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G-NET2022第2戦Mt. Monkey Scramble「山本礼人、連勝。3年前より2周増えたトップ周回」

全日本ハードエンデューロ選手権G-NET

第2戦 Mt.Monkey Scramble

日程:2022年6月5日(日)

場所:福島県チーズナッツパーク

 

全日本ハードエンデューロ選手権G-NETの第2戦が福島県チーズナッツパークにて開催された。開幕戦では昨年のチャンピオン山本礼人が優勝しており、今年もその強さには隙がないことを伺わせていた。

 

目次

周回数が多くても、決して簡単ではない

 

G-NETは日本でもっとも過酷なハードエンデューロレースの一つ。当然そこで使われるコースの難易度は極めて高く、優勝するライダーでも1周や2周といった勝負になってくることすらある。しかし、そんなG-NETにも極たまに周回数が多くなるレースが存在する。チーズナッツパークで開催されるMt. Monkey Scramble(通称:モンスク)もその一つだ。

 

前回モンスクが開催された2019年には、優勝した高橋博と2位の鈴木健二が6周を記録しており、そのリザルトだけ見ると「比較的周回しやすいG-NET=比較的簡単なG-NET」という印象を受けてしまうが、決してそんなことはない。

 

確かに過去を振り返ると、斑尾高原のCGCやテージャスランチのサバイバル広島など、一般のライダーにも楽しんでもらうために、コース難易度を少し下げたことでハイスピードの移動区間が長くなり、結果として周回数が増えたG-NET戦はあった。しかしモンスクはそれらとは根本的に異なっている。

 

コースは基本的にヒルクライムの連続で構成されており、決して広くない敷地内にぎゅぎゅっと凝縮されている。当然、アタックして失敗するライダーが多ければ多いほど、コースはどんどん荒れてくるし、周回遅れのライダーをパスしながらセクションをクリアするのにも、高いテクニックが要求される。

 

トップは1周20分台!

順位がわからない不安との戦い

 

通常、ハードエンデューロの多くはクロスカントリー方式をとっている。スタートとゴールの時間が共通で定められており、その中で何周できるかを競うわかりやすいフォーマットだ。しかしこのモンスクはライダーが3人1列でスタートに並び、1列ごとに1分間隔でスタートする特殊なフォーマットをとっていて、ゴール時間は各列のスタートした時間から3時間30分後となっている。そして順位はライダー1人1人のラップ数とラップタイムから計算されるため、全ライダーがゴールするまで順位が確定しないという怖さを持っている。

 

1列目でスタートしたのはG-NET黒ゼッケンのトップ3、山本礼人、鈴木健二、原田皓太。1周目序盤の難所「ゲコタ坂」を原田がトップで駆け抜けたが、2列目スタートの佐々木文豊がそれを抜き去りトップに立つ展開。下見の段階でトップライダーが1周に要する時間はおよそ30分くらいと予想されていたが、佐々木はこの周に20分50秒を記録し、これがそのまま大会のベストラップとなった。

 

2周目以降は後からスタートしたライダーがセクションに溜まり渋滞が懸念されるため、なるべく早く2周目に突入することが、順位に大きく影響すると思われた。しかし佐々木は1周目のハイペースが祟り、2周目に強烈な腕上がりに悩まされペースダウン。その隙にチャンピオン山本が抜き去り暫定トップに立った。

 

山本の3周目にはいよいよ全ライダーがスタートを切っており、たくさんの一般ライダーがセクション上にラインを塞ぐ形で止まっていた。トップライダーの多くがこの2周目、3周目にタイムを大きく落としてしまっていたのだが、山本だけが安定して20分台のラップタイムを継続。スタートしてから1時間足らずで同じ黒ゼッケンを周回遅れにし、その強さを見せつけた。

 

レース中も誰が何周目なのか、何位なのかわからず、それは観客だけでなくライダーも同じだった。そんな精神的にも厳しい3時間30分に及ぶ自分との戦いを全員が終え、結果が貼り出された。

 

優勝はやはり山本。ただ一人8周を走りきり、7周目には自己ベスト21分4秒という好タイムまでマークし、そのスタミナと走破力を改めて示した。2018年、2019年のモンスクではトップが6周だったことを考えると、山本を含めG-NETライダーのレベルアップが顕著に現れている。

2位に入ったのは木村吏。毎年黒ゼッケン予備軍に甘んじているものの、2019年のモンスクでは3位に入っている。今年は中盤からのスタートになってしまい、1周目からある程度の渋滞があったはずだが、それを覆して7周を周回した。2位は自己最上位。

そして3位は原田。レース中にステップを片方失ったまま周回し、それを修理してレースに復帰し、見事7周。続けて4位に高橋博、5位に鈴木健二、6位に佐々木文豊が入った。

 

山本礼人

「最近はルーマニアクスに向けてFIMタイヤを使ったトレーニングをしています。なのでG-NET戦で540DCを履くともうご褒美のように感じてすごく楽しく走れるんです。佐々木さんと一緒に練習しているのですが、今日は佐々木さんが最初から全開で走っていたので、1周目はそれを追いかける作戦をとり、2周目からペースをあげていきました。無事連勝できて嬉しいです。体力的にもまだまだ余裕で、ルーマニアクスに向けたトレーニングの成果が出ているのが確認できました」

 

木村吏

「スタートしてすぐに電動ファンが壊れたり、途中でキャブが詰まったり、トラブル続きだったのですが、20年前のCR250と、G-NETではユーザーの少ないマキシスのFIMタイヤで結果を出すことができて本当に嬉しいです。今年こそランキング9位以内に入り、来年は黒ゼッケンを獲得できるように次の日高も頑張ります」

 

原田皓太

「4周目くらいのゲコタ坂でステップが片方無くなってることに気づいて、修理できるパドックに戻るまで8割くらいコースを残していたのですが、そのまま走り切りました。仲間が修理を手伝ってくれたおかげで素早くレースに復帰できて、そのおかげで3位に入ることができました」

 

G-NET第3戦は6月25〜26日、北海道日高町で開催されるHIDAKA ROCKSとなる。

チーズナッツパークは熊の出没報告もあるため、レース前日の下見は大人数で連れ立って歩いた。

スタート前にG-NET黒ゼッケンライダーが一人ずつ紹介され、パフォーマンスを披露。こちらは2020チャンピオンの水上泰佑。

鈴木健二はエルズベルグロデオ参戦マシンと同じデカールを用意した。RedBull TVにはっきりと映った勇姿を目撃した人も多いだろう。

モンスクはコースの9割がウッズに覆われているが、この猿山だけは開けたパドック前に作られる定番の名物となっている。

レース後、ステップの落とし物がアナウンスされ「俺のや!」と飛び出していった原田。無事回収できて嬉しそう。

優勝した山本の他、G-NET代表栗田の目に留まった走りを披露したライダーにBIKEMAN賞として1万円分のクーポンが贈られた。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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