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G-NET2021最終戦BIKEMAN Presents Ultimate Hard Enduro Cup「藤原慎也、初優勝! 2021チャンプ山本礼人もトライアルIASに匹敵する強さを見せた」

G-NET

特別選別戦 BIKEMAN Presents Ultimate Hard Enduro Cup

日程:2021年12月5日(日)

場所:愛媛県デッキーランド

 

G-NETの第4戦は、第3戦を終えた時点でランキング20位以内に入ったライダーを招待しての特別選抜戦という形で開催された。このレースの結果を踏まえて最終ランキングが決定となる。出場を辞退した覆面ライダーZEROを除くG-NETライダーたちが、JNCCから招待された小林雅裕、さらにマーシャルとしてレースに参加する田中太一とともに、超難関コースに挑んだ。

 

目次

出走権を掴み取った20人
小林雅裕が予選1位

今大会が、限られたライダーだけに開かれたのには理由がある。会場の駐車スペースが狭く、物理的に不可能なこともあるが、それよりもコース作りのコンセプトの問題が大きい。コースを作ったのはG-NET2011、2013年チャンピオンの藤田貴敏。

 

北九州から30回以上も足を運んだという藤田は「トップライダー20人だけなら、遠慮のないコースが作れます。それこそ、本当に実力勝負なレースが見られるんです」と語る。この藤田こそ、2010年にG-NETの始まりとなったレースG-IMPACTのコースを作った男なのだ。

 

土曜日の朝に少し雨がパラついたものの、天候には恵まれ、コースコンディションはベスト。この日のために作られた34個のハードなセクションがライダーを待ち受けた。

 

日本のハードエンデューロとしては珍しく、日曜朝から公式練習の時間が設けられ、さらに予選が行われた。予選は一台ずつが特設コースを走行し、そのラップタイムでスタート順が決まる、というもの。スタートは昨年のチャンピオン水上泰佑が一番手を飾り、1:34.56を記録。これが基準タイムとなった。

G-NETライダーはモトクロスやJNCC、JECのライダーと比べると、どうしてもスピードに劣る一面がある。しかし、予選コースもある程度の難所が含まれていたため、小さなミス一つでタイムは大きく落ち込んでしまう。例えばこの中で最もスピードがあるのは元モトクロスファクトリーライダーの鈴木健二なのは、誰もが認めることだろう。しかし、ヒルクライムでのミス一つで1:41.22と沈んでしまうのだった。

佐々木文豊、西川輝彦らハードエンデューロライダーが水上を超えるタイムを出したが、それをさらに上回ったのが、トライアルIASの藤原慎也だった。1:32.69を出し、1位通過確実と思われた。しかし、最後に出番を迎えた小林雅裕が、JNCCライダーとしての意地を見せ、1:28.47を記録。ぶっちぎりのトップタイムだった。

 

ハードエンデューロにおいて、スタート順はとても大事な要素だ。なぜなら、セクションに挑む際に、誰かの後から、となってしまうとラインも限定されるし、時には失敗したライダーのリカバリー待ちという時間さえも発生するからだ。そんなわけで、2台1列スタートのこのレースは、小林と藤原が先頭で始まったのだった。

 

序盤を牽引した柴田、中盤戦を制した藤原
トライアルIAS勢が活躍

さていよいよレース本戦だ。予選で決まったスタート順にスタートを切っていくのだが、その差はわずかに1秒ほど。セクション2の「選別ヒル」に挑む頃には大きな差はなくなっていた。さらにこの「選別ヒル」では多くのライダーが一発頭頂に失敗し、捕まった。そんな中、ここを一発で直登して行ったのが、トライアルIASの柴田暁だ。

 

続いて2021G-NETチャンピオン山本礼人、高橋博、藤原がクリアしていく。

 

序盤で一番の難所となったのがセクション8「スタジアムヒル」とそこから続くセクション9「やり直しキャンバー」だ。ヒルクライムを登ったあと、すぐに降って、そこからキャンバーという2つのセクションが繋がった難所で、キャンバーで落ちてしまうと、ヒルクライムからやり直しという複合セクションとなっていた。

一番手でここに到着したのは、藤原慎也。ヒルクライムを難なくクリアしたが、キャンバーで惜しくも滑落を喫し、見事に「やり直しキャンバー」の餌食になってしまう。続いて柴田がキャンバー落ち。3番手に挑んだ山本が、トップでこのキャンバーをクリアすると、藤原、柴田、高橋、田中と続いて抜けて行った。

ここで、おおよそトップグループが構成されたと言える。そしてこのすぐ後に待ち構えていたセクション10「K猫の細道」がこのトップグループを苦しめた。ここからセクション15まではヒルクライムを登って降りてを繰り返して横移動していく連続したセクションだった。

 

トップグループが全員この「K猫の細道」で捕まり、一時順位はわからなくなるが、セクション12では藤原が飛び出てトップ通過。続いて山本、柴田が追う展開。

セクション16-18でもこの順位は変わらず、セクション19「倒木祭り」では藤原による「ぶっ刺し」テクも見られた。

 

そしてレースは終盤、沢セクションへと移って行った。

 

レース時間の延長、体力の限界へ挑戦

 

実はこのレースには規定時間までにあるチェックポイント(CP)を通過できないライダーに対して足切りルールが存在していた。レース開始から1時間30分以内にCP1を通過できなかったライダー11人、そして2時間30分以内にCP3を通過できなかったライダー6人が脱落、レースを終えた。

 

一周のうちに同じセクションを使うため、コーステープの張り替え作業があったり、不足する集計スタッフの移動などの必要があったためだった。

 

当初3時間で始まったレースだったが、主催である藤田がレースの進行具合をチェックし、制限時間の延長を決めた。30分の延長が二度、行われ、最終的には4時間レースになっていた。

ちょうど二度目の延長の時、トップ藤原がセクション24「爽沢会」という沢に挑んでいた。藤田としては「レース時間を延長することで、なんとか最後までコースを楽しんでもらいたい」という気持ちがあったという。

 

しかし、藤原はマシンにトラブルを抱えていた。リアタイヤのパンクだ。藤原のマシンはGASGAS EC250。リアタイヤにはDUNLOPのAT81EXを使っており、タブリスで空気圧は0.08kgfだったという。「どこでやったのかはわかりませんが、沢の手間のセクションで人に言われて気づきました」と藤原。

もちろん、体力も限界に近い。そんな極限の状況の中、大勢の観客(このレースは基本無観客だったが、前日のスクールを受講したライダーや、スタッフ、レースを終えたライダーなど)に見守られながら、藤原の孤独な戦いは続いた。

 

この場にいる誰よりもテクニックに優れた藤原が、スタミナとパンクに悩まされながらも決して諦めず、黙々と沢に挑み続ける姿は、胸を打つものがあった。

 

その姿を静かに見守る藤田には、当然、この沢の攻略法が頭に入っていた。誰よりも藤原にコースを完走して欲しかったのは藤田に違いない。が、決してアドバイスは口にはしない。藤原が自ら正解を導き出すのを、じっと堪えて待っていた。

その頃、沢の入り口に2台のマシンが辿り着いた。2番手を走る山本と、マーシャルの田中だった。お互いに一歩も譲らず、しかし山本が少し前をキープして、藤原と同じように少しづつ着実に上へと進んでくる。

 

しかし藤原は「爽沢会」を自力でクリアし、CP6を通過。さらに続く沢セクション26「エスカレーター」へと突入していった。

レース時間は秒読み段階に入った。残り5分。ずっと藤原について声援を送り続けてきた幼馴染でトライアルレディスライダーの小玉絵里加が、藤原に時間を告げる。

 

ちょうど、田中が「爽沢会」をクリアし、CP6に到達した時、レース時間は終了となった。レースは完走者こそいなかったものの、最も駒を進めた藤原が優勝。惜しくもCP6を目前に終了となった山本が2位。沢を登り始めていたところだった柴田が3位となった。田中はマーシャルのため、賞典外である。

5年目にして初のハードエンデューロ優勝
トライアルライダーの底力

藤原慎也

「今日はG-NETの中でも特別選抜戦で、しかも異種格闘技戦ということで、絶対に勝ってやろうと思って来ました。ハードエンデューロで初優勝、本当に嬉しいです!

『やり直しキャンバー』までは柴田選手と二人でトップ争いだったんですけど、あそこでアヤト(山本)、ロッシさん(高橋)、太一くん(田中)に抜かされて、『K猫の細道』でみんな詰まってしまって、その後細い丸太が2本あるセクションでトップに立ってからはずっと一番でした。最後の沢はもう本当に地獄でしたね。全身が攣りました。

バイクはGASGASのEC250をビバーク大阪さんで僕用に色々セッティングしてもらったんですけど、今日初めて乗ったんですよ。低速の一番下の方がすごく使えるので、キャンバーからのZのヒルクライムとかすごく乗りやすかったです」

山本礼人

「めちゃめちゃ難しかったです。過去一番ですね。僕のバイクのトリップメーターで4.4kmしか進んでないんですよ。4時間かけて。そんなバイクのレースあります?

 

丸太とかちょっとした窪みとか細かいセクションがいーっぱいあるんですよ。そういうところトライアルの選手はすごく上手いんですけど僕らはミスったりバックしたりするから、ちょっとずつ疲れていくんですよね。本物のトライアルIASライダーや、憧れの田中太一さんの走りを間近で見られて、すごくタメになりましたし、その中に食い込めたことが本当に嬉しいです」

柴田暁

「予選ではかなりメンタルやられちゃいましたが、決勝では運よくいいところで走れました。僕はとにかく体力がなくてセクションごとに休憩しちゃうので厳しかったです。特に『K猫の細道』はもう辛すぎて。セクションの看板に『爽やかな散歩道だよ』とか書いてあって、あの看板は忘れられませんね。

『やり直しキャンバー』でも『K猫の細道』でもアヤトさんのバイクやリアタイヤを踏んでいって、僕はここに立てています。運が良かっただけです。本当にこれだけの規模の会場を使わせていただいて、こんなに楽しい思いができるのは本当にありがたいです」

田中太一

「こんなに疲れるマーシャルがあるのか、と思いました。レース中に何回か藤田さんに遭遇したのですが、その度に殺意が芽生えてましたね(笑)。『30分延長、さらに延長』まるで飲み屋にでも来てるようなね。

僕の率直な感想ですが、日本のハードエンデューロもレベルが上がりましたね。タイヤとかバイク、使う道具に関してもすごく進化していて、久しぶりに来ましたけど、驚きが大きかったですね。あとライダーのレベルも、やっとアヤトがチャンピオン取ったりとか、時代は進んでいってるんだな、と。また機会があったらぜひ呼んでください」

藤原、柴田、田中は3人ともトライアルIASライダーとして活躍しており、その走破力は折り紙付き。その中にハードエンデューロライダーのトップである山本が食い込んだことには、とてつもなく大きな意味がある。

そして最終戦を終え、G-NET2021年ランキングは以下の通りに決定した。

 

1位 山本礼人

2位 鈴木健二

3位 原田皓太

4位 水上泰佑

5位 高橋博

6位 佐々木文豊

7位 大塚正恒

8位 藤原慎也

9位 泉谷之則

 

黒ゼッケン復帰を果たした高橋博、泉谷之則。そして初の黒ゼッケンとなる大塚正恒、藤原慎也。徐々にランキングを上げ続けており、有効ポイント制出なければ鈴木健二よりも獲得ポイントが上だった原田皓太の飛躍も、注目したい。

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この記事を書いた人

Off1.jp(ANIMALHOUSE)所属。2016年からG-NETの取材を続けるカメラマン兼ライターです。台湾、韓国、ルーマニアクスら海外レースへも取材に出かけ、日本のハードエンデューロシーンにかける情熱は誰にも負けません!

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