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MotoGP第7戦イタリアGP Moto2、Moto3レースレポート/Moto3山中琉聖が3位。初表彰台に立つ

目次

MotoGP第7戦イタリアGP
5月31日~6月2日/イタリア ムジェロ・サーキット

Moto2:12周のレースで惜しくも5位の小椋藍

Moto2クラスの決勝レースは、Moto3クラスの決勝レースで赤旗中断が発生したため、周回数が当初の19周から12周に短縮されて行われました。そんな決勝レースで、小椋藍(MTヘルメット – MSI)は12番手からスタートし、1周目で4番手に浮上します。前戦カタルーニャGPのような好スタートでした。

ただ、12周という短い周回数が、小椋のレースに影響しました。レース終盤にタイヤが摩耗してきたときこそ、周りよりもペースを維持して走ることができる小椋の強みが生きるのですが、今回はその前にレースが終わってしまったのです。最終ラップには三つどもえの4番手争いを繰り広げ、5位でゴールしました。

「周回数が多ければ多いほど終盤に自分の強さが生かせるので、残念ではありました。ただ、レースの途中で『12周だ』と言われたわけではないですから。まあ、難しかったですね。最後の2、3周はともかく、その前は戦える位置にいなかった。もう少し早めにバトルに混ざれていれば、いろいろできたかもしれないですけど」

ただ、ムジェロは小椋にとって得意なサーキットとは言えないコースでした。さらに付け加えれば、2022年日本GP以来の優勝を飾ったカタルーニャも同様でした。この要因のひとつとして、小椋は今季からMoto2、Moto3の公式タイヤとなったピレリタイヤを挙げています。

「ダンロップのときに比べると、苦手なサーキットはちょっとずつ克服できていると思います。今日も、予定通り19周だったらもうちょっと面白いレースになったんじゃないかな、と思うんです。それほど得意意識のないル・マンも含め、カタルーニャ、ムジェロというコースで、まあまあ速く走れていたのはいいサインかな、と思います」

小椋はそう認めます。普段ストイックなライダーだけに、ここ数戦の結果に手ごたえを感じていることが窺えました。

同じくMoto2クラスに参戦する佐々木歩夢(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、レース中のチャタリングに悩まされ、残り2周で転倒リタイアとなりました。

「転ばないように少しペースを落としながら走っていましたが、転倒してしまいました。完走すらできなかったことに悔しさが残りますが、オランダGPまでの3週間はもう一度準備して、アッセンからまた頑張ります」

小椋藍(#79)は惜しくも表彰台には届かなかったが、こうしたレースを許容範囲である5位で終えることもチャンピオンシップには重要だ

Moto3:山中琉聖、ついに到達したポディウム

Moto3クラスは最初のレースで発生した転倒により、赤旗が提示されてレース中断となりました。再開後のレースは11周で行われ、このレースで、山中琉聖(MTヘルメット – MSI)が3位を獲得。Moto3で初表彰台に立ちました。

山中は最初のレースでフロントにSC2(ミディアム)、リヤにSC1(ソフト)を選択していました。そして、赤旗中断から再開後の11周のレースには、タイヤを交換することなく臨みました。Q2でタイヤを使い切ったため、ムジェロ・サーキットに適したリヤのソフトタイヤが残っていなかったからです。レース後半はリヤタイヤが厳しかったそうですが、そうした状況でも最終ラップでチームメイトのイヴァン・オルトラ(MTヘルメット – MSI)にぴたりとつけて4番手をキープしました。そして12コーナーでオルトラが転倒を喫して3番手に浮上すると、そのポジションを守ってゴールしたのです。

2020年シーズンからMoto3フル参戦をスタートさせた山中は、今季で5年目のシーズンを送っています。今季はシーズン序盤の2戦で転倒リタイアが続いたものの、以降は表彰台を争う位置でレースを続けていました。そしてついに、イタリアGPで初表彰台を獲得したのでした。

レース後、山中に話を聞くと、表彰台に到達するまでの道のりを吐露していました。

「ボクは表彰台に乗るまで4年以上かかりました。人一倍、悔しい思いや辛い思いをしてきたと思います。その分、うれしさも4年分あります。3年目のときにシートを失いかけて、たくさんのスポンサーさんに助けてもらいました。ボクはバイクに乗るだけに集中できたわけではなく、スポンサー活動もしてきて、違う部分での辛い思いもあったんです」

「Moto3参戦2年目のとき、このサーキットで自分の親友だったジェイソン(・デュパスキエ)が亡くなりました。そういう意味でも、すごく特別な思いがあります。辛い思いや苦しい思いだったり……。言葉にできないような、いろいろな思いが込み上げました」

山中は「この表彰台は自分にとって大切なものになると思います。次のレースからプレッシャーも抜けると思いますし、1回表彰台に上ったことで勉強になりました」とも語っていました。ここから、さらなる活躍が続くはずです。

Moto3参戦5シーズン目にして、初表彰台に立った山中琉聖(右)
パルクフェルメでチームとともに歓喜

古里太陽(ホンダ・チームアジア)も、最後までトップ集団で走ったライダーのひとりでした。レース中断中、古里は再開後のレースに向けてリヤにSC2(ミディアム)を入れ、序盤からトップ集団で走行しました。最終ラップは表彰台争いから少し離れましたが、それでも4位でゴールしました。

ホンダのマシンを走らせる古里によると、現状としてはKTM勢に比べてストレートで後れをとっており、それを埋めるようなレースになっている、ということでした。古里は、ホンダを走らせるライダーとしては最上位です。

「やれることはやったので、残念としか言えません。率直に感じたことは、バイクの差かなと。(KTM勢との)ストレートの差が少し厳しいかなと思いますが、誰よりもコーナーは速かったので、そこは前向きにとらえたいです。4位でホンダ勢のトップですし、後ろのホンダとも大きな差はあります。今のマシンの限界は引き出せたと思います」

鈴木竜生(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)は最初のレースで転倒しましたが、赤旗が提示されてピットに戻ることができ、再開後のレースに出走したものの、そこでも転倒を喫し、リタイアでした。

MotoGP第8オランダGPは、オランダのTT・サーキット・アッセンで、6月28日から30日にかけて行われます。

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