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飯塚翼が初優勝、チャンピオンに王手をかける。JEC ルスツ2デイズエンデューロ

JEC全日本エンデューロ選手権
第4,5戦 ルスツ大会
日程:2021年9月18日(土)、19日(日)
場所:北海道留寿都村

昨年に続き、新型コロナウイルスの影響でJECの北海道ラウンドは、日高ではなくルスツでの開催となった。ただし昨年と違うのは公道を使用するオープンエンデューロとなったことだ。ビッグベアOHVパークから林道や舗装路を使って、貫気別山(通称:イゾラ山)へと移動し、また戻ってくる、一周約40kmのダイナミックなコースが用意された。

目次

2デイズを制し、ランキングトップへ浮上


今年のJECは開幕戦から波乱の展開が続いている。開幕広島で昨年のチャンピオン釘村忠がマシントラブルによるノーポイントに泣くと、次のいなべでは目下のライバル鈴木健二がファイナルクロスで大クラッシュ、やはり1ラウンドを落とした。

そんな中、若手の出世頭である飯塚翼と保坂修一は順当にポイントを積み重ねていた。保坂はランキングトップでこのルスツ大会を迎えるも、前々週に参戦したJNCCで鎖骨を骨折してしまう。しかし、このルスツ大会、実は釘村と鈴木は参加していなかった。釘村は新型コロナウイルスの影響を考えての自粛、鈴木はナンバー付き車両のセロー250での参戦にリスクを感じてのものだった。

保坂と飯塚は2019年にIAに昇格したばかり、そんな若者たちの目の前に、チャンピオンがいよいよ現実味を帯びてきた。

DAY1、保坂は、完治にはほど遠い鎖骨の痛みを探りながら、少しづつペースを上げていった。全6回の計測のうち、前半3回は3〜4番時計と足踏みしたが、後半3回の計測では飯塚を上回る1番時計をマーク。

一方飯塚は、全体を通して1〜2番時計でまとめるも、3回目のベアエンデューロテストで4番時計を喫し、逃げる飯塚、追う保坂の構図となった。

しかし結局最後は飯塚が2秒17の僅差で逃げ切り、飯塚が初優勝を飾る。

「釘村さんも健二さんもいなくて、ヨシカズ(保坂)も怪我をしていたので、ちょっと守りの走りになってしまいました。ヨシカズが思いのほかペースが速くて、追いつかれそうになってからペースをあげようと思ったら、コースが荒れていて、上手くタイムを出すことができませんでした」と飯塚。

対して保坂は「北海道選手権でベアOHVパークはよく走っていたので、その経験が役に立ちました。鎖骨が痛まないように、セッティングや乗り方を変えてみたんですけど、その成果もあって後半は少しペースアップして攻めることができました」とDAY2への不安はない様子。

そしてDAY2、DAY1は少し霧かかっていたスタートも、この日は快晴。ベアエンデューロテストでは飯塚が全て1番時計、そしてイゾラエンデューロテストでは全て保坂が1番時計という、拮抗した展開が続いた。

しかしそんな中でもベアエンデューロテストでの飯塚のリードがわずかに上回り、9秒54の差で飯塚がDAY2も制した。

「昨日のヨシカズのペースをみて、今日は最初っから攻めて走りました。特にイゾラエンデューロテストは速くて、タイムチェックの待ち時間にライブリザルトをみて、だんだんペースを上げていったんですけど、結局届きませんでした。今日は荒れた路面にしっかり対応できて、気持ちよく走れたので良かったです」と飯塚。飯塚はこれで保坂に6ポイント差をつけてランキングトップへ浮上。最終戦SUGOでのチャンピオンに王手をかけている。

保坂は「やれることはやった、という感じですね。ベアエンデューロテストのギャップが酷くて、(ペースを上げると鎖骨に響いて)辛いレースでした。SUGOまでにはまだ時間があるので少しでも怪我を良くして、逆転チャンピオンを狙います」とコメント。

キッズ時代からともにモトクロスで共に成長してきた2人が、エンデューロのトップカテゴリーでチャンピオンを争う熱い展開になった。

また、3位には久しぶりに内山裕太郎が入賞。2008年式のWR250Fを駆り、DAY1には飯塚、保坂を抑えて1番時計もマークした。「4ストの250ccだから、ゲレンデの登りはどうしてもパワー負けしちゃうから、下りで勝負しました。DAY2の後半はだいぶコースが荒れてきたので、ペースを上げることができなかったのですが、マシンが絶好調だったので、なんとか入賞できました」と2日間のレースを振り返った。

IB、NA、NBにも突出した才能が開花

IBクラスでは、飯塚や保坂と共に育ってきた成田MXパークの御曹司、酢崎友哉が圧勝。この大会のために二輪免許を取得したという酢崎はまだ16歳、それでいてIAクラスでも6位に相当するタイムを叩き出した。当然、2日間通して全てのテストで1番時計という結果だ。

「DAY1はワダチやバンクが全然なくて攻めきれず、DAY2は逆に荒れすぎて走りづらかったんです。でも自分なりにラインを色々変えてみたら、昨日よりも7秒もタイムを縮めることができたので、少しオンタイムの走り方がわかってきた気がします。それでもIAのトップ3には届きませんでした」酢崎はいわゆるモトクロスキッズ出身ではなく、生家の成田MXパークで走り込んできただけのライダー。それが最近になってモトクロスの関東戦にエントリーし、スピードをつけてきている。来年には確実にIAに昇格してきて、保坂や飯塚、さらには釘村や鈴木さえも脅かす存在になり得るライダーだ。

NAクラスのDAY1を勝利した向坊拓巳も大学3年生という若きライダー。普段のYZ250FXではなく、ナンバーが取得できるハスクバーナのTE250での参戦だ。しかし、残念ながらDAY2の最初のテストで謎のエンジンストール。そのまま復帰できずレースを終えた。

代わりにNAのトップ争いを演じたのは森慎太郎と泉谷之則。ゼッケン番号が327と331ということで同じグループで回っていた2人は、タイムチェックの待ち時間にお互いにラインを教え合うなど、情報交換を行っていた。

結果、DAY2の優勝は泉谷、総合優勝は森の手に。

「NAクラスで初めての優勝なので、嬉しいですね。昨日走った感じで、今日はリアサスを少し硬めにしたら、すごく走りやすくなりました。今までは毎周同じラインばっかり走っていたのですが、今日は森選手と色々話をしながら、ラインを変えてみたら後半にタイムを詰めていくことができました」と泉谷。

「向坊君がリタイヤしてしまって、途中でライブリザルトをみたら1位だったから、これはいけるんじゃないかと思ったら、欲が出てしまってミスが目立ち始めました。そして最後のテストで転倒してしまい、泉谷さんに逆転されちゃいました」と森。

また、NBクラスではJNCCを賑わす高橋吟がDAY1、DAY2共に優勝。初めて乗ったという借り物のWR250Rで、IBの3位に相当するタイムを叩き出した。

「WRのポテンシャルの高さにびっくりしました。JECは初出場だったのですが、とても楽しく走れました。IAを目指して出場し続けたいと思います」と高橋。

ウィメンズクラスは残念ながら1人のみのエントリー。保坂修一の妹、明日那がやはりこのために二輪免許を取得してKX100で出場。電動バイクを除き、全クラス通じて唯一のミニモトで最後まで危なげない走りをみせた。

「初めてのオープンエンデューロだったのですがチームの雰囲気が良かったおかげで緊張することなく走ることができました。特にDAY2の最後のイゾラエンデューロテストは、一気に15秒以上タイムを縮めることができて、気持ちよかったです」と保坂。

次は最終戦となる村田SUGO2デイズエンデューロ、11月20〜21日に宮城県スポーツランドSUGOでの開催だ。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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