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若きチャンピオン誕生、23歳の飯塚翼が幼馴染対決を制す

JEC全日本エンデューロ選手権

第4戦 村田SUGO2デイズエンデューロ

日程:2021年11月20日(土)・21日(日)

場所:宮城県スポーツランドSUGO

 

2021年、新型コロナウイルスに翻弄された全日本エンデューロ選手権もついに最終戦を迎えた。最強のチャンピオン釘村忠と、その対抗馬である鈴木健二が揃ってルスツ2デイズを欠場し、今年度のチャンピオン候補は若き2人のライダーとなった。

 

目次

馬場大貴の弟、RB参戦 馬場亮太がJECで大暴れ

飯塚翼と保坂修一は、キッズ時代から一緒に走ってきたライダー。飯塚の方が少し年上なため、保坂にとっては常に先を走るお兄さんに見えただろう。しかし、保坂の方が先にエンデューロに転向したため、JNCCやJECではともにステップアップしてきた。

 

第3戦ルスツでは保坂の怪我の影響もあったか、飯塚が2デイズを制し、6ポイント差でランキングトップに立ち、最終戦SUGOを迎えた。

 

DAY1、最初の計測となるエンデューロテストで1番時計を叩き出した榎田諒介は3周目にマシントラブルでエンジンストップ、DAY1をDNFという結果に。そしてやはり釘村がエクストリームテスト、クロステストと1番時計を連発。しかし3周目に突入すると、その釘村に思わぬ伏兵が襲いかかった。

そう、元モトクロスIAであり、JNCCで年間チャンピオンを決めた馬場大貴の弟、馬場亮太だ。兄である大貴が「才能は弟の方がある」とたびたび口にするように、馬場は3周目のエンデューロテストで1番時計を奪取。その後も釘村との秒単位のバトルを繰り広げ、あっという間にこの日の話題を独り占めしてしまった。

そんな中でもエクストリームテストでその存在感をアピールしたのが、Enduro GP参戦経験も持つ大神智樹だ。3周目と4周目のエクストリームテストでは釘村、馬場を抑えて1番時計を記録。元トライアルIBのスキルを遺憾無く発揮した。

チャンピオンがかかった飯塚は大きなミスなく、2〜7番時計でうまくタイムをまとめてきた。対して保坂は2周目のエクストリームテストで痛恨のミスコース、大きく順位を落としてしまった。

結果、DAY1は釘村がチャンピオンの面目を保ち、優勝。2位に入ってきたのは馬場。なんと釘村との差はわずか8秒31という微々たるもの。初出場の全日本エンデューロ選手権で、しっかりと足跡を残してきた。3位は飯塚。4位には大怪我からの復帰戦となった中島敬則が入った。保坂は5番手につける。

 

榎田の復活と馬場の失格
保坂VS飯塚の行方は?

 

DAY2ではなんと、馬場が2周目に規則違反で失格という波乱が起きた。これはJECというオンタイムレース初出場による規則の見落としによるものだったが、来年はYZ250FXでフル参戦する意向も表明しており、今後に期待がますます楽しみになった。

そして馬場の代わりに釘村を追い詰めたのが、DAY1にマシントラブルで戦線を離脱した榎田だ。しっかりと修理を終え、復帰した榎田は1周目の全テストで1番時計を記録した。

 

しかし、2周目以降は再び釘村がスパート。1つのエクストリームテストは大神に譲った者の、残る7つのテストを全て1番時計でまとめ、最終的には榎田に25秒40の差をつけて総合優勝を勝ち取った。

チャンピオンシップの方はDAY1で保坂に対しさらにポイント差を広げた飯塚だったが、DAY2では保坂とタイムを競り合うレース展開。飯塚・保坂ともに2-7番時計を叩き出し、全テストを終えた段階では保坂が1秒30ほどのリードを築いていた。

しかしこれはSUGO2デイズ。最後には選抜ファイナルクロスが行われ、そのタイムも加算されるシステムだ。このファイナルクロスでは飯塚が1周目からトップを奪うと最終周までその座をキープし、トップチェッカー。続いて沼田誠司、保坂、釘村という着順になった。

 

こうして、飯塚は2021年JECチャンピオンを獲得したのだった。

飯塚翼

「今日は本当にミスなく、いつもの走りができるように注力しました。ファイナルクロスも無難に走ろうと思っていたのですが、スタートに並んだら、気合が入っちゃいました。最高です。ファイナルクロスの大坂登って、降る時に『これはいける』って思いました。今年は広島で新しいマシンにチェンジして、調子が良かったのですが、その後、新社会人になって、一人暮らしも始めて『本当にレースできるのかな?』って思っていたんです。修一(保坂)はすごくいい環境を手に入れていて、どんどん速くなってしまいますし、自分はエンジョイライダーとして走った方がいいんじゃないかと思って、一ヶ月以上バイクに乗らなかったんです。だけどいなべの中日本エンデューロを見に行った時に、釘村選手やみんなが走っている姿をみて、『やっぱりバイクに乗りたい』と強く思い、そこからは仕事が終わった後にトレーニングやバイクの整備をして、バイク漬けの生活に変えていきました」

保坂修一

「骨折もあり、苦しんだシーズンになってしまいました。それも含めて実力不足ということだと思います。最終戦で自分の課題が明確にわかりましたので、シーズンオフにしっかりトレーニングして、釘村さんに追いつけるように頑張ります」

釘村忠

「朝イチはあまり体が動かなくてミスが多くなってしまいましたが、テストは集中して走ることができたので、いいとしましょう。ファイナルクロスでは1コーナーで転倒してしまい、なんとか立て直しました」

馬場亮太

「エンデューロは初めてなんですが、自分でも成績が良くてびっくりしています。エクストリームテストで釘村さんや大神さんが大きな障害物を超えて走っているのをみて、あれは自分には無理だ、と思い、障害物の間を縫うように走ったのですが、DAY1の1番時計が出せていて、良かったです。エンデューロ向けのサスペンションを作りたくて、来年はJECに参戦しようと思っていて、ルールがよくわからなかったので、今回試しに出てみました」

 

さらに若手が育つJEC
全クラス10-20代がチャンピオン

また、IBクラスではDAY1、DAY2ともに飯塚や保坂と同じ、成田MXパークで育った16歳の酢崎友哉が優勝。酢崎はマシントラブルでリタイヤとなった第2戦のDAY1を除き、今シーズンの全戦で優勝し、来年はIAクラスに挑戦する。

 

酢崎友哉

「昨日よりだいぶコースに慣れてきてタイムを縮めることができました。また、ファイナルクロスのためにSUGOに出たと言ってもいいくらい楽しみで、今回はホールショットで走れたのでよかったです。まだ今日のテストタイムを見るとIAでも7-8番くらいなので、シーズンオフにしっかり乗り込んで。僕は雨の広島が得意なので、飯塚さんや保坂さんだけじゃなく釘村さんや鈴木健二さんにも勝てるように頑張りたいです」

NAクラスは大学生の向坊拓巳が2デイズを制し、年間チャンピオンを獲得。NBではこの前週に全日本ハードエンデューロ選手権G-NETのチャンピオンを獲得したばかりの山本礼人(27歳)がDAY1を2位、DAY2を優勝で飾り、チャンピオン獲得。

そしてウイメンズでは優勝は太田晴美、保坂修一の妹、高校生の保坂明日那がDAY1で2位を獲得し、年間チャンピオンを決めた。

 

各クラスで次々と若いライダーが頭角を現し、いま全日本エンデューロは大きく変わろうとしているのかもしれない。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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