JNCC
第4戦 ダイナランド
日程:2021年6月19日(土)、20日(日)
場所:岐阜県 ダイナランドスキー場
夏季の収入源を確保したいスキー場と、大自然の中を走り回りたいオフロードバイク。そのマッチングがまたひとつ誕生した。それがこのダイナランドだ。CGCの開催でも大きな話題を生んだこのスキー場だが、JNCCでは馬場大貴が圧倒的なパフォーマンスで連勝を伸ばした。
開幕4連勝は2018の小池田以来
2005年にSERIESからJNCCになり、これまで5人のチャンピオンが誕生してきた。石井正美(2005、2007)、澤木千敏(2006)、小池田猛(2008、2009、2010、2016、2017)、鈴木健二(2011、2012、2013)、渡辺学(2014、2015、2018、2019、2020)だ。そんな面々に、今年馬場大貴が肩を並べようとしている。
しかし忘れてはいけない。あの2018年のドラマチックな最終戦を。そう、2018年は開幕から4連勝をあげた小池田が、第5戦での負傷をきっかけに成績を落とし、ついに最終戦で渡辺に逆転を許してしまったのだ。
だからこそ馬場は言う。「まだチャンピオンは意識していません。1戦1戦を勝ちに行っています」と。
ゲレンデはやはり渡辺学に分があった。ホールショットの大村尚成を抜き去り、トップに出た馬場をゲレンデの下りで渡辺が抜き去る。中盤のウッズでは馬場が再び先行するものの、最後のゲレンデでまた渡辺がトップに。
この展開が続くのかと思いきや、2台の決着は思いの外、早く着いてしまった。渡辺が2周目にマシントラブルでレースを離脱したのだ。
さらにライバルとなるべき鈴木健二も鈴蘭でも発症した目の不調を訴え、離脱。スポット参戦した田中教世もチェーンガイドを破損させ、途中リタイア。馬場はトップを独走し、2番手争いは鈴蘭で準優勝した小林雅裕とモトクロスレジェンドの熱田孝高が繰り広げた。
CGCダイナランドにも出場していた小林が熱田との接戦を制し、2大会連続の準優勝を飾る。馬場もCGCでこのダイナランドを経験しており、より高い難易度のレイアウトを走っているからこそ、今回難所となったウッズの登り区間も難なくクリアすることができたのだろう。馬場も勝因として「ウッズで一度も止まらなかった」ことを挙げていた。
3位に熱田、4位には自身最高位の内嶋亮、5位に神馬匠が入った。これでポイントランキングは1位馬場が120PT、2位小林が92PTで28PT差となった。まだまだ一戦のトラブルで何が起こるかわからないJNCC2021は、ますます目が離せない!
馬場大貴
「4連勝を意識しすぎるとプレッシャーになるので、賞金のことだけ考えてきました。練習ではずっとYZ125Xに乗っていて、それがすごく活きてると思います。皆さんも125ccのバイクを買って練習すればもっと上手くなるはずです。あと普段はSUPトレーニングを取り入れていて、それも効果が出ています」
小林雅裕
「前回と違って、学さんや熱田さん、教世さんがいる中でこうして2位を取ることができて、とても嬉しいです。4st250ccだと、登りがちょっときついかなと思ったのですが、そんなこともなく走ることができ、楽しかったです」
熱田孝高
「今日は冷静に、転けないように馬場くんの後ろを淡々と走ってたんですけど、つい抜きたくなってしまってチャージしたら1〜2mくらい落ちてしまって、マチャ選手(小林)にもいつ抜かれたかわからないまま3位になってました。今日のコースはとても面白かったので、またスキー場でお願いします」
内嶋亮
「自分史上最高位、嬉しいです。前回の鈴蘭で悔しかったので、フィジカルトレーニングをして体重をちょっと増やしてきたのが良かったのだと思います」
神馬匠
「楽しかったです。内嶋さんに負けちゃったのがすごく悔しいので、次はやっつけます!」
COMP-AA2クラスでは小林雅人がトップから一周遅れの14周を周り、優勝。LGDクラスは中島幸広、COMP-Aクラスは宗本駿真、COMP-Bクラスは開幕、広島と2連勝して特別昇格を果たした高橋吟が鈴蘭に続いて2連勝。COMP-Rはまた富田兄弟の兄弟対決で、今度は鈴蘭での雪辱を果たし、悠仁が制した。
小林雅人
「今日は疲れるコースで、何回か心が折れそうだったのですが、皆さんの応援のおかげで走り切ることができました。タイヤは迷ったけど前後X20で、やっぱり使い勝手が良いですね」
中島幸広
「今日は疲れました。オジサンにはあのウッズは大変です。馬場くんなんかずっと1速で全開で走るんですが、あんなことできないな〜と思いながら、一生懸命転んでました」
宗本駿真
「前半はなかなかペースが掴めなくて、ダメな走りだったんですけど、後半から気分を挙げて順位も上がっていって、優勝できて嬉しいです」
高橋吟
「今日は天気も良くて、とても気持ちよく走ることができました。タイヤはIRCのM5Bで、とっても良かったです」
富田悠仁
「この間の鈴蘭で弟にボコボコにされ、夜も眠れぬ日々を過ごしていたのですが、今回勝つことができたので、ぐっすり眠れると思います」
ベテランVS若手のぶつかり合いが面白い
FUN-GP
ここ最近、すっかり若手の活躍が目まぐるしくなってきているFUN-GPだが、このクラスは若手の登竜門としての意味だけでなく、ベテランライダーの表舞台でもあるのだ。
今回、久しぶりにそれを思い出させてくれたのが、レジェンド神馬健の総合優勝だ。COMP-AA1神馬匠の実父でもある氏の総合優勝は、2018年以来3年ぶり。
FUN-Aクラスでは橋本努、吉崎一弘、野頭勝敏、瀧村剛ら強豪を抑えて開幕戦ぶりの出場となる岩井良宏がただ一人12周を周り、優勝。FUN-Aのキャラの濃いオジサンたちが口を揃えて「岩井さんには勝てない」と言うだけある実力者だ。
そしてFUN-Bクラスは瀧村ジュニア、泰自が優勝。今年はコロナの影響で近場のみに絞っており、鈴蘭からの参戦だ。
FUN-Cクラスは鈴蘭に続いて杉田忍が優勝。鈴蘭で僅差で敗れた久保櫂人は3周目に大きく23位まで順位を下げてからの追い上げで2位まで食い込んできた。FUN-Dクラスは中川満が制した。
FUN-GPの恐ろしいところはクラスを超えて総合順位が混沌とするところだ。今回は荒れたコースのせいもあってか、よりそれが顕著だった。なんと言っても総合20位以内にトップカテゴリーのFUN-Aクラスが5台しか入っていないのだ。レジェンドのFUN-SAが2台、FUN-BやFUN-Cクラスの猛者たちがいつ総合優勝してもおかしくないという状況だ。COMP-GPでもJNCC参戦歴の少ない下のクラスのライダーがいきなり総合上位に食い込むことはあるが、流石に優勝することはない。
岩井良宏
「初めてのコースで下見もできなくてちょっと怖かったのですが、なんとかクラス優勝できたので良かったです」
瀧村泰自
「フロントブレーキなしで走りきって、いい順位を残せたので良かったです。シンコー540DCを使いましたが、グリップしてキャンバーでもどこでもラインを変えられるようないいタイヤでした」
杉田忍
「終盤、スタックしてる方がいっぱいいて、ライン選び悩んだんですけど、シンコーの540DCはどこでも行けたので、スタックすることなく上手く走れて良かったです」
さらにウーマンクラスでも革命が起きている。ただ一人WAAクラスからの参戦となる菅原悠花を抑えて、WAクラスの近藤香織が制したのだ。これは鈴蘭でもそうだったのだが、鈴蘭の方がより凶悪なシチュエーションで、2ストロークマシンでハードエンデューロを嗜む近藤に分があるのもわかる気がした。
近藤香織
「昨日の大雨で、すごく大変なコースになるのはわかっていて、正直戻って来られるかわからなかったんですけど、シンコーの540DCに助けられました」
JNCC次戦は7月25日、神立スノーリゾートで開催される!