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トップに食い込む若手の勢い、全日本モトクロス選手権 第1戦

全日本モトクロス選手権

第1戦 HSR九州大会

日程:2022年4月9日(土)、10日(日)

場所:熊本県 HSR九州

 

目次

2022年全日本モトクロス選手権シリーズが開幕。

IA1クラスには、昨年IA2でトップを争った大城魁之輔、大倉由揮、内田篤基がIA1ルーキーとして参戦。IA2にはオーストラリアのトップライダー、ジェイ・ウィルソンが出場と、新たな顔ぶれが各クラスに新風を吹かせることとなった。

ルーキーが旋風を巻き起こす、IA1クラス

 

予選、決勝ともに天気は快晴。最高気温は25度とライダーも観客も体力を奪われる暑さの中レースは行われた。コンディションはドライだったものの、こまめな散水によりマディ気味な部分も。今大会のために山砂を導入して整備されたことも相まって、コースは今までにない荒れ方に。荒れた路面の攻略が、勝敗を決める鍵となった。

 

IA1クラスは、IA2からのルーキー3人が予選からその勢いを見せつける。トップ陣に入り込むルーキーの速さに、各メーカーを背負うベテランも揺らぐ展開に。

ヒート1は富田俊樹がホールショットを決めると、小方誠、大城魁之輔、能塚智寛が富田の後を追った。富田、能塚、渡辺が前に出る中、大城が3人の間に割って入りその勢いを見せた。

3周目、能塚が富田との距離を徐々に詰め、トップに浮上。富田と攻防戦を繰り広げた翌周、能塚が転倒により後退。再び富田がトップに立つと、5周目、富田を追う渡辺と大城が2番手争いを展開。大城が渡辺の背後まで迫るも、渡辺は冷静なライン取りで大城との距離を離していった。

結果は1位富田、2位渡辺と、荒れた路面の中、ヤマハ勢が安定した速さを見せた。さらに3位には大城が入り、初めてのIA1レースで初表彰台という結果を残した。

ヒート2、スタートを出たのはIA1ルーキー内田篤基。その勢いのままスピードを上げ、後方に続く富田、能塚との差を広げる勢いを見せた。1周目を内田、能塚、富田で通過。ルーキーがトップライダーを抑え、レースを引っ張る展開となった。

5周目、内田は後方と2〜3秒の間隔を開けて快走するも、徐々にラップタイムを上げた能塚が内田に迫りパス。続けて翌周には富田も内田に追いつき、2番手へ浮上。内田は富田と能塚に食らいつく中、クラッシュしそのままリタイヤとなった。

後半、富田が能塚を追い上げる展開に。深いわだちによってラインが限られる中、インやアウトから器用に攻め、抜きどころを見極めていく。9周目、富田が能塚をパスしトップに立つと、そのままリードを広げてフィニッシュ。1位富田、2位能塚、3位には大倉からのプレッシャーを跳ね除けた小方が入った。富田は自身初のパーフェクトウィンを達成。チャンピオン獲得への一歩を踏み出した。

富田俊樹

「最高のシーズンスタートになったと思います。僕自身IA1で両ヒート勝つことが初めてなので、とても嬉しく思っています。チームやスポンサーのおかげで、完璧なかたちで走れましたし、チームがマシンをパーフェクトな状態に仕上げてくれて助かりました。ありがとうございました!」

 

表彰台を独占、ヤマハの壁が立ちはだかるIA2クラス

 

3ヒート制で行われたIA2クラス。昨年のトップライダーたちがIA1にステップアップしたことにより、若手の活躍が期待された。そんな中、今シーズン注目なのがオーストラリア出身のジェイ・ウィルソンだ。2021年全日本モトクロス最終戦ではIA2クラスにスポット参戦して見せた圧倒的な速さは記憶に新しい。

ヒート1、ジェイ・ウィルソンを抑えてホールショットを決めたのは小川孝平。抜群の滑り出しを見せるも、すぐさまウィルソンが小川をパス。1周目をウィルソン、IA2年目の福村鎌、小川孝平、鈴村英喜、そしてIA2ルーキー田中淳也という順で通過。若手のレベルの高さが感じられるスタートとなった。

 

15分という短いレースの中、スタートの出遅れから追い上げてきたのが中島漱也。田中らをパスし6周目には3番手に浮上。4番手を走る鈴村との差を広げ3位を確立した。

独走状態で余裕の走りを見せたウィルソンが優勝。中島が小川に迫るも及ばず、2位小川、3位中島とヤマハ勢が表彰台を独占。

ヒート2もヒート1同様、小川がホールショットを決め、柳瀬大河が2番手で1コーナーを通過。混戦の中、ウィルソン、小川、柳瀬、鈴村、中島という順で1周目を終えた。

トップを走るウィルソンに離されず食らいついていったのが小川である。「絶対に勝つ」という熱意が感じられる走りであったが、ミスにより、惜しくもウィルソンにリードを許した。

レース後半、またもや圧巻の追い上げを見せる中島。ミスでペースを落とした鈴村の隙をついて4番手に上がり、最終ラップで柳瀬をパス。直後に柳瀬はクラッシュで後退し、結果はウィルソン、小川、中島と、ヒート1と同じ順位となった。

ヒート3では福村がホールショットを決め、予選からの好調ぶりを見せた。眞野凌輔と佐藤沙弐が続くと、3コーナー目、コーナー直前で全員がスピードを落とす中、アウトラインからスピードを乗せてトップに上がったのがウィルソン。さすがのライン取りとスピードの乗せ方でスキルの差を見せつけた。

ウィルソン、中島、小川という順で周回を重ねる中、ウィルソンが独走状態に。6周目には小川が中島との差を縮め2番手争いを展開。中島が小川を抑えるも、レース後半での強さを見せた小川が2番手に上がった。ヒート3もウィルソン、小川、中島という順位に。全ヒートで表彰台を独占したヤマハ勢の強さが示された。

ジェイ・ウィルソン

「ヤマハが表彰台を飾っていて、チームが活躍して嬉しく思います。私が日本に来た目的はバイクの開発とライダーの育成にあります。今回表彰台に上った2人(小川孝平と中島漱也)のスピードが速くなっているのを感じたので、これからもっと彼らのスピードが速くなるようにしていきたいです」

 

悲願の優勝を決めた小野彩葉、ライン取りが決め手となったレディースクラス

 

ディフェンディングチャンピオン川井麻央を揺るがす者はいるのか、トップ争いに期待がかかったレディースクラス。IA2クラスのレース後に行われたため、コースはかなり荒れた状態。ジャンプ後やコーナーに深いわだちが出来上がっており、ライン取りでいかにスピードを落とさず走るかが重要となった。

ホールショットを決めたのは小野彩葉。瀬尾柚姫、久保まなと続き、川井は4番手からの追い上げでスタート。1周目で小野の前に立ちそのまま離していくかと思われたが、小野が抜き返し、激しいトップ争いに。昨年一度も川井に勝つことができなかった悔しさをバネに今まで以上に練習を積んできた、という小野。その努力の成果が見えた瞬間であった。

熱戦を繰り広げる中、小野を抜き返そうと攻めた川井はコーナーで転倒。これにより小野が単独トップとなった。2番手に久保、3番手に楠本菜月が続き、川井は8番手からの追い上げとなった。

各ライダーが荒れた路面に苦戦する中、小野はライン取りを上手くこなしスピードを上げていった。トップ3それぞれが独走状態でレースは進行し、川井は4位まで追い上げを見せるもそのままフィニッシュ。小野、久保、楠本の順位でレースを終え、小野が悲願の初優勝を飾った。

小野彩葉

「去年1勝もできなくてめちゃくちゃ悔しくて、シーズンオフに今まで以上に頑張ってきたので、やっと結果を残すことができて嬉しいです。次戦も勝って、今シーズンはチャンピオン獲るので応援よろしくお願いします」

 

IBクラスはヒート1に有山大輝が好スタートを決め、そのままトップを快走。「最後まで自分の走りができた」と、初優勝の喜びを噛み締めた。ヒート2は西村明倫が優勝。「身体が固くなり自分の走りができなかった」と悔やんでいたが、トップを独走し速さを見せた。

 

次戦は5月14日(土)15日(日)、埼玉県オフロードヴィレッジで開催される。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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