バイクの押しがけでエンジンをかける5STEP
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以下のステップで押しがけをすると、エンジンがかかります。
- キーをONにする
- ギアをニュートラルから2速以上に入れる
- クラッチを切ってバイクを押す
- 十分なスピードが出たら半クラッチ
- エンジンがかかったらクラッチを切る
ステップに沿って詳しく解説していきますが、押しがけできるのはMT(マニュアル)車のみで、AT(オートマ)車は押しがけできません。
STEP1.キーをONにする
押しがけには助走距離が必要なので、まずは交通の邪魔にならない平坦な場所にバイクを移動させます。
周囲の安全を確認したらイグニッションキーをONにし、ギアがニュートラルにして、エンジン始動ができる状態にしましょう。
サイドスタンドやセンタースタンドは収納しておきますが、車重のある大型バイクは、可能であれば2人以上で行うのが安全です。
STEP2.ギアをニュートラルから2速以上に入れる
キーをONにしたら、クラッチを切ってギアをニュートラルから2速以上に入れます。
ギアがニュートラルのままだと押しがけできないので、ニュートラルランプが消えているのを確認して、ギアが2速以上に入っているか確認しましょう。
ギアを入れたらクラッチは切ったまま、バイクを押す準備をします。
STEP3.クラッチを切ってバイクを押す
クラッチを切ったまま、周囲の交通や人など安全を確認して、バイクに勢いを付けて押します。
バイクの押し始めは少し重く感じますが、ある程度速度が出てくると抵抗も減ってきますので、しっかりバイクを押しましょう。
緩やかな下り坂で押すと加速も楽ですが、押しがけでかからなかったとき坂を登るのが大変な点と、押しているときに勢いがつきすぎて危険な点から、平坦地で押すのがおすすめです。
STEP4.十分なスピードが出たら半クラッチ
バイクを押してスピードが乗ってきたら、半クラッチにしましょう。
このとき、クラッチを勢いよく離すとリアタイヤがロック状態となり、バイクへの抵抗が一気に増えてバランスを崩し、転倒の危険性があります。
安全面から半クラを行いますが、半クラにするタイミングが早すぎても遅すぎてもエンジンがかかりません。
STEP5.エンジンがかかったらクラッチを切る
半クラにしてバイクのエンジンがかかったら、すぐさまクラッチを切り、ギアをニュートラルにしてバイクを停車させましょう。
エンジンがかかったときにクラッチを切らないと、エンジンが停止してしまいますので、エンジンがかかったらすぐさまクラッチを切ります。
エンジン始動に失敗したら、再び周囲の安全を確認して、ステップ3から再挑戦しましょう。
バイクの押しがけの際に気を付けるポイント・コツ
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バイクの押しがけは普段行わないので、慣れるまで少し難しく感じるかもしれません。
押しがけが難しい、なかなかエンジンがかからないという方は、以下のコツを意識して押しがけしてみてください。
コツ1.舗装された平坦な場所で行う
押しがけはバイクの助走が必要なので、バイクを押しやすい平坦な舗装路で行いましょう。
砂利道など舗装されていない道路では、押す際にスリップの危険性がありますし、エンジンがかかるときにタイヤが空転して、なかなかかからないこともあります。
また、下り坂で行うとバイクを押すときに加速がつきすぎて危険ですので、舗装された平坦な場所で押しがけを行うのがコツです。
コツ2.2速の押しがけが安定しやすい
押しがけは1速でもできますが、1速より力のない2速のほうが、エンジンがかかる際に安定しやすいです。
また、押しがけはミッションの負担にもなるので、力のないギアの方がミッションへの負担も和らぎます。
バイクによっては停止状態だと1速以上に上げられないモデルもあり、その場合は1速で押しがけを行いましょう。
コツ3.クラッチをスムーズに離していく
バイクを押してある程度加速してきたらクラッチを半クラ状態にしますが、半クラ状態まで早くクラッチを離しすぎると、一気に抵抗が増えエンジンがかかりにくくなります。
逆に半クラ状態までゆっくりしすぎてもエンジンがかからないので、一呼吸くらいの時間でスムーズにクラッチを半クラまで離していきましょう。
最初はコツを掴むまで少し時間がかかるかもしれませんが、何度か挑戦するうちに半クラまでのタイミングがつかめます。
コツ4.バイクをしっかり押して勢いをつけること
バイクにある程度勢いがないと、押しがけでエンジンがかからないので、バイクをしっかり押して勢いをつけましょう。
半クラにしてエンジンをかけるときに一瞬バイクに抵抗が出るので、このときバランスを崩して転倒しないよう、しっかりハンドルを握ってバイクを支えます。
1人で勢いをつけるのが難しい場合や、どうしても押しがけでエンジンがかからない場合は、ロードサービスやショップを頼ることも検討しましょう。
バイクの押しがけができない場合の原因は?
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バイクの押しがけができない場合、いくつかの原因が考えられます。
もし何度挑戦しても押しがけができない場合は、以下の原因をチェックしてみてください。
原因1.押しがけ時にギアが適切に入っていない
押しがけできない原因で多いのが、「押しがけの時にギアが入っていない」です。
ギアが入っているかどうかは、ニュートラルランプが消灯しているので分かりますが、ほかにもイグニッションがONになっていないこともあります。
押しがけできない場合は、イグニッションがONかどうかと、ギアが2速に入っているかどうかを確認してみましょう。
原因2.押しがけ時のクラッチ操作がスムーズでない
ギアを入れてバイクを押し、勢いがついたところで半クラにしますが、このときクラッチ操作がスムーズでないとエンジンが始動しません。
また、半クラでエンジンが始動したあと、すぐにクラッチを切らないとエンジンが停止してしまうので、スムーズなクラッチ操作を意識しましょう。
また、クラッチに遊びが多いと適切なクラッチ操作が難しくなるので、クラッチの遊び量が適切な状態になっているのかも点検し、調整しておきます。
原因3.バッテリーが完全に切れている
バイクのセルが回らず押しがけをすることが多いと思いますが、セルが回らなくなる原因で最も多いのがバッテリー上がりです。
バッテリーの寿命や長期間の放置などで、充電が完全に放電してしまった場合は、エンジンが始動できなくなります。
長期間バイクを動かしていなかった場合や、長年バッテリーを交換していない場合は、バッテリーの充電を確認し、状況に応じて交換をしましょう。
原因4.燃料が不足している
バイクに燃料が入っていない、または不足していると押しがけでエンジンが始動しません。
うまく押しがけをしているのにエンジンがかからない場合は、ガソリンが入っているか確認をしましょう。
1年以上バイクを始動していない場合はガソリンの劣化が考えられ、エンジンを始動すると目詰まりを起こしてエンジン不具合の原因となるので、押しがけの前にガソリンの入れ替えを行う必要があります。
原因5.エンジン自体にトラブルがある
エンジンに何らかの不具合がある場合も、押しがけでエンジン始動に至らなくなる原因の一つです。
押しがけを完璧に行っており、バッテリーやガソリンも問題なく入っているのにも関わらず、エンジンが始動しない場合は、エンジンの不具合も考えられます。
原因の特定は難しく、下手に動かすと不具合がより酷くなる可能性もあるので、できるだけ早めにバイクショップで点検してもらいましょう。
バイクの押しがけができる車種・できない車種
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押しがけは、基本的にはMT車のバイクで可能ですが、(AT車は不可)MT車でも押しがけができないモデルもあります。
押しがけができないバイクについて、以下で解説していきますので、自分のバイクが該当しないか確認をしてみてください。
インジェクション車ではほぼ不可能
インジェクション(FI)を搭載したバイクでは、ほぼすべての車種で押しがけができないことが多いです。
インジェクションとは電動でエンジンに燃料を供給するパーツのことで、電動燃料ポンプでエンジンに燃料を供給するため、エンジンが停止状態では電動燃料ポンプも動かず、押しがけもできません。
対して押しがけできるバイクはキャブレター搭載車で、キャブレターは重力を利用して自然にエンジンに燃料が供給されているため、エンジン停止状態でも押しがけできます。
(まれにキャブレターと電子燃料ポンプを搭載したバイクもあり、その場合は押しがけできません)
オートマチック車(スクーターなど)はジャンプスタートが必要
スクーターなどのオートマチック車(AT車)はクラッチがなく、ギア操作ができないため、押しがけができません。
原付クラスで人気の高いスーパーカブ(シリーズ)にはクラッチがありませんが、ギア操作ができるため、クラッチのあるMT車のように押しがけができます。
スーパースポーツや一部の大型バイクは難しい場合も
最近増えつつあるスリッパークラッチが搭載されたバイクや、電子制御の多いスーパースポーツは押しがけができません。
クランクを回してエンジンを始動するのが押しがけですが、スリッパークラッチなどの最新技術は、タイヤの動力をクランクに伝えられないからです。
また車重のある大型バイクは、押して勢いをつけるのが難しく、エンジン始動に至るほどの加速になりにくい面があり、押しがけできないこともあります。
いざというときに役立つポータブル・ジャンプスターター
バッテリー上がりでエンジン始動ができなくなった場合、押しがけの他にもポータブル・ジャンプスターターがあれば、どこでも簡単にセル始動ができます。
ポータブル・ジャンプスターター(別名:モバイル・ジャンプスタータ)は、バッテリーに接続して電力を供給する、スマホサイズの携帯型ジャンプスターターです。
持ち運びしやすいサイズで、スマホ用のモバイルバッテリーとしても使えて便利なので、ツーリングの際に心強い味方となるほか、日常で乗っているバイクにも備えておけば万が一の際もリカバリーできます。
■エーモン ジャンプスターター シルバー
引用元:www.amazon.co.jp/dp/B0CKDRRD5X
バイクや自動車、プレジャーボートにも使えるポータブル・ジャンプスターターで、クリップにバッテリー端子を挟んでセルを回すだけでエンジンを始動できます。
夜間でも手元が見えやすいLEDライトが付いており、充電量が分かるインジケーターも付いているので、残量の確認が可能です。
- 使用可能回数:660cc/20回以上、2000cc/9回程度
- サイズ:(W)70×(H)137×(D)25(mm)
- 参考販売価格(税込):11,800円
バイクの押しがけに関するFAQ
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バイクの押しがけに関する「よくある質問や疑問」と「回答」をまとめてあります。
押しがけがうまくいかない方や、いざというときに備えて押しがけの練習をしておこうと思っている方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。
バイクの押しがけとは?
バイクの押しがけとはエンジンを始動する方法で、バイクに勢いをつけてリアタイヤを回し、リアタイヤの動力でクランクを動かしてエンジンを始動します。
バッテリー上がりなどでセルモーターが回らなくなった場合や、キックスターターでエンジンが始動できなくなったときの有効手段です。
リアタイヤの動力がミッションへといき、クランクを回しますが、押しがけはミッションへの負担も起きるので、頻繁にしないようにしましょう。
押しがけのメリット・デメリットは?
押しがけのメリットは、バッテリーが上がるなどでセルが回らなくなった場合に、エンジンを始動させられる点です。
デメリットは、ミッションに負担がかかりやすい点と、インジェクション車などのバイクでは、押しがけができない点が挙げられます。
押しがけはバイクの負担になる?
押しがけはリアタイヤの動力をミッションに伝え、ミッションを通じてクランクを動かし、エンジンを始動するので、ミッションへの負担があります。
特に1速など力のあるギアで押しがけを行うと、ミッションへの負担も増えるので、押しがけを行わないといけない状況では、2速や3速など高めのギアを使いましょう。
押しがけはどんなバイクでもできる?
押しがけができるバイクは、基本的にはミッション車(MT車)で、スクーターなどのAT車(オートマチック車)は押しがけできません。
また、フューエルインジェクション車(FI車)も、基本的には押しがけできないバイクが多く、キャブレター車ではほとんどの車種で押しがけできます。
ただし、キャブレター車でも燃料ポンプが電子制御になっているモデルは、押しがけができません。
押しがけは危険なの?
押しがけは人力でバイクを押してエンジンを始動しますが、押している最中やエンジン始動の際にバイクが不安定になりやすく、危険な面があります。
エンジンがかかったら速やかにクラッチを切りますが、このとき誤ってアクセルを開けるとバイクが暴走してしまうことも。
押しがけの際は周囲に人がいないか、交通の邪魔にならないかを確認の上、身の安全を最優先にして行いましょう。
まとめ
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バイクの押しがけについて、押しがけの手順や押しがけできないバイクについて解説してきました。
押しがけを覚えおくと、出先でバッテリーが上がってセルが回らなくなった場合でも、エンジン始動ができるのでとても便利です。
しかし、近年のバイクにはインジェクションが搭載され、押しがけもできなくなってきているので、自分のバイクが押しがけできるかどうか、記事を参考に調べてみてください。
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