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メカのウンチク話 速く安全に気持ちよく走るためのセッティング 〇その心得編#3

速く、そして楽しく走るために欠かせないメカ知識とモトクロッサーの正しい整備方法を紹介するメカのウンチク話。レジェンドメカ、小菅登氏の、タメになるウンチク話をたっぷり紹介いたします。

目次

セッティングのためにはバイクのどこを触ればいいか?

ここからはセッティングの基礎知識についてレポートしていこう。セッティングは大きく分けて「バイクを自分のライディングポジションに合わせるもの」と「バイクをコースや天候に合わせるもの」の2種類に分類できる。現在のモトクロッサーでセッティングのために調整できる箇所は、下の写真で紹介しているので参考にして欲しい。

[①ハンドル]
ハンドルの曲がり形状/幅/取付け角度(自分のポジションに合わせる)

[②レバー]
ブレーキレバーとクラッチレバー角度/遊び(自分のポジションで操作しやすい位置に合わせる)

[③ペダル]
ブレーキペダルとシフトペダルの高さ(自分のポジションで操作しやすい位置に合わせる)

[④ホイール関係]
・タイヤの種類と空気圧(路面状況に合わせる)
・スプロケット(コースレイアウトに合わせる)

[⑤キャブレター]
ジェットやニードルを調整(気温、湿度の変化に合わせ、ガソリン吐出量を調整)

[⑥フロントフォーク]
・スプリングの硬さ
・ダンパーの利き具合(ギャップやジャンプ着地の衝撃吸収、旋回時のバイク姿勢調整)
・フロントフォークの突き出し(ハンドリング特性の変更)

[⑦リアショック]
・スプリングの硬さ
・ダンパーの利き具合(ギャップやジャンプ着地の衝撃吸収、旋回時のバイク姿勢調整)
・1G(自分の体重に合わせ、前後バランスを調整)

[⑧シート]
シート高と形状(自分の好みのポジションに合わせ変更する)

ポジションで調整できる箇所は、まずハンドルバーそのもの。アルミ製のハンドルバーに変更するのはもはや常識だが、その際に自分に合った曲がり角度(ベンドと呼ぶ)を選ぶ。その購入したハンドルバーの幅が自分にとって広い過ぎると感じるなら両端を切り、狭めることもできる。そしてハンドルバーはトップブリッジ上のクランプに取付けてあるが、その取付け角度も調整することができる。

ハンドルバーに装着される左右レバーの位置も調整可能だ。走行時に操作しやすい角度に合わせることができる。またレバーには握ってから実際に利き出すまでまでの遊びと呼ばれる範囲があるが、これも調整できる。特にプロライダーはクラッチを多用するので、クラッチレバーの遊びにはシビアで走行前には必ず調整する。

ブレーキペダルとシフトペダルの高さも調整可能だ。特にブレーキペダルは走行時に操作しやすいよう微妙な調整できる。
体格が違うとライディングポジションがしっくりこないこともある。メーカーから厚みの違うシートがオプションパーツとして出ていれば、無改造で変更できる。またポジションにこだわる人はステップも変更している。 

コースや天候に合わせるセッティングは、キャブレターとサスペンションが大事だ。

キャブレターはガソリンと空気を混合するのが役目。気温や湿度によって空気の密度や水分量が変るため、その時に適したガソリンと空気の混合状態を作り出すために調整が必要だ。ガソリンの供給量はジェットやニードルといったパーツを変更することで調整する。

サスペンションの役目は路面からの衝撃を吸収し、安定した走行状態を維持することにある。その構造は車重を支えるスプリングと、オイルの流れを制限することによって収縮を抑える(減衰と呼ぶ)ダンパーとの組合わせでできている。各車種ごとにオプションパーツで硬さの違うスプリングがラインナップされているので、適正なものを選んで変更する。この時の選択の条件としてコースの状況とともにライダーの体重やライディングスキルも関係する。

ダンパーにはオイルの流れの加減できる減衰調整がついており、分解せずに外部からドライバーなどで調整できる。フロントフォークの場合、オイルの粘性や量も調整することができる。

またフロントフォークは取付け位置を上下に変更することができ(これを突き出しと呼ぶ)、それによって旋回性や直進性を調整できる。リアショックにはライダーの体重に合わせて初期の沈み込みを加減(これを1Gまたはサグと呼ぶ)できる機能もついており、バイクを適正な前後姿勢に調整できる。

忘れてはいけないのがタイヤ。数種類のパターンの中から路面状態に合わせて適正と思われるタイヤを選ぶ。タイヤに入れる空気圧でも若干の調整はできる。さらにリアホイールを駆動するスプロケットも社外品が豊富にそろっており、それらを変更することによって各ギアの伸びなどを調整できる。

以上が主なセッティング可能な箇所である。詳しい調整方法などは連載を進めるにしたがってレポートしていく。

【シート】
メーカーに厚みの違うオプションシートが無くても、シートの専門ショップに依頼すれば、中味のスポンジを足したり削ったりできるので自分の体格に合ったシートを製作することもできる。さらに社外品で滑り止め加工を施したシートカバーも出ている。カバーの張り替えは、ホチキスでとめるだけなので手軽に変更できる。

【ステップ】
ストックのモトクロッサーはステップ位置を変更できないが、ノーマルのステップの上にギザギザの歯を溶接すれば、足の置き位置を上方に変更できる。また社外品の幅広ステップに変更している人も多い。

[#04へ続く]

【クレジット】
Text: Dirt Cool
Illustration: Takuma Kitajima
Special Thanks: Noboru Kosuge

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