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JNCC第7戦Blueリゾート箕輪「去年のトラウマを乗り越え、馬場大貴が完勝」

全日本クロスカントリー選手権JNCC

第7戦 Blueリゾート箕輪

日程:2022年9月11日(日)

場所:福島県箕輪スキー場

 

全日本クロスカントリー選手権JNCCの第7戦が福島県箕輪スキー場で開催。2年目となる箕輪スキー場でのJNCCは激下り「NOコントロール」がさらにパワーアップして登場。2年連続のチャンピオン獲得を狙う馬場大貴にとっては、昨年の3度にわたる転倒を思い出すコースだった

 

レース前日の土曜日、天気は快晴だったが、金曜日まで雨が降っていた箕輪スキー場のゲレンデはドロドロ。選手たちはコンディションの悪い中、下見を行っていた。しかし明けて日曜日、コースコンディションはすっかり回復し、午前中に開催されるFUN-GPからベストコンディションのレースとなった。

 

総合優勝を狙うジュニアが掻き回す、FUN-GP

 

 

「テーン、セカンッ!」

 

スタート10秒前が呼びかけられ、代表の星野氏がスタートフラッグを振ると同時に1列目のライダーたちが一斉にエンジンをかけ、スタート。

 

FUN-Aクラス、FUN-SAクラス、FUN-WAAクラス、FUN-WAクラスが1コーナーを奪い合う。続いてFUN-B、FUN-C、FUN-D、FUN-WBとスタートを切り、90分レースが始まった。

 

今年は新ルートが開拓され、去年FUN-GPにも設定されていた激下り「NOコントロール」が回避された。近年のJNCC FUN-GPは難所が減り、爽やかなクロスカントリーレースになる傾向にあるが、ここ箕輪スキー場は中でも難易度が低く、その分休憩のないハイスピードレースになっていた。

 

1周目からトップを走ったのは目下ランキング1位の吉崎一弘。序盤から6分50秒台のラップタイムを連発し、順調にレースを進めていく。

 

そんな吉崎を追い込んでいたのは、同じAクラスのライダーではなく、Bクラスのライダーたちだった。スタートでの時間差があったため、レース上での絡みこそなかったが、FUN-Bクラスのトップ勢である古野雄一郎、小松誠一郎、村木幸春らが吉崎のラップタイムに迫っていたのだ。

 

ラスト一周であることを示すL1ボードが掲示されたのは、吉崎からだった。しかし最後のチェッカーを先に受けたのは村木。最後の1周で吉崎を抜き去り、スタートのタイム差を抜きにしても総合優勝を掻っ攫った。なんと終盤には6分46秒という大会ベストラップも記録している。

 

総合2位には吉崎。そして3位にはYZ85で出場した中学生、渡辺敬太が入った。

FUN-Aクラス優勝の吉崎は30ポイントを獲得。ランキング2位の岩井良宏が不参戦のため、2位との差を大きく広げ、チャンピオン獲得に向けラスト2戦を残す。

 

吉崎一弘

「去年はここで優勝を逃してしまいましたが、今年は岩井さんがいないこともあって絶対優勝したかったので、勝てて良かったです。お世話になってるthsレーシングの応援が力になり、序盤からいいペースで走ることができました。

このコースはハイスピードで危ないのですが、やっぱり楽しいですね。そして僕はキャメルバッグを背負わないと調子がいいみたいです」

 

FUN-Bクラス優勝は村木。

 

村木幸春

「レース中ずっと後ろからYZ85がビンビンビンビン追いかけてきて『なんで85が来るんだ!?』と思いながら、最後まで全然気が抜けなくて目一杯で走ってました。総合優勝できたのは敬太くんのおかげです」

 

とコメント。そんな村木に対し渡辺は次のようにコメント。

 

渡辺敬太

「ずっと優勝を目標にしているんですけど、いつまで経ってもできないので、もっと腕を磨いて出直します」

 

フルサイズに乗ればすぐにでも優勝できてしまうのだろうが、85ccで勝ちたい、という渡辺。それがただの自惚れでないことはJNCCに出ているライダーなら誰もが認めるところだ。

 

FUN-SAクラスは神田隆博、FUN-Cクラスは滝瀬淳一、FUN-Dクラスは佐藤洸が優勝。

 

また、FUN-WAAクラスでは菅原悠花と雨宮舞美の全日本モトクロス出身ライダー同士のバトルが勃発。序盤、雨宮がリードするも、3周目に下りで転倒し、菅原に先行を許してしまう。一方菅原は得意なドライコンディションを制して優勝。雨宮はランキングトップで残り2戦を迎えるが、菅原との差はわずか3ポイントとなっている。

菅原悠花

「このコース初めて走って、登りはアケアケで楽しく走れました。下りは水切りが怖くてうまく走れなかったんですけど、優勝できてよかったです」

 

FUN-WAクラスは近藤香織、FUN-WBクラスは松永望が優勝。

 

「NOコントロール」からの絶景も霞むバトル、COMP-GP

 

FUN-GPの表彰式が行われている裏ではヨツバモトや50ccマシンを駆るキッズたちによるFCXが開催。松尾颯太くん、中島悠稀くんがクラス優勝を飾った。JNCCでは次世代を担うライダーの育成にも力を入れている。

 

そしてメインイベントのCOMP-GP。FUN-GPでは回避された激下り「NOコントロール」が使われ、しかも去年よりも一段上から下る新ルートが追加された。なお、今大会は全日本モトクロス選手権と日程が重なったため、渡辺学、熱田孝高が不在のレースとなった。

 

今年ここまで6戦中4勝の馬場大貴だったが、去年のここ箕輪では3度の転倒を喫し3位に甘んじていた。苦手意識の残るコースだったが、ここで勝てばチャンピオンに大きく近づく大事な一戦だった。

 

そんな馬場だったが1周目からトップを奪うと後続を徐々に引き離し、「NOコントロール」手前ではすでに独走体制を築いていた。

 

馬場は2周目まで好ペースを維持すると3周目からは後続との距離を測りつつペースをコントロール。去年の二の舞を踏まないよう慎重にレースを進め、トラブルなく優勝。今シーズン5勝目をあげた。馬場はこれでランキング2位の小林に41ポイント差をつけたため、次戦でのチャンピオン決定が濃厚になった。

 

ランキング2位の小林雅裕は2周目に2番手に浮上すると馬場を追走。中盤で一度鈴木健二に先行を許す場面があったが、見事2位でチェッカー。今シーズン初、久しぶりの準優勝を果たした。

3位は中島敬則。今季2度目の表彰台を獲得し、ランキングも3位に浮上した。

 

そろそろ初優勝も期待される成田亮はスタートでの出遅れから、1周目の「NOコントロール」でチェーントラブルに見舞われた。幸い「NOコントロール」からは下りのみでピットに戻れたため、修理してレースに復帰したものの、20分ほどのロス。その後の追い上げも及ばずクラス17位でレースを終えた。

 

また、COMP-AA2クラスでは松尾英之が優勝、総合15位に入った。LGDクラスでは佐藤正和、COMP-Aクラスは下濱吉継、COMP-Bクラスは大重勇透、COMP-Rクラスは川口咲介がそれぞれ優勝を果たした。

馬場大貴

「去年はここの選手紹介(トップライダー入場時に行われるショータイム)でウイリーしたら失敗して膝を怪我しちゃって、さらに3回前転してしまったので、今日はずっと自分との勝負でした。今年は無転倒でレースを終えられて良かったです。うまくいけば次の八犬伝でチャンピオンが決まるので気を抜かずに頑張ります!」

 

小林雅裕

「ちょっと体調が悪い中でのレースだったのですが、久しぶりに2位に入ることができて良かったです。僕は下りじゃなくて、登りで穴に引っかかって前転しちゃいました。次の八犬伝では馬場選手に勝ちたいと思います」

 

中島敬則

「健二さんがとてもいいバイク(23モデルのYZ125X)に乗ってて、僕はYZ250FXなのに登りで抜かれたんですよ。それで『今日は4位だな』って思っていたら、まさかの健二さんが(クラッシュして)いなくなるという。とてもいいバイクが出来上がっているので、ぜひ楽しみにしていてください」

 

JNCC次戦は10月9日、千葉県君津市にてサンドバレー八犬伝が開催される。こちらも全日本モトクロスと日程が重なっているため、渡辺、熱田が不在の大会となる予定で、馬場大貴のチャンピオン獲得や成田亮の初優勝など、さまざまな期待が持たれる。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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