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難易度ハードエンデューロ級!? 雨のJNCC鈴蘭で馬場大貴がぶっちぎり優勝

JNCC 第3戦

ワイルドボア鈴蘭

日程:2021年5月15日(土)、16日(日)

場所:岐阜県 鈴蘭高原スキー場

JNCCは主にゲレンデを利用したオフロードバイクのクロスカントリーレースだ。そのため、冬のスキー利用への影響を最小限にするため、コースレイアウトには細心の注意が必要だ。しかし今回会場となった鈴蘭高原スキー場は、すでにスキー場としては廃棄されており、放置されたゲレンデは荒れに荒れている。つまり、コースの難易度も上がる、というわけだ。

さらに無慈悲にも日曜日の早朝から降り出した雨が、土を柔らかくし、石を滑らせる。日曜日の午後に開催されたメインカテゴリーのCOMP-GPでは、上り坂を2つほどカットし、レースが行われた。

 

最高峰のCOMP-GPは馬場の独壇場に

若手の上位入賞も見逃せない

大迫力のCOMP-AAクラススタート。飛び出しに成功したのは#6、神馬匠。続いて馬場大貴、その右後方には小林雅裕、左後方には斎藤祐太朗が続く。

 

一周目からトップに立った馬場は、周回ごとに後続との差を広げ、危なげなく10周を周った。最終的に2番手に6分45秒の大差をつけて優勝。これで今シーズンは開幕戦の阪下、第2戦の広島と合わせて3連勝と破竹の勢いだ。

 

そもそも今シーズンは第1戦はG-NETとスケジュールが被り、鈴木健二が欠席。そして第2戦と第3戦のこの鈴蘭では全日本モトクロスと被り渡辺学が欠席と、JNCCのチャンピオン争いは馬場が最優良候補に挙がっている。しかし、そんなライバルたちの事情など関係なく、3連勝と波に乗る馬場は、全戦優勝でチャンピオンを決める腹づもりだ。

 

「コースめちゃくちゃ簡単で(笑)、一周するたびにどんどんコース状況がひどくなっていって、早く終わってくれって思いながら走っていたんですけど、いろんなところでスタッフが助けてくれたり、ヤマハパドックの皆さんが素早いピット作業のおかげでなんとかアドバンテージを保ったまま優勝することができました。

 

タイヤは前後ブリジストンのX20でした。本当に悪いところのないタイヤで、最後までちゃんと保ってくれたので、今後も全戦このタイヤで行こうと思っています。

 

次戦はチャンピオンの渡辺選手が出場してくるので、バトルして盛り上げられるように頑張りたいと思います」

最後まで馬場を追いかけたのは小林。小林は阪下4位、広島3位からの鈴蘭2位と着々と順位を上げてきており、今シーズンは久しぶりの優勝も十分視野に入る好調ぶりを見せる。

「前回広島で3位で、次回はさらに上に上がりますと宣言したんですけど、約束通り2位に上がることができました。いろんなところでみんなが応援してくれて、それが力になって最後まで諦めずに走ることができました。久しぶりにエンデューロ!っていう感じのレースができて楽しかったです。次回はさらに上に上がれるように頑張ろうと思います」

鈴木は1周目こそ2番手で馬場を秒差で追いかけていたが、視界不良によりペースダウン。ゴーグルを交換してなんとかペースアップし、後半に巻き返すものの3位となった。

総合4位に入ったのはCOMP-AA2クラスでエントリーしていた小林雅人。

「すごいタフなコースで、序盤は良かったんですけど、後半はバイクを投げたり転んだり・・・いろんな人に助けてもらって最後まで走りきることができました。僕も馬場選手と同じブリジストンのX20で、間違いのないタイヤなので、まだ履いたことのない人はぜひ試してみてください」

また、55歳以上のライダーがエントリーするLGD(レジェンド)クラスでは中島幸広が6周、ライバルの得地孝一を約10分引き離して優勝。

「今日は最後の周に遭難しそうになりました。レジェンドクラスには辛いコースでしたが、楽しかったので、また次もよろしくお願いします」

 

そしてCOMP-AクラスはJNCC初出場、モトクロスIAライセンスを持つハードエンデューロライダー、勝山聖が制した。Aクラスでただ一人9周を周り総合でも6位に入る活躍。ハード系ライダーにとって、今回のコンディションは水を得た魚といったところだろう。

「応援、サポートしてくださった方、ありがとうございました。元モトクロス国際A級だったんですけど、こういうマディのレースは得意で、楽しく最後まで走ることができました。開始1時間でパンクしてリアのビードが落ちちゃったんですけど、なんとか完走できて良かったです」

COMP-BクラスはCOMP-Rクラスから昇格したばかりの高橋吟がいきなりの優勝。高橋は今年の開幕・阪下でJNCC初参戦。阪下、広島とRクラスを優勝したことで特別昇格となった。今回は総合でも12位に入っており、すでにAAクラスでもおかしくない実力を秘めている。

「マディのレースが初めてで、対策が何もできていなかったので悲惨でした。タイヤはIRCのM5Bを使い、すごく調子が良かったです」

高橋はMCの「次回はもうちょっと上のクラスでもいいという手応えはありますか?」という問いに対して首を縦に振り、次戦に対する意気込みを見せた。

そしてCOMP-Rクラスは兄弟対決を制して富田崇仁が優勝。

「今回もピットで素晴らしい対応をしてくれたティスレーシングの皆さん、ありがとうございました。前回広島に続き、兄さんに勝つことができたのでとても嬉しいです」

レース終盤に頭部を負傷した鈴木健二は治療のため表彰式を欠席していた。

続いてCOMP-AAクラスの表彰式。左から馬場大貴、小林雅裕、斎藤祐太朗、出口隼飛、渡辺裕之、小林雅人、松尾英之、中島幸広。

COMP-Aクラスは1位から勝山聖、内山泰臣、鈴木巧、雨宮俊輔、加藤浩介、赤岩久、佐野慶太、山口孝司、小菅浩司。

COMP-Bクラス。1位から高橋吟、佐々木文豊、大出和弘、中山光昭、土屋吉輝、小山豪、森野友太、塚越智也、岩金弘樹、森紀彦。

COMP-Rクラス。1位から富田崇仁、富田悠仁、菊池里士、木下夏芽、大塚正恒、古野達郎、粕谷直諭輝、石浦一幸、柳田知則、酒井正男。

ステップアップの場が用意されるJNCC
未就学児から始められるレース

また、JNCCではメインカテゴリーのCOMP-GPの他に、レース時間90分のFUN-GP、65ccのキッズやレース入門者のためのKIDS&TRY、さらに50ccや電動バイク「ヨツバモト」のためのFCXといったレースが用意されていて、己のスキルに合ったレースに出場しながら成長していくことができる。

COMPよりも多くの台数が、COMPより短いコースを走ることで、コースに対するライダーの数が増え、混戦となるFUN-GPだが、レベルは決して低くない。どちらかというと3時間あるCOMPよりもハイスピードになる傾向がある。

FUN-GPのクラス優勝はこちら。左からFUN-Aクラス優勝・宮原淳二、FUN-SAクラス優勝・神馬健、FUN-Bクラス優勝・大重勇透、FUN-Cクラス優勝・杉田忍、FUN-Dクラス優勝・大山稜生、FUN-WAAクラス優勝・菅原悠花、FUN-WAクラス優勝・近藤香織、FUN-WBクラス優勝・和田綾子、FUN-WDクラス優勝・木村美嘉。なお、総合優勝はFUN-Bクラスの大重勇透が獲得した。

50ccのFCXで総合優勝を勝ち取ったのは、COMP-AA2の松尾英之ジュニア、松尾颯太。

電動バイク「ヨツバモト」クラスでは水谷倫都が優勝した。

JNCCは全日本格式のレースでは珍しく、すべての年齢層・すべてのレベルのライダーが同時に楽しめるフォーマットを展開している。観戦だけでなく、自らもレースに参戦しつつ、トップカテゴリーの選手の走りを見ることができるので、楽しみも2倍だし、スキルの上達も早い。

ここで育ったライダーが将来は他のレースで活躍するかもしれないし、そして他のレースで名を馳せた後にまたここに戻ってくることも。JNCCはそんなオフロードバイク業界全体の活性化のためになくてはならない存在なのだ。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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