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新レイアウトへの対応力が鍵に、全日本モトクロス選手権 第4戦SUGO

全日本モトクロス選手権

第4戦 SUGO大会

日程:2021年6月5日(土)、6日(日)

場所:宮城県 スポーツランドSUGO

IA1はポイントランキングに大きな動きを与える3ヒート制、IA2ではレジェンドが参戦、レースに加えて電動モトクロッサーのデモ走行も行われ、第4戦もたくさんの注目が集まった。さらに、コースレイアウトの変更により、実際に走るライダーも見ている観客も面白いと感じるレースに。

 

目次

渡辺が見せた強さ、瞬時のライン取りが勝敗の鍵となったIA1クラス

 

前日に大雨が降り、コンディションがどうなるかと思われたが、土日は共に晴天。好天とコース整備の努力があって、日曜日にはベストコンディションとなった。また、コースレイアウトが大きく変更し、特に3コーナーからのスネークセクションはスピードを落とさずに走る高いテクニックが要求された。

 

3ヒート制で行われたIA1、15分という短い時間の中で勝負の鍵を握るのがスタートである。今回のスターティンググリッドでは3ヒートとも予選トップ3(富田俊樹、山本鯨、渡辺祐介)が一番イン側を占めており、スタート前からライン取り争いが始まっていた。

 

ヒート1、山本鯨がスタートを飛び出し一番インのラインへ。アウトから攻めてきた道脇右京、山本、富田俊樹、渡辺祐介という順番で大坂を上った。3コーナーでは山本、渡辺が前に出てトップ争いへ。KYBジャンプで渡辺が山本をパスして1番手へ浮上。勢いに乗った渡辺は後続を引き離していった。

2番手には山本、3番手には富田が等間隔につけている状況であったが、残り6分、着実にペースを上げてきていた富田が山本を抜き2番手へ。

1位:渡辺祐介、2位:富田俊樹、3位:山本鯨という順位でフィニッシュ。渡辺が今季初優勝を飾った。

 

ヒート2は渡辺が完璧な出だしでホールショット。その後ろには能塚智寛、小方誠、富田が続いた。山本はスタートから追い上げの展開となり、途中で転倒。前に出た渡辺の勢いは凄まじいものの、能塚も懸命に追いかけていた。

残り5分、富田があらゆるラインから抜こうと試みるも、小方もプレッシャーに負けることなく抑えるという展開になり3番手争いが激化。両者の攻めと守りの強さに魅せられた。さらに、能塚が渡辺に迫り、トップ争いも激化。見応えのあるレース展開になった中で、ラスト1周で能塚が転倒。渡辺が2連勝をし、2位には富田からの攻めを守り切った小方、富田が3位という順位になった。

 

今大会最後のレースとなったヒート3、スタートは富田がトップに出て、小方、渡辺と続いた。3コーナー直後のジャンプで渡辺が小方のリアフェンダーに乗るという場面があったが、両者転倒することなくバトルを続けた。しかしこのアクシデントにより渡辺はペースがダウン、この隙を見逃さなかった能塚は3コーナーからヨーロピアンまでの間で渡辺と小方をパスし2番手へ浮上し、富田に迫る展開となった。

一時はペースダウンした渡辺が小方を抜いて3番手へ浮上。15分という時間で前に出るために序盤から攻める選手が多いことから、1周目からライダー達の熱いバトルが見られた。

2周目、ヨーロピアンセクションで能塚と富田がサイドバイサイドに。富田のインをついた能塚がトップとなった。ヒート2では転倒で表彰台を逃した能塚の勝利への意地が感じられた。能塚、富田、渡辺の差はあまりなく、三つ巴の状態で周回を重ねた。トップ3人に注目が集まる中、残り4分、スタートで出遅れた山本がトップとは6秒差の4番手に浮上。優勝への闘志と着実な速さを見せる。

富田が最後まで能塚に迫ったが、インのラインを抑えつつ勢いに乗った能塚が優勝。渡辺もトップ2人に食らいつくも3位でフィニッシュ。1位能塚、2位富田、3位渡辺という結果に終わり、最後の最後まで観客を盛り上げるレースとなった。

渡辺祐介

「1戦目、2戦目はコンスタントに表彰台に乗れていたものの勝てていなくて、今回は絶対に勝ってやると思ってレースをしたので、この思いを実現できて良かったです。チャンピオンは1勝の積み重ねだと思うので、後半戦も1戦1戦大切に走っていきたいです」

 

内田篤基の連勝、若手の活躍も目立ったIA2

 

新しいコースレイアウトは250ccにとってはスピードを乗せにくく、いかにスピードを殺さず乗せていくかが1つのポイントとなった。連勝を重ねる内田に対し誰が迫るのか、勝谷武史と田中雅己の参戦もありレース展開に注目が集まった。

ヒート1で好スタートを決めたのは袴田哲弥。しかしその後ろからすぐに内田が飛び出し、内田、袴田、大城魁之輔、鳥谷部晃太、柳瀬大河という順でレースが展開された。内田のマシンが一瞬止まったことから、その隙を見て大城がトップへ浮上。内田はすぐに再スタートをし、2番手から大城を追いかける展開となった。

3周目、大城が大坂直後のコーナーで転倒し大きく順位を下げることに。それをかわした内田がトップに返り、後続には鳥谷部、柳瀬と続いた。柳瀬といえば中部選手権のNAクラスで全戦優勝を果たし、特別昇格としてIBを飛び級してIAに上がってきた16歳である。好スタートを決めた今回はその勢いのまま鳥谷部を捕らえていた。

レースは内田が後続を離して独走状態に。鳥谷部、柳瀬、大倉という順番で続き、それぞれが前のライダーを捕らえながらも等間隔に開いた差がなかなか縮まらないレースが続いた。結果は1位:内田、2位:鳥谷部、3位:柳瀬という順位でフィニッシュ。柳瀬がIA2で初表彰台を飾り、勢いを見せつけた。

続くヒート2でも内田がスタートからトップに。後続を離し、早くも逃げの体勢に入った。内田に続いたのは同じく好スタートを決めた岸、そして鳥谷部、鴨田翔という順でレースが展開された。

内田が独走状態の中、順位に動きがあったのはレース中盤。着実にスピードを上げてきた大倉由揮が3番手の鳥谷部に迫った。表彰台をかけた3番手争いは激しく、インを抑える鳥谷部に対し、アウトから勢いをつけて迫る大倉。両者からは表彰台獲得への意地が見られた。レースは残り11分、ヨーロピアンセクションで大倉が鳥谷部の一瞬の隙を見逃さずインに入り3番手へ浮上。

後続を離し独走状態となった内田が1位。スタートで前に出る力と後続からのプレッシャーに負けずに引き離していく冷静さを持つ内田の強さに隙はなかった。続いて2位は岸、3位は大倉でフィニッシュ。連勝を止めることはできなかったものの、岸は自身最高位であった3位の壁を破り、初めての2位を獲得した。

内田篤基

「今回もスタートがバッチリ決まって前に出たんで、逃げ切ろうと思ってプッシュしました。これから2ヶ月くらいのインターバルが開くので、もっと強くなって勝てるように準備してきます」

 

歴代最高記録まであと少し、川井麻央8連勝

 

前大会初の2ヒート制で開催されたレディースクラス。今回は1ヒート制で行われ、この1回の決勝にかけた勝利への熱意が各ライダーから感じられるレースとなった。

スタートで出たのは本田七海。川井、久保まな、楠本菜月が本田を追うかたちとなった。ヨーロピアン手前では川井と楠本が本田を抜き、ヨーロピアンでは本田が楠本を抜き返す展開に。川井に離されずついていく本田からは優勝への熱意が感じられ、川井の連勝阻止の展開が期待された。

2周目には順位を上げてきた小野彩葉が楠本をパスして3番手へ。楠本もついていくも、小野が引き離して本田に狙いを定めた。

バックマーカーが出始めたレース後半、本田のペースが乱れ始め川井との差が開き、それぞれが単独走行の状態になった。単独走行状態とはいえ、連勝を重ねる川井とまずは1勝を獲得したい本田、両者からは優勝へのこだわりが感じられた。

結果は1位:川井、2位:本田、3位:小野という順位に。予選で2位となった川井は1位を獲れなかったことを悔やみ、決勝でその悔しさを晴らした。レディースクラスの歴代最高記録は9連勝。8連勝に記録を伸ばした川井は歴代の記録を超えることができるのか、今後の期待が高まる。

 

川井麻央

「久々の予選2位でめっちゃ悔しくて。決勝ではスタートがいつも出れないんですけど、今日は出れたことで気持ちも乗って、15分しっかり自分のペースで走ることができました。まだここから連勝記録を伸ばすので応援よろしくお願いします」

 

IBクラス決勝は、土曜日はショートカットコース、日曜日は全てのコースを使うというレイアウトの変化によって表彰台の顔ぶれには変化が目立った。しかし、その中でもヒート1・2両方優勝を飾ったのは鈴木龍星であり、コースの変化に対応する柔軟さが見られた。

 

次戦、全日本モトクロス選手権第5戦は9月11日(土)、12日(日)に奈良県名阪スポーツランドで開催される。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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