バイクツーリングを存分に楽しむためには、快適さと安全性を兼ね備えた服装が不可欠です。
しかし、「どんな服装を選べばいいのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ツーリングにおける基本的な服装から、季節やシーンに合わせた最適な選び方までを詳しく解説します。
どのような状況でも快適で安全にツーリングを楽しむためのポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
ツーリングの基本的な服装
ツーリングを安全かつ快適に楽しむため、まずは基本的な服装について確認していきます。
バイクは車と違って、身体を守る外壁がありません。だからこそ、走行中の風や天候の変化に対応できる安全な服装や装備が必要です。ここでは、ツーリングの基本的な服装と装備を紹介します。ツーリングには当たり前の装備も含まれていますが、改めてその重要性を確認してみてくださいね。
ヘルメット
バイクに乗るとき、ヘルメットは最も重要な基本装備のひとつです。警視庁のデータによるとバイク事故の主な死亡原因は頭部の外傷によるものが多いとされています(※1)。
適切なヘルメットを選ぶことは、安全なツーリングを楽しむための基本です。まずはどのような種類があるのかしっかりと確認していきましょう。
ヘルメットには以下の3つの種類があります。
種類 | 特徴 |
フルフェイスヘルメット システムヘルメット クロスオーバーヘルメット | 頭全体を覆い、顎までしっかり保護できる 風や騒音を防ぐため、ロングツーリングや高速道路での走行に適している |
ジェットヘルメット | 顎部分が開いていて、通気性がある 着脱がしやすいため、街乗りや短時間のツーリングに向いている |
ハーフヘルメット | 頭の半分を覆うタイプで、軽い 視界が広く開放感があるが、安全性はやや劣るため、街乗りでの使用に適している |
※ヘルメットには125cc以下で利用が制限されているものもあります。これは主にハーフヘルメットに多いため、125cc以上のバイクを持つ方は注意が必要です。
ヘルメットを選ぶ際には、安全基準を満たしているかを確認することが大切です。JIS、SG、ECEなどの安全規格に適合したものを選び、実際に着用してサイズやフィット感を確かめましょう。初心者の方はバイク用品店で試着し、専門スタッフのアドバイスを受けながら選ぶのが安心です。
また、実際の走行時には顎紐をしっかり締めることも忘れないようにしましょう。高性能なヘルメットでも、顎紐が緩んでいるとその効果を十分に発揮できません。安全で快適なツーリングを楽しむために、ヘルメット選びは慎重に行いましょう。
(※1)二輪車の交通死亡事故統計(2023年中)|警視庁
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グローブ
バイク用のグローブには機能性を重視したものからおしゃれなデザインのものまでさまざまな種類があります。ツーリング初心者の場合、まずは万が一の転倒に備えて、衝撃吸収材やプロテクターが内蔵されているグローブを基準に選びましょう。そのうえで、防風性や防水性に優れたグローブや、通気性の良いメッシュ素材のグローブなど、ツーリングを楽しむための機能を検討してみてください。最近では、スマホをナビ代わりに使うライダーも増えているため、スマホ操作が可能なグローブも人気があります。
グローブを選ぶ際は、必ず手のサイズに合ったものを選ぶことが重要です。サイズが合わないとバイクの運転に影響し、手の疲労や思わぬ事故の原因となることがあります。購入前には必ず試着し、サイズ感を確認すると安心です。
ライディングシューズ・ブーツ
バイクの運転には、専用のライディングシューズやブーツを履くことをおすすめします。ライダーの中には一般のブーツやスニーカーを使う方も多いですが、ライディングシューズやブーツは転倒時に怪我をしやすい部分にプロテクションが内蔵されているため、安全性が高まります。また、靴紐の代わりにワイヤーで調整できるBOAシステムや、脱ぎ履きがしやすいサイドジッパー式のデザインなど、ライディングに特化した工夫が施されているため非常に便利です。
バイク用というと、派手なレース仕様をイメージしがちですが、最近では日常使いしても違和感のないカジュアルなデザインのライディングシューズやブーツも多く販売されるようになりました。さらに、防水透湿性が高いものや断熱素材を使用した防寒機能付きのシューズやブーツなど、急な天候変化にも対応できる機能も充実しています。ギアチェンジやブレーキ操作に直接影響するため、安定した運転操作ができるライディングシューズやブーツかどうかは確認して選ぶことが大切です。
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プロテクター
バイクに乗る際、プロテクターは着用することを強くおすすめします。
ヘルメットとは異なり、プロテクターの着用は義務付けられていませんが、転倒時に身体を保護するために非常に重要な装備です。特に胸部のプロテクターは重要です。警視庁のデータによれば、バイクの死亡原因の第2位は胸部損傷であると発表されています(※2)。
もちろんプロテクターには、胸部だけでなく脊椎、肘、膝など、身体のさまざまな部位を保護するものがあります。これらは守る部位ごとに単体で購入できるほか、ベストやインナースーツのような一体型となっているもの、転倒時にエアバッグが作動するもの、ジャケットやパンツに内蔵されているものなどさまざまな形で購入が可能です。動きやすさにも影響するため、なるべく自身が利用しやすいものを選ぶことが大切です。
ライディングジャケット
バイク用のライディングジャケットは、転倒時に身体を保護するプロテクターが内蔵されているのはもちろん、素材、機能性、デザインなどさまざまな工夫が施されています。特に、長時間の走行でも疲れにくいようライディング姿勢にフィットする立体縫製が施されている点は、一般的なジャケットと大きく異なります。ライディングジャケットは季節にあわせて主に以下3つのタイプに分けられますが、時期に適したものを選ぶのがおすすめです。
種類 | 特徴 | 季節 |
3シーズンジャケット | ・通気性と防風性のバランスがよい ・ベンチレーション機能を持つものが多い ・軽量かつ動きやすい設計で疲れにくい | 春・夏・秋 |
メッシュジャケット | ・高い通気性で蒸れや汗を逃がす ・素材が軽量で疲れにくい ・素材が柔軟で動きやすい | 夏 |
ウィンタージャケット | ・防風性が高く、風の侵入をブロックする ・防寒性が高く、体温を保つ ・防水・透湿性が高く雨や雪でも利用できる ・反射板を付いている製品が多く、視認性が向上する | 冬 |
上記のような一般的な機能に加えてインナーの着脱や多機能ポケットなど、より快適な使い勝手を意識した製品もあるのでぜひ自分にあったものを探してみてください。
また、ライディングウェアにはスポーティーなものからヴィンテージ感溢れるものまでデザインが豊富に選べる点も魅力のひとつです。愛車と雰囲気を揃えてみたり、普段とは違う印象のデザインを選んでみたり、機能性だけでなく自分のスタイルや好みに合ったデザインを選んでみてください。
ライダーの中にはこだわりのジャケットを着てツーリングに行きたい!そんな方もいるかもしれません。その方にはジャケットのしたにインナープロテクターを着用する方法もおすすめです。
ライディングパンツ
最後に紹介するのは、ライディングパンツです。バイクの基本装備として、非常に重要な役割を果たします。ライディングパンツは、膝や腰など負傷しやすい部位にプロテクターを内蔵し、身体への負担を軽減する立体縫製が施されています。
通常のパンツとの最大の違いは、裾が少し長めに設計されている点です。この工夫により、走行中にパンツの裾がずり上がり、足首やふくらはぎが露出することを防ぎます。さらに、ライディングジャケット同様、季節に応じた素材選びも大切です。夏には通気性の良いメッシュ生地、冬には防風・防寒性に優れた素材を選ぶことで、快適に運転できます。
最近では防水機能を持つ製品も増えており、天候が変わりやすい地域でのツーリングにも便利です。デザインも豊富にあるため自分のライディングスタイルに合わせて最適な選択が可能です。
季節に適したツーリングの服装
春夏秋冬、それぞれの季節に合わせた服装を選ぶことはツーリングを快適に楽しむために欠かせません。ここでは、ライディングジャケットを基本として、季節ごと快適な服装選びのポイントについて紹介します。
春のツーリング時の服装
日中は暖かいものの朝晩は冷え込むことが多い春は、寒暖差に注意して服装を選ぶことが大切です。ライディングジャケットは幅広い気温に対応しやすい3シーズンジャケットが良いでしょう。名前のとおりシーズンを跨いだ利用できるジャケットのため、寒暖差のある春にはおすすめです。加えて、朝晩の冷え込み対策として着脱が簡単なインナーダウンやフリースなどの防寒着を持っていくと、なお安心です。
また春は、花粉が多く飛ぶ時期でもあります。そのため花粉症の方はヘルメットの下にフェイスマスクやネックガードの着用がおすすめです。これにより、走行中のくしゃみや目のかゆみを防ぎ、安全にツーリングを楽しむことができます。
夏のツーリング時の服装
夏のツーリングはとにかく暑いので、つい半袖で走りたくなりますよね。しかし、安全性を考慮するなら長袖長ズボンの着用は外せません。そこでおすすめなのがメッシュ素材のライディングジャケットです。メッシュ素材は通気性が良く、走行中に風を取り込みながら熱を逃がすため、長袖でも快適さを保つことができます。さらに、ジャケットの下に吸湿速乾機能を持つインナーを着用すれば、汗を素早く吸収し乾かしてくれるのでより快適にツーリングを楽しめます。
また、夏は暑さだけでなく、日焼け対策も重要です。特にバイク走行中は、風で肌の水分が奪われ、皮膚バリアが低下することで予想以上に日焼けが進行することがあります。これにより疲れやすくなったり、日射病を引き起こす原因につながることもあるため、夏用のジャケットやインナーを着用し、しっかりと対策を行いましょう。
服装とは異なりますが、意外と忘れがちなのは目の日焼け対策です。目の角膜は日焼けで炎症を起こしやすく、角膜炎や結膜炎を引き起こす可能性があります。ロングツーリングなど長時間の運転を計画している場合には、UVカット機能が付いたシールドや、インナーバイザー、サングラスを利用し、目も忘れずに保護しましょう。
秋のツーリング時の服装
秋の前半はまだ夏の暑さが残りますが、冬に近づくにつれて急激に冷え込むことがあります。そのため、この時期のツーリングでは服装も柔軟に変えることができる準備を整えておくことが必要です。
たとえば9月の残暑にはメッシュジャケットが日中はおすすめですが、夜の冷え込みにはサッと羽織れるウインドブレーカーなど持っておくと安心です。また、10月から11月にかけては、気温がさらに下がり本格的な秋の寒さが訪れます。その場合、3シーズンジャケットを基本とし、インナーダウンやフリースなどの防寒着を下に着込むことをおすすめします。
気温変化に対応するため、重ね着の仕方を工夫して適切な服装で秋のツーリングを楽しみましょう。
冬のツーリング時の服装
1日を通して寒さが厳しくなる冬は、しっかりとした防寒対策が必要です。この時期のツーリングは防風・防寒性に優れたウインタージャケットを利用しましょう。寒さに強いジャケットを選ぶことで、冷たい風から身を守り、長時間の走行でも快適さを保てます。
また、インナーには吸湿速乾性と保温性に優れたウール素材のものを選ぶと、汗冷えを防ぎしっかりと体を温かく保てます。そのうえに、保温力を高めるフリースやダウンなどを重ねるとなお効果的です。冬の時期は、重ね着を意識することで気温の変化に合わせて服装を柔軟に変えていくことができます。
さらに、首元・手首・足首のいわゆる「三首」を冷やさないようにすることも大切です。ネックウォーマーや手袋、厚手の靴下などでしっかりとカバーしましょう。
服装のほかにもバイク装備として、ハンドルに取り付けるカバーや、電熱グローブ、使い捨てカイロなどのアイテムを活用すると、寒さをより効果的に防げます。これらの工夫で、厳しい冬でも快適にツーリングを楽しむことができるでしょう。
デイトナでは、季節にあった快適なライディングウェアをご準備しています。今の季節にぴったりのウェアを探してみてください。
ツーリングシーンに適した服装
ツーリングの服装は、シーンに応じて適切に選ぶことで、快適さと安全性を高めることができます。ここではよくある3つの想定シーンにあった服装を解説します。
雨の日のツーリングの服装
ツーリング中、突然の雨に見舞われることは珍しくありません。急な天候の変化に備えて、レインウェアをリュックやシートバッグに常備しておきましょう。雨に打たれても安心して走行できるように、バイク用の専用レインウェアを選びことが重要です。バイク専用のレインウェアは、日常用とは異なり、ライディングを考慮した設計が特徴です。高い耐水圧で激しい雨にも耐えられ、走行風によるバタつきを抑えた形状で、快適にライディングを続けられます。
購入する際には、プロテクターを装着したライディングジャケットの上からでも着用できる少し大きめのサイズを選ぶと便利です。 また、透湿性に優れた素材を選ぶと、夏場の蒸し暑い日でも快適さを損なわずに使用できます。雨の日の装備をしっかり整えて、天候に左右されない楽しいツーリングを楽しみましょう。
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地域別のツーリングの服装
ツーリングでは、走行する地域や行き先に応じて、適切な服装を選ぶことが大切です。たとえば、夏の暑い時期でも北海道など気温が低い地域を走る場合は、メッシュジャケットだけでは寒く感じることがあります。
また、長野や群馬のような標高が高い山岳道路を走る場合も、平地との気温差があるため、防寒対策が必須です。特に早朝や夕方は急激に気温が下がることが多いので、風を通さないウインドブレーカーや薄手のインナーダウンを持参する必要があります。 ツーリング前には、目的地の気温や標高、天候をしっかり確認し、それに適した服装を準備しましょう。
ロングツーリングの服装
朝から夜まで長時間走るロングツーリングでは、時間帯による気温差を考慮した服装が重要です。日中の暖かい時間帯を基準に服装を選びつつ、朝夕の冷え込みに対応できる防寒着を準備しましょう。たとえば、昼間は通気性の良いライディングジャケットを着用し、寒さが増す早朝や夜には、コンパクトに収納できるインナーダウンやウインドブレーカーを重ねるのが効果的です。
また、気温の変化にすばやく対応できるよう重ね着を意識するのもポイントです。温度調整しやすいように、脱ぎ着しやすい防寒具を持参し、こまめに調整することで、ツーリングをより快適に楽しむことができます。
防寒着は複数持ち運ぶことでかさばってしまうため、収納スペースを考慮し軽量でコンパクトになるものを選ぶようにしましょう。
バイクジャンルに適したツーリングの服装
バイクにはさまざまなジャンルがあり、それぞれのジャンルに合わせた服装を選ぶことで、よりおしゃれで洗練された雰囲気を楽しむことができます。ここでは、バイクの種類として代表的なスポーツタイプ、ネイキッドタイプ、オールドタイプ、オフロードタイプの4種類に対し、それぞれの特徴を活かした服装選びのポイントを解説します。
スポーツタイプのバイクに似合う服装
レースで使われることも多いスポーツタイプのバイクには、レーシングスーツが定番です。明るく華やかで「THEバイク乗り」という印象を与えることができます。しかし街乗りでは、見た目も派手になりすぎてしまうことがあるため、カジュアルでスタイリッシュな雰囲気のライディングジャケットを選ぶのも良いでしょう。防風性やプロテクター機能も備わっているジャケットなら、見た目と安全性を両立できるためおすすめです。
ネイキッドタイプのバイクに似合う服装
カウルがなくシンプルな形状のネイキッドタイプは、カジュアルな服装からレザージャケットまで幅広く似合うのが魅力です。街乗りでは動きやすいカジュアルなジャケット、ツーリングではクラシックなレザージャケットなど、シーンに合わせて選ぶとスタイルが引き立ちます。
オールド(クラシック)タイプのバイクに似合う服装
レトロな雰囲気を持つオールドタイプには、ヴィンテージ感あふれるレザージャケットとデニムのコーディネートがぴったり。特に、味のある革素材を選ぶことで、バイクのクラシックな雰囲気とマッチします。足元はエンジニアブーツやサイドゴアブーツなど、重厚感のあるブーツでまとめるとおしゃれです。
オフロードタイプのバイクに似合う服装
オフロードタイプは砂利道や林道を走ることが多く、動きやすさを重視したモトクロスジャージやライディングパンツが似合います。普段の街乗りや軽いオフロード走行なら、アウトドアテイストのアースカラーのジャケットやパンツもおすすめ。耐久性があり、汚れが目立ちにくい素材を選ぶとオフロードでも快適です。
ツーリングに必要な装備や服装の費用相場
ツーリングに必要な服装や装備はどのような機能や種類を選ぶかで価格も大きく異なります。ここでは、主なアイテムの費用相場をまとめました。実際に必要なものを揃える際の参考にしてみてください。
アイテム | 相場 |
ライディングジャケット | 1万円〜3万円 |
ライディングパンツ | 1万円〜3万円 |
ヘルメット | 3万円〜10万円 |
グローブ | 5,000円〜1万円 |
ライディングシューズ | 1万円〜3万円 |
※ブランドにより実際の費用は異なりますので、上記は参考としてご覧ください。
安全第一の服装でツーリングを楽しもう!
ツーリングの服装で最も重視すべきポイントは安全性能です。どんなにおしゃれな服装でも、身を守れないものでは意味がありません。衝撃吸収性や耐久性に優れたバイクウェアや装備を選ぶことで、安全にツーリングを楽しむことができます。
とはいえ、安全性を確保しながらも、自分のスタイルに合ったウェアや装備を選ぶことは可能です。お気に入りのデザインやカラーを身に着ければ、ツーリングの楽しさも倍増します。安全第一で、おしゃれも楽しみながら、充実したバイクライフを送りましょう。
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