バイクのステップには様々な形状、大きさのものがあります。それぞれそのマシンの用途に合わせて設計されているのですが、もしCRF250Lやセロー250でオフロード走行をもっと快適に楽しみたいのなら、ステップのカスタムが有効です。
オフロードバイクを購入して憧れの林道デビューを果たしたライダーには、より安全に、より快適に林道ツーリングをするため、いくつかの提案をしたいと思います。一つはスキルアップ。雑誌やYouTubeなどで様々なライディングテクニック講座を見て、自分のスキルを向上させましょう。二つ目は装備。プロテクターやウエアなど、よりオフロードに特化したライディングギアを使用することで怪我の防止や動きやすさに繋がります。そして最後はカスタム。一般公道を走れるいわゆる「トレールマシン」と呼ばれるバイクは実際にはオフロードを走らない層の需要も考慮されており、必ずしも全てがオフロード走行に最適化されているわけではありません。中でも容易にカスタム可能で恩恵が大きいパーツの一つが、ステップになります。
ステップカスタムなら
超ワイドなアドベンチャーフットペグ
では、どのようなステップがオフロード走行に適しているのでしょうか。オフロードバイクやアドベンチャーバイクにオススメなのはなんと言っても“足を置く部分の面積が広いステップ”です。今回はZETA RACINGから新しくリリースされたアドベンチャーフットペグを紹介します。
ZETA RACING
アドベンチャーフットペグ
¥18,700(税込)
サイズ:高さ50mm×幅60mm×奥行135mm
重量:約485g
素材:ベース : クロームモリブデン鋼
アルミニウムベース : アルミニウム合金
ステンレスブレード : ステンレス
ゴムカバー : ゴム(SBR)
特にツーリングやラリーなど長時間のオフロードライディングが求められる場合には、スタンディングしながらもリラックスすることができるワイドステップはマストアイテムと言えるでしょう。
その点、このアドベンチャーフットペグは前後幅が60mm、長さが89.6mm。これまで各メーカーからリリースされてきたカスタムフットペグの中でも最大級のサイズを誇ります。
例えばオフロード走行を全く想定していないZX-4Rのステップはどうなっているかというと、ほとんど棒状です。オンロード走行ではスタンディングすることはありませんので、その代わりにバックステップになっていたり、深くバンクした時に地面に擦らないように高くなっています。
生産終了してなお、オフロードバイクの代表格として多くのライダーに愛用されているセロー250は前後幅30mm、長さ80mmでした。長さはアドベンチャーフットペグとほとんど変わりませんが、前後幅は半分しかありません。
ロングツーリングを想定しているアドベンチャーバイクのTIGER1200 GT PROは前後幅45mm、長さ90mmでした。
オフロード走行に特化したエンデューロレーサー、YZ250FXのステップは前後幅55mm、長さ82mmでかなり大きめですが、それでもアドベンチャーフットペグの方が大きいのです。
前後5mmの位置調節が可能
アドベンチャーフットペグは、幅が広いだけでなく、ステップの位置を前後5mm調節することができるのも魅力の一つ。
フットペグ装着部分には3つのボルト穴があり、この穴の位置を変えることで調節できます。
たった5mmと思うかもしれませんが、この違いが乗りやすさに繋がってきます。走行シーンやライディングポジションに合わせて、乗りやすい位置に設定してみてください。
セローエキスパートライダーが語る
ワイドフットペグの効能
元全日本モトクロスファクトリーライダーであり、何度もセロー250で日高ツーデイズエンデューロに出場した経験を持つ鈴木健二選手にワイドステップの利点を聞いてみました。
鈴木健二選手
「長距離のオフロードレースを走行するにあたって、ワイドステップ化はマストでした。一番のメリットは激しいギャップやコーナーなどで足をしっかり踏ん張れる点です。体重を乗せやすいということはタイヤにトラクションを乗せやすいということなので、予期せぬスリップを抑制する効果もあります。また、単純にステップの面積が大きいことでジャンプなどの激しいアクションをした時でも足を踏み外しにくいというのも大きいですね。
あとはやはり大きい板に足を乗せているようなものですから、長い時間走っていても疲れにくいですし、ブーツのソールも傷つきにくいです」
オフロードバイクのステップはブーツのグリップ力を最大限に発揮するため、ギザギザの加工が施されています。さらに、ステップが細いとその分体重が集中するため、ブーツのソールが傷つきやすくなってしまうのです。ワイドステップにはブーツのソールを傷つけにくくする効果もあるんですね。
アドベンチャーフットペグは工具なしでゴムカバーの脱着が可能。ゴムを装着するとグリップ力は少し落ちますが、よりブーツを傷つけず、さらに振動を吸収してくれるため疲労を軽減することができます。例えば高速道路やアスファルトの移動路はゴムカバーをつけた状態で走行し、林道に入る時にゴムカバーを外すなど、シーンに合わせて使い分けることができます。
また、ダカール・ラリーに出場している車両を見てみると、前後幅だけでなく長さもかなり長くなっています。例えばダカール・ラリーのファクトリーマシンがそのまま市販化されたようなKOVE 450RALLYのステップは前後幅53mm、長さ113mmでした。これは疲労の軽減だけでなく、ステップの両端を積極的に踏み込むことで足を使った入力がしやすくなる効果も狙ってのことです。人間の筋肉のうち6割を占めると言われる下腿をしっかり使えることで、車体のコントロール性を最大化させているのです。
ただし、林道ツーリングやエンデューロなどで使われるステップはあまり長くしすぎると、深い轍に入った時に引っかかって邪魔になったり、コーナーで寝かせた時に地面に当たってバンク角が稼げなくなったりするため、80〜90mmくらいがちょうど良いサイズと言えるでしょう。
まとめるとワイドステップには
・スタンディングで疲れにくい
・トラクションが乗せやすい
・ソールのダメージが軽減される
・リアブレーキを踏みやすくなる
・ステップを踏み外しにくい
などといった効果が得られるようです。もしこのような悩みを抱えている方がいたら、ぜひアドベンチャーフットペグを試してみてください。
サスペンションやタイヤの細かなセッティングと違い、ワイドステップの効能はエキスパートライダーだけが感じられるものではありません。初めて土の上を走ったばかりの人でもきっと体感することができ、その恩恵を味わうことができるはずです。
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