づいています。予定、仕様、販売条件は変更される場合があるため、最新情報は各公式ページで確認してください。











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